結局、
仕事のやりくりやバイトの子たちのシフトとか、
臨時休業のお知らせなんてして。
オレが、じいちゃんの最寄りの駅に着いたのは
母親の電話から2日後の、お昼を過ぎた時間だった。
乗り換えで昼飯を逃すことを予感していたのか、
駅まで車で迎えにきてくれた父親に、母親が作ってくれたおにぎりを渡された。
さんかくのおにぎり。
どうしてもオレが作れない、形が崩れてしまう。
母親に習っておけば良かった、と思いながらも、
形が違っても別に味は変わらないしー、
なんて車に揺られながら窓の外を見ている。
「・・・元気にしてるのか」
口数の多くない父親が、こちらも見ずに話しかけてきた。
「うん・・・」
こちらも言葉少なく返す。
口数は過去にも少なかったが、いつも穏やかにしていて、怒鳴られることなんて一度もなかった。
たった一度だけ。
「お、お前は!
それで生きていけるのか!
なぜだ!なぜお前は!
出ていけー!!」
今から8年前に。
そんな父親と、一緒にいることが不思議だ。