自宅から持ち込んだ食材を冷蔵庫に入れさせてもらって、おかゆなら食べられるかも、と簡単に用意した。
櫻井の様子を見ながら、昨日書類が積み上がっていたリビングをざっと片付けた。
途中で一度櫻井が目を覚ましたが、まだまだ高熱を出しているようだ。
軽く換気をして、着替えさせて、おかゆを少し食べさせた後、薬の服用とたっぷりの水分をとらせてまたベッドに横にならせた。
「・・・」
熱で潤んだ目でじっとおれを見てくる。
「・・・まだ、かえりません。ここにいますよ。
課長のそばにいますよ」
替えの冷えピタを張ってやると、冷たさに眉を顰めるがすぐに弛緩して荒い息を吐く。
「ここに、いますよ」
頬に張り付いた髪をそっと指ではらってやると、櫻井は安心したかのようにゆっくりと目を閉じ、まもなく深い眠りへと落ちて行った。
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