夫が他界してから

三度目の冬を迎える。


一度目は喪中葉書を書くのがしんどかった。

一周忌のことを考えるのも、嫌だった。

一周忌の段取りをとるのもつらかった。



毎日生きるだけで精一杯だったし、

時間は途方もなく長く間延びしていて


明日が来るのかさえも

わからなかった。


寒くて暗くて虚しくて

色のない世界で

ただひっそりと暮らした。




二年目の冬は三回忌を迎えた。


祥月命日が近づくと気持ちが

どんどん不安定になって

とにかくひとりでたくさん泣いた。


感情のアップダウンが大きくて

自分をすごく持て余した。


どうにもできない思いで

追い詰められていて

逃げ出したいといつも思っていた。




そして迎えた三度目の冬、


渦巻くつらくてしんどい思い、

気がおかしくなりそうな悲しみ、

そんなものから目を逸らして、


気持ちに蓋をして

直視しないようにする方法を

少しずつ覚えた。



つらいことは、もう見たくない。

何度も思い出して

泣いてしまいたくない。




さよならの日への

カウントダウンが始まると

気持ちがつらくなる。




何かに集中して

逸らしていかないと

捕まってしまったらダメだと感じる。




日々の何気ない日常に

気持ちを向ける。

好きなものを作って、

目の前のことを丁寧にやっていく。



暖かい冬の陽射しを

背中に浴びて


身体が温まる

美味しいものを食べよう。



どうしても暗い気持ちになったら


眩しい光が私を包むように

輝いて広がっていくのを

じっと感じてみる。


そのキラキラした光は、

亡くなった夫や

先に旅立った愛しい人たちが

たくさんの愛を私たちに送ってくれるエール。


そう思うと

心と体がじんわりと温かくなる、きっと。


寒い、寒い冬。

三度目の冬。


私が穏やかに過ごせるように

どうか力を貸してね、って


空を見上げて祈った、

ちょっぴり涙を浮かべながら。


今日はそんな日。