母は料理が好きじゃない。

ずっと昔から…。

おばあちゃんも料理はダメだったらしい。

惣菜屋さんでカツを揚げてもらったり、魚屋さんでお刺身を買ってきたり…。

戦後10年もしないでそんな暮らしだったのだから、結構恵まれていたのだろう。

記憶を掘り返せば、私の小さい頃から、おじいちゃんの家に遊びに行くといただき物のお菓子がたくさんあり、食事はお寿司かレストランに行くかだったなぁ〜。

 

お母さんは生まれた時から食が細く、身体が弱かったから、ヤギのミルクがいいと言われれば、ヤギを飼っているうちに分けてもらいに行き、美味しいと食べたものはせっせと買って来て食べられる環境だったらしい。

 

だからお嫁に来て、何がヤダって、食事のしたく。

 

お父さんの家は裕福ではなく、早くに父親が亡くなっているので、祖母が一人で4人の子供を育てた苦労人。給食のおばちゃんや書道の先生などしていたらしい。

変なはなし、食べることにガツガツしているし、質より量みたいな食べ方だ。

 

私たちが小さい頃、母は下手でも一生懸命作ってくれていた。

どんなに大変でも父方のおばあちゃんに世話を頼むことはなかったし、

父方の親族と食事の席が同じにならないようにしていたのだと思う。

女の子だし、自分の子供たちにこんな食べ方や食べ物に対しての雰囲気がついたら大変だと心配したのだろう。

 

 

一生懸命パン教室に通ったり、富田さんというお料理上手なおばあさまとお友達になり、いろんなお料理を習ったり、苦手意識があるから頑張っていたと思う。

でも、いざ家に帰ってきて食事のしたくを始めると、心の余裕がなくなりイヤイヤ食事作りになっていたのだろう。

 

いつもは笑っているお母さんが台所に立つ時は笑わない。

 

一番嫌いなのは正月のおせち作り。

父の兄弟がみんな家に来るから。

一番下の妹が生まれる時も大きなお腹のお母さんが、夜中まで一人で台所でおせちをつくっていた。みんなはお酒飲んで、お蕎麦食べて、紅白を見てゲラゲラ笑ってたけど、お母さんは寒い台所でストーブ炊いておせちの準備をしていた。

「早く寝なさい」と言われても、私がいない時にお母さんを怒ったり、傷つけるようなことを言うのではないかと、子供ながらに心配で心配眠れなかった。

 

大人になった今なら、ニッコリ笑って親戚を牽制し、

お母さんをそっと守ってあげることはできるけど。。。

 

何を食べるかは大事なこと。

でもお母さんの場合、それ以前の食事に対する気持ちの引っ掛かりが絶対あるなと思う。

 

「食べる」の前の「作る」に根っこがあるような気がする。

 

誰のために作るのか?

家で自分のためには作らないけど、孫のためにはお赤飯も栗ごはんも煮物も作ってる。

孫に「美味しい〜」と言われた日には、買い物もるんるんで行くし、るんるんで作るし、

るんるんで無料Uberまでする。

 

ココに「お父さんも食べる」が+されるとテンションが急降下なのだ。

 

自分が作らずに済んで、

お父さんがいない食事の席で、みんなが顔を揃えてくれるなら一番ハッピー。

何を食べても 美味しい〜😋 楽しい〜😀 幸せ〜😀ってなる。

 

 

すごい贅沢がしたい訳じゃない。

すごい高級なものが食べたい訳じゃない。

甘いものもよく食べてるけど、すごく好きな訳じゃないのだ。

 

 

何で膵臓がんなんだろう。

何に消化不良を起こしているんだろう?

そう考えた時、物理的に油と砂糖の摂りすぎがあるが、一番の根っこは、自分の夫と義母と夫の兄弟、親戚たちに対する心の消化不良なのでは…と思えてならない。

 

ずっとお母さんが引っかかってきたこと。

やっぱり今生のうちで流せるようにしなさいと言われているのではと感じます。