「まさか、本当に手ぶらで岡山に来たんじゃないよね?」
「一応観光目的だから、駅のコインロッカーに荷物を置いてる」
「今日泊まるところは?」
「それは、まだ」
じゃあご飯食べに行きながら荷物取りに行って、どっか止まる場所決めよう!
というショウに連れられて、それぞれビニール傘をさしながら、駅前へと戻る。
「本当は泊めてあげたいけど、寮だから狭いし、部外者立ち入り禁止なんだ」
しょんぼりするショウ。
「いや、あんなに本とかあったら、いつ雪崩れて下敷きになるかわからないから遠慮する」
すこしだけ憎まれ口をたたいてみる。
はははっ、そうだよね。
ふたりで一緒に暮らしていた時のような感じがして楽しい。