「ああ、潤。
着いたのね」
じいちゃんの家に着くと、大広間が片付けられていて、棺桶を中心に祭壇ができていた。
その棺桶の前で、叔父さんが何人かでビールを飲んでいる。
近所のであろう女の人たちが、昼食の片付けなのか、白い割烹着姿でせわしなく動いていた。
ばあちゃんの時と同じだな、と思いながら廊下を早足で進み、奥の台所へ行く。
母親が疲れた顔でテーブルに肘をつき、頭を抱えるように座っていた。
「うん。
あ、おにぎりありがとう。
昼飯食べ損ねて、助かった」
「そう。
ちゃんと食べてるの?」
「そりゃコックだもの。
普段はちゃんと食べてるよ」
母親ってのはいつまでたっても子供のことを気にかけてくれる、ありがたい存在だな。