いよいよインド映画撮影日記スタートさせていただきます。
初回のブログからずいぶん日が経ってしまったことを深くおわびいたします。

はじめに
このインド映画撮影日記には、不適切な表現、監督、スタッフへの暴言が含まれることが予想されます。しかしながら、それらは後に固い絆で結ばれるであろう友情への序曲であり、ラストへの協奏曲であります。
したがって、撮影日記に興味を持って読んで下さった方、うっかり一小節読んでしまった方は、最終章までおつきあいいただきますようお願い申し上げます。

インド映画撮影日記  第一章 オーディション

2007年2月19日、オーディションは都内某ホテルで行われた。
我が事務所から受けたのは、わたくしを含め4人。
マネージャー「ここ一泊4万以上するらしいっすよ」
わたくし「ええ~おたかいね!!」
同事務所の女優達(以下DJ)「それって平日!?」
マネ「いや、わかんないっすけど‥‥。」
DJ「クリスマスは満室なんだろーね」
わたくし「まちがいないね」
などと作品とは全く関係のない話をして過ごす。

一人目が呼ばれ、待つ事15分(意外と早いのね)彼女が帰ってきた。
わたくし「どうだった!?」
DJ「でかいサングラスかけてた」
でかいサングラス‥‥。
それは大物の証である。

今回の映画の監督、アパルナ センは元女優であり、
かの有名な(ほんとは知らなかったけど)サタジットレイ監督(カンヌドキュメント賞受賞)の作品にも出演。現在は映画監督として世界各国の映画祭に出品。らしい。

あードキドキしてきた。と、思ったらわたくしの番。
立ち上がったとたん、ものすごい睡魔が襲ってきた。
なぜ?
なぜ今?
千鳥足のような状態でんラウンジを歩く。
でかいサングラスのセン監督発見。
サングラスの奥から鋭い眼光。さすが元女優。目力強いね!
隣にあやしげな男が座っている。だれなんだ?

私「高久ちぐさです。よろしくおねがいします。」
監督「あなたは主役やったことありますか?」
私「ないです」
監督「英語はできますか?」
私「できません」
シーン。

だめだ。眠い。この場で眠れるほど眠い。
いっそのことこの場で眠ってしまおうか‥‥。

監督「この映画は剃髪がありますがそれは大丈夫?」
私「あっ、はい(ほんとはやだけど)」
監督「インドに一人で来れる?」
私「あっ、はい(ほんとはやだけど)」

もはや不合格への道まっしぐらの私を尻目に、監督が隣の男に目配せすると、男は持っていた一眼レフでパシャパシャと私を撮影しはじめた。
何枚か撮っては確認している。
デジカメなのね‥‥。
撮ったものがその場で見れるなんて、世の中便利になったもんだ。
あれ?
この人よく見ると眉毛つながってない?
あらあら、完璧一本線だわ。
あははははーおかしいね!
「笑わないで!」
監督からの激がとぶ。
「ひっ!すいません」
なんかこの人おっかないよ。

わたくしはこの時まだ知りませんでした。監督の本当の恐ろしさを‥‥。

一通り撮影が終わると、監督がこうおっしゃいました。
監督「わたしの心はほぼあなたに決めました。」
えええー!!マジっすか!?
そんなこと言って落とされたら、これほど余計な一言はないよ!?

オーディション終了。

もしかして自分は受かるのではないか?
いや、踊らされてはいけない。
ぶつぶついいながら家にいると、事務所の社長よりTEL。
社長「Congratulations!」
なぜ英語?
つか、決まるのはやっ!
でもまぁ、
やったー!やったー!やったよ、おかーさん!

母「‥‥インド映画って、何?」

かくしてインド映画へのなが~い道のりが始まったのでありました。
                 続編へつつ゛く。