マネキンの衣装チェンジはその時にコンセプトが前々から決まっていて通常閉店後行う。
こんなオンタイムの時間帯にマネキンを着替えさせることはめったにない。
が、一体丸ごと売れた時か、上からの指示の時は行うことがある。
「ちょ・・・」
「いいから、黙って」
責任者の立場であろう、少し年かさのある人が口を挟もうとしたのをマリコさんが止めた。
俺は悩みながら、そしてワクワクしながらウィンドウのマネキンのコーディネイトをした。
結果から言えば、俺のチョイスは好評だったようだ。
ウィンドウのマネキンの一式買いが一人、店内のマネキンのお買い上げが2点。
それ以外にも接客をする羽目になり、彼氏用にと全身セレクト分が一人と、おすすめしたシャツが1点お買い上げされた。
「さすがだわ、ジュン」
「いえ、とんでもないです」
「これだけ即戦力になるなら、いいもんでしょ?」
「はい、それで彼はどの役職に就けるのでしょうか?
副店長・・・とかですか?」
「違うわ。・・・ジュン、上のオフィスへ行きましょ
契約の話をしなくちゃ」