○松木委員長 お疲れさまでした。

それでは次に、鈴木貴子さん。

 

 

○鈴木(貴)委員 質疑の機会を与えていただきまして、まずもって感謝申し上げます。

今日は、墓参そして安全操業、こういった運動の担い手確保策について質問させていただきたいと思います。

先ほど来から、墓参の話題、取り上げていただいております。十二月の一日でありましたが、北方領土隣接地域の首長の皆さん方、また議長の皆さん方が北方領土返還要求中央アピール行動で上京されておりまして、官邸にて、本来であれば、岸田総理に表敬させていただくところでありますが、COPでドバイに外遊中ということでありましたので、松野官房長官、そしてまた自見大臣にも御臨席を賜ったところであります。

その際に、松野官房長官からも、北方四島交流等事業の再開は今後の日ロ関係の中でも最優先事項の一つであること、そして、特に墓参に重点を置いて事業再開を求めていきたいというお話をいただいたところであります。

今、二国間の中で交渉が可能なのは、これらの事業、これは三枠あるわけでありますけれども、唯一墓参だけであります。ロシア側が効力停止と言ってきているのは四島交流と自由訪問でありまして、墓参というのは、裏を返せば、生きているわけであります。

であるならば、ここは日本政府として、特に墓参に重点を置いてではなくて、とにもかくにも、今は墓参の再開だ、今は墓参なんだと強く打ち出していく、それが内外に対して、またロシアに対しての強いメッセージにもなると私は思っておりますが、外務省の見解をお伺いさせていただきます。

 

○中込政府参考人 お答え申し上げます。

北方墓参を始めとする四島交流等事業の再開、日ロ関係における最優先事項の一つでございます。御高齢となられた元島民の方々の切実なるお気持ちに何とか応えたいとの強い思いを持って、ロシア側に対し、今は特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を引き続き求めていく、こういう立場でございます。

 

○鈴木(貴)委員 中込局長、今はを入れていただきましたけれども、今は特にじゃなくて、特に今はじゃないですかね。細かい話かもしれませんけれども、元島民の皆さんにとっては、現状を一番よく分かっていらっしゃるんですよ、今、非常に日ロ関係、外交関係、厳しい状況だ、簡単な話じゃないということは分かっているけれども、平均年齢ももう八十八歳になってくる、正直言って、時間との闘いなんです。

そして、なぜこの点を細かく指摘させていただくかというと、十月の五日、バルダイ会議がありまして、ロシアのプーチン大統領が、笹川平和財団の畔蒜主任研究員の質問の回答の中で、日ロ関係について、我々は対応に応じる用意があると述べているんです。これは、プーチン大統領が公の場において、二国間関係、日ロの二国間関係の今後について言及したのは初めてであると言われております。つまり、これは、ボールはある意味日本にある。プーチン大統領は続けて、日本側が、対話に意味があるときが訪れた、イニシアチブを取ることが可能だと考えるのであれば、対話は常によいことだとおっしゃっている。

であるならば、まさにこの墓参は人道的観点からもしっかりと取り組むということが必要である、こういった観点から述べさせていただきました。

局長、もう一回行きましょうか。墓参、乾坤一擲の決意、今は墓参をやるんだ、ブレークスルーするんだという決意、中込局長、お願いします。

 

○中込政府参考人 お答え申し上げます。

今先生からるる御指摘ございましたとおり、ロシア側の方は、三つあります北方墓参、自由訪問、四島交流のうち、墓参のみはまだ生きているという言い方をしているということでございますので、我々としては、引き続き、自由訪問、四島交流についても、これができないのは不当だと思っておりますけれども、可能性が高いのは墓参であるという御指摘、全くそういう御指摘のとおりでございますので、まさにそういう観点から、特に今は北方墓参に重点を置きまして、しっかりと再開を求めていきたい、このように思っている次第でございます。

 

