寒い季節になった。寒くなると思い出す患者がいる。ソ連から来た夫婦だ。終末期の癌で婦人は、腹水で苦しそう。他の病院の主治医が学会で不在で腹水を抜いて欲しいと私の病院へ来られた。断らない救急をモットーにしているため、なだめて私の病院の内科医に頼んだ。まだ子供が幼いので死ぬわけにはいかないのであろう。諦めきれないのだろう。ソ連で治療を受けたがダメで韓国で治療を受けたがこれもダメで、最後の望みで医療ビザで日本に来ている。とぎれとぎれに話す英語で、しんどそう。外国で治療を受けられるのは、大変なお金持ちだと聞いている。飛び出すハート飛び出すハート飛び出すハート日本の冬は、0度位だったと思う。しかし、ソ連の寒さと日本の寒さを比べると、だんなさんは、暑い暑いと言って裸になってベットに横になっていた。私の病院で死んでしまったら困るなー。と考えた私は、ロシア語の医療通訳を頼んだ。たまたま、ロシア人の通訳の方が来てくれた。助かった。しばらくロシア語で楽しそうに会話していた。次の日、退院して他の病院へタクシーで行かれた。今頃、どうしているだろうか。ウクライナ戦争で癌治療もままならないのではと心配している。