「ジュン、あの日からちーっとも来てくれなくて、さみしかったわぁ」

 

サトシがわざとらしく、しなを作ってカウンターの中でよよよと泣きまねをする。

 

「んで、どーっだったんすか?」

 

逆にカズはバッサリ単刀直入で聞いてくる。

 

「どう?ってなにが」

 

俺ははぐらかすようにちびちびウィスキーを飲んだ。

あの夜のことはだれにも知られたくない。

 

 

 

「。ふ~ん、へ~」

カズはひとりで納得したようにうんうんとうなずいた。口元はゆるくカーブを描いて、なにか悪だくみを思いついたときのような顔だ。

 

「されて、良かったんでしょ。

そんでぇ、それを認めたくないんだ」

「バカなこと言ってんなよ。

だいたい、俺は仕事で忙しいの」

「ふ~ん、アフター毎晩いれて、忙しいんだ。

どうせ、気持ちよすぎて、戻れなくなるのが怖くて、必死で押し殺そうとあがいてるんじゃない?」

 

心臓がドキリとなった。でも顔には出さない。

 

 

 

「ねぇ、ジュン。

すっごーく気持ちよくしてあげるからぁ。

おれと寝よ?」