『オレの家、近くだから!』

 

その言葉はウソ偽りなく、3分も雨の中を走れば超高層マンションのエントランスに俺たちは着いた。

 

「こ、ここ、ですか?」

「ああ」

 

どっかの高級ホテルのような装飾。

フロアーに置かれた籠の中にはバスタオルが用意されていて、櫻井課長は1枚を俺に手渡すと自分はさも当たり前のようにバスタオルで頭から豪快に拭いていく。

それをみて俺も、少し遠慮しながら頭からバスタオルをかぶり、ずぶ濡れの体を拭いた。

 

・・・外は停電なのに、このマンションでは電気がついている。

 

櫻井課長に案内されて乗ってきたエレベーターも普通に動いたし、課長がドアノブに手をかざしたら、小さな電子音がして普通に開いた。

 

「全身ずぶ濡れだろ。すぐ風呂沸かすから。先、シャワーでも浴びてて」

 

押し込まれた脱衣所で、戸惑いながらも好意を受け取ることにし、スーツとネクタイ、ワイシャツをを取り払い、エントランスで借りてきたバスタオルと一緒に床へ置いた。