配属翌日からは営業としての研修や社内ルールを覚える日が始まり、当然のように定時で上がれるわけでもなく、ただ職場と自宅の往復だけだ。
週末のどこかで一日、智さんのお店に飲みに出かけるが特に誰か人恋しいわけではないのでニノを相手に少しだけ酒を嗜んで自宅に帰る。
今のところ昼飯は自作弁当持参で過ごしているので、夜のおかずの作り置きと一緒に仕込みを週末にこなし、普段簡単にしてしまう掃除を丁寧にすると、あっという間にまた月曜だ。
・・・この1か月は櫻井課長からは特に何もアクションはない。
まだまだ新人、覚えることもいっぱいあるし、俺の教育は鈴木先輩に任せられているから余計に接点がない。
「松本くん、覚えがはやいって、課長褒めてたよ」
長く第一営業部を支えてくれている事務員の安藤さんが一緒に取るランチタイムでさりげなく教えてくれる。
が、俺は、本当のところ直接声をかけてもらったわけでもないので本当にそうなのか、他の人の時はどうだったのか、自分で考えて自分で落ち込み、なんとも落ち着かない日々を送っていた。