○鈴木(貴)委員 中込局長、是非、このやり取り、そして今はとしっかり言ったことも、局長からも外務大臣にも上げていただきたいと思います。

安全操業の点について質問させていただきます。

先ほども出たところでありますが、改めて、外務省、あと水産庁にも今日来ていただいておりますが、外務省からは、是非ともこの安全操業の枠組みの意義、そして、維持するということ、この枠組みを維持するということの重要性、意義について是非とも、ここは端的で結構です。

そして、水産庁からは、まさに、来年の操業もどうなんだと、これは現場漁業者の皆さんは大変大変不安を感じていらっしゃいますので、この漁業者に対しての支援、今後について、是非ともお聞かせいただきたいと思います。

○中込政府参考人 お答え申し上げます。

枠組み協定でございますけれども、先生御指摘のとおり、非常に意義が大きいというふうに考えております。

日ロ間の懸案である北方領土周辺水域における我が国漁船による安全操業を実現する枠組みでございまして、一九九八年の締結以来二十年以上の長きにわたり、枠組み協定の下での操業を互恵的な形で維持発展させてきた、こういう重要な意義を有する協定でございます。

政府としては、こうした協定の意義等もしっかり踏まえながら、枠組み協定の下での操業を早期に実施できるよう、ロシア側に引き続き働きかけてまいりたいと考えているところでございます。

 

○魚谷政府参考人 お答えいたします。

水産庁といたしましては、操業機会の確保が重要と考えており、一日も早く我が国漁船の操業が実施できるよう、引き続き外務省と連携しながら対応してまいります。

その上で、関係する漁業者に対しては、枠組み協定に基づく安全操業ができない間も漁業経営が維持できるよう、漁場転換等の取組に必要な経費を支援してまいります。

 

○鈴木(貴)委員 今も支援もいただいておりますので、引き続き、丁寧な、現場の実態に即した対応をお願いをしたいと思っております。

今ここで、私から外務省に、特にこの枠組みの意義について述べていただいたわけでありますけれども、私は、この重要性というのは、一番大事なのは、本当だったらあり得ない、特例的なこれは枠組みなわけですよね。

ただ、裏を返せば、ロシア側も日本と、日ロ間の間には、両国で解決をしないといけない問題がある、すなわち領土問題が存在をしているという認識があるからこそ、この特別な枠組みが維持をされているんだ。もし、領土問題なんて日本との間に我が国は有していないんだというスタンスであれば、この枠組みというのはそもそも存在をしない。

是非ともこれは委員の先生方も、そしてまた国民の皆さん方にも御理解をいただきたいのは、両国が領土問題を認識して初めて領土問題交渉というものは動き始めることができる。つまり、領土問題があるということは、厳しい、苦しい課題であるものの、この枠組みを維持をするということが、領土問題、存在をしているという共通認識があるという、これは裏返し、紙一重の関係でありますので、是非ともこの枠組みというものを、国益、権益、そして領土問題解決の観点からも、ここの意義というものは、外務省においても様々な形でしっかりと国民に対しても説明をしていただきたいと強くお願いを申し上げさせていただきます。

先ほど神谷先生からも、融資制度の対象拡充のお話があったところであります。これは、後継者支援というものの重要性は私も共通認識を持っておりますが、一方で、自見大臣の御答弁にもあったように、現行法の趣旨や目的に照らすこと、若しくは、いわゆる補償に関連する他の法律との公平性みたいなところ、これも大事なんだと思っております。

自見大臣もそうでありますし、大臣が替わられるたびに北方四島隣接地域にも入っていただいて、直接の対話もしていただいています。ただ、問取りのレクで、私も驚いたんですけれども、元島民二世、三世、四世、こういった皆さんが活動に参画が難しい、その理由、その背景といったもの、障壁、課題を洗い出すためのデータというものがあるのかという話をしたところ、内閣府としてはそういったデータは持ち合わせていないという話でありました。大変これはお粗末な話ではないでしょうか。何のためにわざわざ大臣に地元にまで足を運んでいただいているのか。大臣が替わるたびに北方四島隣接地域に訪れることが、単なるルーティンと形骸化してきてはいないかと私は大変憂慮しているところであります。

