こんばんは
本日は年金事務所でお客様の保険料納付要件の確認をしてまいりました。
幸い要件は満たしておりましたので、さきほどご報告のお電話を差し上げて、これから裁定請求の準備に取りかかります!
さて、前回の五月病の記事に関連して、本日は健康保険法の傷病手当金のお話をさせていただきますね
傷病手当金、会社で働いていらっしゃる方は一度は耳にしたことがある言葉なのではないでしょうか?
健康保険の被保険者(全国健康保険協会、健康保険組合、共済組合に加入されている方)が鬱病などのご病気で休職し収入がない時は、その間の生活を守るため「傷病手当金」の給付が受けられます。
※原則的には先述の被用者保険の加入者の方が対象であり、自営業の方などが加入されている国民健康保険では対象外です。
こちらの傷病手当金の対象となるご病気は、業務外の事由によるもの(私傷病)に限られます。
ご病気の原因が会社にある場合(長時間労働やパワハラなど)は労働者災害補償保険法(労災)の適用となりますので、健康保険法の傷病手当金の対象とはなりません。
(しかし、精神障がいの労災認定率は例年3割前後しかなく、厳しいものとなっております)
傷病手当金は、会社を休んだ期間のうち最初の3日間を除き(連続した3日間である必要があり、これを待期期間と言います)、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。
支給期間は、法改正により令和4年1月1日より、支給を開始した日から「通算して」1年6か月となっております。
休んだ日について事業主から傷病手当金より多い額の報酬を受けた場合には傷病手当金は支給されませんが、報酬の額が傷病手当金の額より少ない場合は差額が支給されます。
傷病手当金の1日あたりの支給額は、以下の通りです。
【支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額】÷ 30日 × 2/3
おおよそ給与の3分の2の額ですね。
たとえば平均給与が30万円の方が1か月休業されますと、傷病手当金として約20万円が支給されることになります
さらに、大手企業にお勤めの方ですと、健康保険組合から付加給付としてこちらの3分の2の額に少し上乗せされて給与の7〜8割前後の額が受給できたり、期間についても延長されて1年6か月より長く受給できたりします。
傷病手当金の支給が終わる頃にまだ復職が難しそうで障害年金の対象となるような状態の方は、ちょうどその頃に障害年金に切り替えられる制度設計になっております。
傷病手当金の支給は1年6か月で終了
障害年金の障害認定日は初診日から1年6か月後
しかし、障害年金は請求してすぐに支給が開始されるわけではなく、請求後4~5か月で初回分が入金されることが一般的ですので、切替えのタイミングを考え逆算して請求準備を開始するようにしましょう。
傷病手当金の受給終了から障害年金の受給開始までの空白期間が長くなってしまいますと、不安ですものね
両者をできるだけ途切れることなく受給するには、ご病状にもよりますが、傷病手当金の支給期間が満了するおよそ半年前から障害年金の請求準備に取りかかるのがよいと思います!
また、受給の時期が重なり傷病手当金と障害年金を併給する場合は、いずれの制度からも満額受給できるわけではなく併給調整が行われます。
障害年金の額が傷病手当金の額を上回る場合、傷病手当金は支給されませんが、障害年金の額が傷病手当金の額を下回る場合は、障害年金は全額支給され、傷病手当金は障害年金との差額分のみ支給されます。
ex.
傷病手当金の日額…7,000円
障害年金の日額…5,000円
障害年金5,000円 + 傷病手当金2,000円
※併給調整は障害厚生年金(同時に障害基礎年金も受給できる場合は、障害基礎年金と障害厚生年金の合算額)に対して行われますので、障害基礎年金のみを受給する場合は傷病手当金は併給調整されません。
※併給調整されるのは、傷病手当金と障害年金が同一の傷病によって支給される時に限られます。
このように同時期に重複して受給する場合は併給調整が行われますので、どちらからも満額を受給した場合は傷病手当金を返還することになります。
特にご注意いただきたいのが、障害年金の遡及請求を行うときです。
遡及請求というのは、障害認定日に障害等級に該当していたけれど、障害年金のことをご存じなかったなどの理由で当時請求されなかった方が、障害認定日の時点に遡って障害年金の請求をする方法です。
遡及請求が認められると、人によっては時効にかからない分の最大5年分の障害年金を遡って受給できる方もいらっしゃるのですが、遡った期間内に既に傷病手当金を受給している期間がある場合は、重複している分を返還することになり、返還額が数百万円という多額になることもございます
遡及請求が認められた場合は、初回入金時にある程度まとまったお金が振り込まれますので、そちらを傷病手当金の返還に充ててくだされば問題ないのですが、返還しなければいけないということをご存じなく一気に使い切ってしまった場合、返還するのが非常に難しくなってしまいます。
過去に傷病手当金を受給されたことがあり、障害年金の遡及請求をお考えの方は、重複期間に係る傷病手当金は返還する必要があるということを思い出していただければと思います。
LINEからのご相談も承っております