みずほさん、必然の出会い。いい言葉です。
 今では私もそう思えます。
mahalさん、そうなんです。映像、めっちゃきれい!
 セン監督。すごいよ。
まささん、甘く危険な三十代目指しがんばります!
くまさん、その後のビールについて書きました↓


インド映画撮影日記第二十二章 泥酔者

漁師さん達、トランプのひととき。

「高久さんのために」ひらかれた飲み会に参加。
日本人しかいないってだけで、
なぜこんなにも安心するのでしょう。

私とタカラちゃんが座ったのは照明部さん達の席。
運ばれてくる料理が一瞬にしてカラになります。
とはいえ、彼らと同じペースで酒を飲み干す
私とタカラちゃん。

二時間後、私は明日の撮影のため帰宅しようとする照明部の和田さん(バベル、シルクなど手がけた方)に「帰っちゃやだ!」と駄々をこねる絡みずらい泥酔者と化していた。
そんなわたくしに
バベルの撮影について語ってくださった和田さん。
ありがとうございました。
「菊池凛子さんは文句ひとつ言わずやっていたよ」
という和田さんの言葉を聞き、
本日ビービー泣いていた自分を恥ずかしく思った。

明日もあるのでとゆうことで
私とタカラちゃんはホテルへ。

廊下を歩いているとニラの部屋が開け放たれており
中ではニラと毛むくじゃらのラビーがウィスキーを嗜んでいた。
私達泥酔ガールズがどかどかと中へ入り、ずうずうしくソファに腰掛けると「やあ、チグサ!一杯どうだい?」とラビー。うぷ。遠慮しときます。それにしてもこの人たち、私達が勝手にあがり込んでもほんと動じないのね。

ラビーが「チグサ、今日は泣いていたけど大丈夫かい?」と尋ねるので「心配かけてごめんなさい」と謝ると「監督のこと嫌い?」とラビー。

どきり。

いや、嫌いじゃないよ。(確かに前は大嫌いだったけど)
お芝居を大事にしてくれるし、私のことも信頼してくれてるし、たまに怖いけど、それはいい作品を作ろうっていう強い気持ちからだろうし、それはあたしも同じ気持ちだし、ただ、どうコミュニケーションをとったらいいのか分からなくて、混乱してしまうのよ。的なことを日本語で話す。

「ニラ、訳して」とゆうとニラは面倒くさそうに酒を飲み、
かなりの勢いで非協力的である。

ラビーは私の目をまっすぐに見つめ「直接俺に話せ」と一言。
私は中学レベルの英語とジェスチャーを駆使し、タカラちゃんの助けを借りながら、何とか伝えようとした。話し終わるとラビーはこくりとうなずき、おびただしい量の胸毛を見せるため第三ボタンまで開かれたYシャツのポケットから、とてつもなくかわいらしい未使用のカードを取り出し私に渡した。

「それに、監督へメッセージを書いて渡すといいよ」

おおお~伝わってるよ~!
私はうれしくてまた泣きそうになりました。
それにしても、ラビーったら、
こんなかわいらしいカードいつも持ち歩いてるのかしら?

部屋に帰り、自分がそうとう酔っぱらっていることに今更気づいた私は、大量の水を飲んで熱い風呂に入り、発汗によってアルコールをとばそうという計画をたてる。

このおんぼろホテルに自動販売機なる近代的な代物があるのだろうかと不安に思いながらも、水を求めて徘徊していると、またもやラビーにばったりでくわす。手には新しいウィスキーとミネラルウォーター(1.5ℓ)。薄暗い廊下で「うぉーたー、うぉーたー」と不気味に近づく私が怖かったのか、親切なのか、ラビーはまるごと一本、私に下さった。

熱いお風呂につかり、ラビーからいただいたおいしいお水を飲みながら「ラビーってほんといい人だな~」と感謝する。このお水はきっと、あのウィスキーを割るためのものだったにちがいない。今頃ロックで飲んでるのかしら?申し訳ない。明日新しいのをお返ししよう。と心に決めてゴクゴクと水を飲むのだった。


翌日の朝、ラビーは現場に現れなかった。
理由は、二日酔い。とのこと。