「あのー。僕、そろそろお暇しますが・・・、えっ?!」

 

ベッドヘッド側に回って顔を見て、と思ったところなんだか様子がおかしい。

 

「か、かちょー?」

「あ゛、ばづもどがぁ・・・」

「どーしたんですか!」

「ん゛、だんが、がらだ、あづい」

 

声もがらがらなのだが、傍目でも発熱していることが見て取れる。

 

「熱!体温計!」

「ばい・・・」

「ええ?!じゃあ、冷えピタ!」

「ばい。いままで、でづ、だじだごと、ばい・・・」

「そ、そんな~」

 

熱を出したことがないと言い切る櫻井もスゴイとおもうが、こういったものは急に必要になるからこそ、常備しているものなのだ。

 

「あ~、じゃあ、おれ、買ってきます。えーっと、ついでに飲み物も」

「ああ、わるい・・・」

「あ、えと。鍵?とかありますか?」

「あ、ああ」

 

 

ふらつく櫻井をなんとか支え、マンション入り口のセキュリティーカードを受け取り猛ダッシュで近くのコンビニへ走る。

昨夜の停電の影響で、まだ飲み物は完全に冷えていないという店員に「冷えてなくても大丈夫」と伝え、ついでに風邪薬と冷えピタも購入した。(余談だが、体温計はなかったので断念した)