2月25日、霧雨が降るとても寒い日。私は、血液疾患患者さんの医療相談会と交流会のお手伝いに出かけました。


そこで、衝撃的なお話しを聞いたのです。


慢性骨髄性白血病の治療薬である分子標的薬を9年前に休薬できたのに、再発をしてしまった、とのこと。そして、9年前に飲み残していた薬を飲んでいる、とのこと。


ご本人にとって、再発はとてもショックなことだと思いますが、私やその場にいた3人の血液内科医の心の中の衝撃は、【9年前に飲み残した薬を医師がそのまま飲んでくださいと言ったこと】でした。目の前に患者さんがいらっしゃるので、ポーカーフェイスを装いましたが。。。


そして、もう一人。2年半前に休薬ができたとおっしゃる患者さん。「私も残しています。90日分が処方された直後だったので、もったいなくて。。。再発なく永遠に飲まなくて良ければいいですけれど。。。」と。9年前の薬を飲めるのだから、私も、ちゃんと保管しておこう、と、思われたのだと思います。


はい。確かに分子標的薬は、高額です。だから、三ヶ月処方で高額療養費制度を利用して、年間の負担額を少しでも減らす努力をしています。


なので、ルーティンワーク的に90日分処方してしまい「あっ、この患者さん、休薬できるな。」と診断し、休薬をお伝えする。


だから、こんなことが起きてしまった。。。のだと思います。


そして、昨日、私は日本臨床腫瘍薬学会にて講演をさせていただく機会を頂戴しました。





打ち合わせの時間に、5人の薬剤師さんに聞いてみました。


「9年間、家に置いていたラムネを食べますか?というのと同じですよね。あり得ないです。」と。他の薬剤師さんも同じ考えでしたし、驚いておられました。


「医師は高額な薬だとわかっているんだから、休薬できそうになってきたな、と、思ったら、処方の量を考えるようにすればよい!」と。お説、ごもっともです。


ちなみに、9年後に薬を飲んだ患者さん。白血病細胞はきちんと減ってきているそうです。変な副作用も出ずに、ちゃーんと効果が出てきて良かったですね。。。と、言っている場合じゃないですね。


あまりに衝撃的な出来事だったので、今後、このようなことが起こりませんように、と、警鐘を鳴らしておきたいと思います。