そういった上で、これは実態に即した対応というものが必要だと思います。先ほどのその融資の拡充というところも、対象の拡充もありますが、じゃ、それが難しい、他の法律との兼ね合い、公平性を担保する上でも難しいというのであれば、内閣府として、北方四島元島民の皆さんであるとか居住者連盟の皆さんとしっかりとヒアリングなど、現状を酌み取った上で内閣府の側から代替案、法の改正は難しいならば新しく支援策を創設したって構わないわけですから、代替案を是非とも提示すべきではないでしょうか。内閣府から。

○矢作政府参考人 お答えいたします。

北対協の融資事業につきましては、旧漁業権者法に基づきまして、北方四島の旧漁業権者、元居住者等の事業の経営とその生活の安定を図ることを目的として実施しております。

この融資事業の資格対象者につきましては、御承知のとおり、過去三回にわたり議員立法により根拠法を改正する形で拡大されたところでございます。こうした経緯も踏まえまして、対象者の拡大につきましては、現行法の趣旨、目的等の関係も含め慎重に検討する必要があると考えております。

他方で、今委員から御提案のありましたようなことを踏まえまして、後継者の育成支援につきましては、その重要性を内閣府としても認識しておりまして、どのような支援策が望ましいかにつきましては、引き続き、千島歯舞諸島居住者連盟等、関係団体の御意見を伺いながら丁寧に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

 

○鈴木(貴)委員 審議官、ちょっと足りないと思うんですよ。これまで毎年毎年、大臣にも行っていただいて、審議官も地元に入ってきていただいている。しかしながら、何が課題、この障壁であるかというデータを持ち合わせていない。データなくしてどうやって対応を取るんですか。

ここで、しっかりとデータ、この具体的なアプローチを取っていくためにデータを収集するんだと、しっかりと連携していく、一言お願いします。

 

○矢作政府参考人 今御指摘ございましたけれども、後継者の育成支援につきまして、どのような支援策が望ましいかにつきましてアンケートを行うことも含めまして、引き続き、元島民の方々の団体であります千島連盟の方々と丁寧に意見交換を行いながら検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 

○鈴木(貴)委員 データという言葉はありませんでしたが、アンケートということでありますので、そこはしっかりと進めていただきたいと思いますし、それがあるからこそ政策検証というものもできるんだと思っております。

最後に、これは審議官にお願いをしたいんですけれども、よく、北方領土の全国大会、委員の先生方の御地元でも、都道府県の県連会議さんとか主催で、二月の七日であるとか八月の強化月間のときに大会が開かれると思うんです。式次第を改めて確認をしていただきたいんですね。来賓で先生方も呼ばれると思うんですけれども、時々あるのは、来賓祝辞なんですよ。

皆さん、おかしいと思いませんか。一日でも早く我々はこの要求運動、大会を終わらせたいんです、領土問題を解決したいんです。それが時々、知事の方や来賓の方々が、今日のこの運動、大会の御盛会、誠におめでとうございます、今年も御盛会おめでとうございますと。これは本末転倒だと思うんです。

内閣府、この実態調査も是非していただきたい。そして、これらで、来賓祝辞というのは、根室のように、来賓挨拶に直していただきたい。これは一斉点検をしていただいて、しかるべき指示を下ろしていただきたいと思いますが、審議官、いかがでしょうか。

 

○矢作政府参考人 今委員御指摘の点につきましては、事実関係を確認した上で、関係団体ともよく連携しながら検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 

○鈴木(貴)委員 時間が来ましたので、質問を終わらせていただきたいと思います。

しっかりと私も取り組んでまいりますので、よろしくお願いをいたします。ありがとうございました。