「1時間だけです。昨日停電したから、様子を見てくるだけです」

「でも・・・」

「すぐに、戻ってきますから」

 

櫻井は頑なに寝てればよくなると言ったが、最終的には「好きにしろ」とだけ言ってまたぐったりと目を閉じた。

 

 

 

大急ぎで地下鉄に乗り家へと帰る。

昨夜の停電がどのくらい続いたのかはわからなかったけれど、冷蔵庫の中の作り置きは残念ながら断念することにした。

 

「たしか冷凍庫に、あったはず・・・」

 

きちんと整理された冷凍庫の中にはお目当ての鮭の切り身があった。

こちらは解凍されることもなく大丈夫なようだ。

他にもいくつかの食材と調味料、鍋や簡単なキッチン用品をバッグに詰めると、一目散に櫻井のマンションへと戻った。

 

 
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