初めての富士登山。


想像以上に過酷で、体力的にも精神的にも限界に追い詰められた登山となったことを先に記しておきます。








富士山を登るルートは4つ、今回は山頂までの距離がいちばん短い富士宮ルートを選択。
数日前までは登山客の少ない須走ルートを予定していたが、お世話になっている美容室の店長のすすめもあり、「山頂のさらに最高峰、剣ヶ峰にいちばん近い!」、「唯一海が見えるルート!」ということで予定を変更し富士宮ルートから登りました。





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水ヶ塚公園駐車場


夏の登山シーズンはマイカー規制があり、5合目まではふもとの駐車場からシャトルバスを利用する。
当日は早朝から雨が降っており、弱くなった頃を見はからって着替え、シャトルバスに乗り込む。





9時くらいに富士山5合目に到着

5合目はすでにどしゃ降り。紹介が遅れましたが今回はだーやまと2人での挑戦。
バスを降りてすぐ、ずぶ濡れのパーカーと運動靴の軽装姿で下山してくる若者2人を横目に、少し呼吸が重い感じするなあ と僕。たしかに、とだーやま。

今思うとこれがあとに発症する症状の前兆だったのかも......







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高度に慣らすため少し時間をかけ雨宿りをしながら軽いストレッチをする。
とにかく雨がひどく、まともに写真を撮れる状況ではなかったので(余裕もなかった)全体的に写真は少ないです。。





30分くらい5合目に滞在し、いよいよ出発。

登山道に入ってすぐ、千鳥足かつ目の焦点が合っていない中年の登山者が下りてきて、だーやまと目を見合わせる。えっ?あれやばくない?? 残りわずかな気力で体を動かしているのだろうと思い少し怖くなる。



登山道はある程度整備され、全体的に登りやすい印象。







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6合目を越え新7合目。ここでおよそ標高2,780m
10:25に撮った写真のようなのでここまで約1時間。



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山の下は何も見えず... むしろこの写真を撮ったことすら記憶に....




この辺りまでは勾配も比較的ゆるやかだし三つ峠より全然楽だなあと感じたけど、高山病も怖いのでだーやまととにかく、ゆっくり、ゆっくり行こうと会話しながら進む。




早朝頂上でご来光を見た人たちだろうか、下る人たちがかなり多く、道が狭いところはゆずりあって通行。
途中、とびきりの笑顔で「こんにちは~」って挨拶してくれた山ガール2人組にはとても癒されました。




登りはじめてから常に雨、風、共に強く雨具から浸水してインナーまでビショビショ、靴も同様。
雨が弱くなったかな、と思ったらまた強くなるそれの繰り返し。登山としては最悪なコンディションに違いない。






8合目手前で頭痛、倦怠感が現れ体が思うように動かなってくる。またびしょ濡れの寒さで体力が奪われていくのがわかった。




8合目に着き、山小屋の軒先で雨宿り。この辺りになると何もしていないのに呼吸が苦しく、酸素が薄くなっていることを感じる。
止まると寒さが増すが休まないと進めなくなってきていたので少し落ち着くまで休む。





この先は歩くごとに今までの倍、その倍といった具合につらくなってくる。
だーやまもゆっくりペースを守って登っていってるのだろうが、こちらはそれについていくのが精一杯。
“9合目まで200m”の看板から登っても登っても一向に着かない。山小屋は見えるけど着く感じがしない...

この辺りからはずーっと下を向き、だーやまの通ったところを同じように進路をとる。これの繰り返し。



9合目に着き、山小屋のなかに入り休憩する。
この頃には頭痛、吐き気、めまい、倦怠感が大きくなり高山病発症を確信。さらに濡れた体、寒さで体調は最悪。食欲はなかったがコーンスープを注文し少しずつ口に流し込む。


この先行けるのか? と自分の心の中で考え、体調的には厳しいかもしれないけど気力で行くしかないと決断。もうやりきるしかないのだ。




ここからが過酷も過酷。もう言葉では表せない。
高山病の症状と闘いながら  一歩、 一歩 進む。片足ずつしか足が出ない

岩場で勾配もきつく今まで以上に体力が奪われていく。

数歩歩いては休憩、数歩歩いては休憩、この繰り返し


立ち止まっては乗り越えていく。登山は人生を表しているのだろうか そんなふうに登りながら考えた。


途中、コンニチハ!とかなりのスピードで登っていくTシャツ短パン姿の白人がいて、違う生物か何かじゃないかと本気で思った。


9合5勺からはどう登ったかほとんど記憶がなく、しんどい... しんどい... しんどい... 心の叫びを言葉にすることしかできなかった。

すごい表情をしていたのだろう、下ってくるおじさんがあと少しだからがんばって!おばあさんはもう頂上見えてるよがんばってね!と声をかけてくれた。本当に助けられた。








そして、ついに頂上へ




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スマホをバックから取ることさえしんどく、この写真も気力で撮った。
頂上から下を見下ろしても雲があるだけ。



自分が富士山に登りたいと思った理由は、日本一の山に登りたかったから。日本一の山からの景色を見たかったから。


登っている途中で分かってはいたけど、やっぱり頂上から日本一の景色は見ることができなかった。




頂上では頭痛と吐き気と寒さで限界、富士山の最高峰、剣ヶ峰なんてとても行ける状態ではなく、山小屋の軒先で雨宿りしながらつらさに耐えることしかできなかった。
高山病は高度を下げるしか改善させるすべはなく、すぐに下山したかった。

だーやまは火口付近まで行きたそうだったが、限界と伝え、小休憩の後すぐに下山した。





下りはじめてすぐ、やっぱり、「なんでここに来たんだろうか。」と考えてしまった。
つらい思いをして登り、耐えられない症状を患い、、 涙がでてきた。とてもしんどかった。


下りで足をつくたび振動で頭痛の頭に響く。ほんとうにゆっくり、ゆっくり下るしかなかった。
そして頂上を出発して5分経ったくらいか、急に辺りが暖かくなって雲の奥からかすかに太陽を感じた。


そのすぐ直後だった。
数分もしないうちに雲がなくなり、一気に明るくなった。そして目の前に絶景が映った。思わず声をあげてしまった。




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こんなことってあるの.... 


空は遠くまで青く、駿河湾の海まではっきり見えた

つらい症状を忘れ必死に写真を撮った。











絶景を見てメンタル的に回復し、また下りはじめるも頭痛、吐き気の症状は全く治らず、登り同様歩いては休むの繰り返し。

だーやまも最初はハイペースで下っていくも徐々に失速、登るときは普通に登ってきた7合目~8合目区間もかなり長く感じ、後半は休憩の時間のほうが長くなっていた。

ここで思ったのは、こんなにつらい状態なのにあの山ガールはなぜ笑顔でいれたのかということ。頭が下がる思い。



6合目までくると高山病の症状は多少は和らぐも、足が限界に。朝に見た中年の方の状況がわかる気がした。もうこの頃には辺りは暗くなり、iPhoneのライトを使い足元を照らしながら5合目にたどり着く。


5合目に着いたのが7時すぎ。計算上往復で10時間。




富士山は凄かった。これが正直な感想。やはり日本一の山は違う。

下りながら、もう富士山には登らないだろう。と思ったが、これを書いている今は機会があればまた登りたい。に変わっている。それくらい人を魅力的にさせる山なのかもしれない。





最後に、登山時の栄養補給のために買っていったお菓子



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高山病発症で食欲がなく、結局食べたのはソイジョイ1本のみ。

翌日になり、やたら甘いものや高カロリーなものが食べたくなるのは富士登山でカロリーを大量に消費したからなのか。