生きるとは自分の物語をつくること。
現実を生きるのがつらくなった状態は、
自分の物語の喪失です。
これは、セッションでも、占いの鑑定現場でも、
よく感じることです。
心理学者の河合隼雄さんは、
鑑定の現場での、カウンセラーについて、
「質問する側が勝手に物語を作ってしまうんです。下手な人ほどそうです。(中略)
了解不能のことと言うのは、人間を不安にするんです。
そういう時下手な人ほど、自分が早く了解して安心したいんです」
と語っています。
これは占い師でも同じで、
占いのデータから、自分が作りやすい物語を作って、
それを押し付けてしまう。
イテテテテテ。
短い鑑定時間で、物語を失った人に、
物語を取り戻してもらおうと、
鑑定の側が主役になってしまうと、
実は本人の物語ではないものを押し付けてしまうことになります。
そして、その物語は、鑑定士の物語の一部なのです。
これに、気が付かないと、鑑定士そのものも、
罠にはまりこんでしまうような気がします。
自分の物語を語りすぎる傾向のある人は、
他人の物語も自分なりに脚色してしまいますね。
私は、そのことが実はとても気になっていることに、
最近、気が付きました。
でも、気が付けた自分が誇らしくもある。
私たちの仕事は、あくまでも、自分の物語を失った人に、
それを取り戻すきっかけを与えるにすぎない…。
最近は、私は、自分の物語、ドラマとでもいうか、
それさえ捨てようとしています。
物語にはまりこむと、外側の世界にとりこまれたまま。
それを手放すことで、自分の根源がうっすらと見えてくる…。
私がその意識でいるとき、
きっと鑑定内容やセッションも、物語の色を消して、
より透明化してくれるのではないかと思うのです。
生きるとは、自分の物語をつくることだけど、
そこも止まってみてみると、
物語の奥に、その人を本当に支えている、
命本来の力がしっかりと流れていることに、気が付けるのかも知れません。