マンションや建物の高さが低いせいか、空が広く見える。

街路樹も、梅雨の中休みの青空に、精一杯枝を伸ばしている。

町の時間がゆっくり流れているように感じるのは、道行く人の歩くスピードが、自分の知る街よりのゆっくりしているからだろうか。

 

(この町で、翔は暮らしているんだ)

 

自分が住んでいる街は、なんでもかんでも上を目指していて、高く高くなってゆく。

店でナンバーワンをとっていたのだって、自分なりの努力をしてきたのだ。

相手の好きそうな話や教養だって、優しさやテクニックも。

 

(もし、全部捨てることができるとしたら・・・)

 

翔と、この町で一緒に暮らせるだろうか。

 

ホストノジブント、

 

ああ、そんなわけがない。

自分がこの町に来たとしても、何ができるのだというのだ。

夜の仕事に長くいた自分に、他にできることなんてあるはずもなく・・・