支払い督促が発付されただけでは
まだ本当の意味での債権者にはなれない
法的な効力を持つためには
相手が特別送達郵便を受け取って２週間経過後
次の手を打つ必要がある
次の手は 訴訟で細かく支払いの計画を
約束させようと思っていた
Оにとっては 異議申し立てを出さなければ
ものすごく不利な状況に置かれる
必ず 理由なき異議申し立てを出すはずだ
と思っていた
ところが・・・
Оは私のことを待ち伏せしていた
電話もメールも一切お断りして
裁判所でしか会わないと宣言していたので・・・
そりゃそうだろ 傷害事件で
人を半殺しにして 懲役６年くらった
なんて告白されたら
とても個別に接触できるわけがない！
私は通勤で Оの家の近くを車で通る
私が車を止めて運転席の窓を半分開けると
「あゆみさん、昨日は
ずっと待ってたんだよ・・・
通らなっかったんだね」
冷たく
「こっちの都合や」
目をうるうるさせながら
「あゆみさんに、謝りたいことがあって・・・
実は 俺 、異議申し立てを出さなかったんだ！」
「・・・・・」
（なんで そんな自分に不利なことをするんだろう？）
「それでさ、俺 ネットで調べたんだけど、
俺が 異議申し立てを出さなかったせいで
あゆみさんに 折角 何千円もかけて頂いた
支払い督促の正本が なんと
ただの紙切れになちゃったんだって！
それで 申し訳なくて・・・・・」
「あの・・・」
（何うそこいてんねん！）
「それでさ それでさ
申し訳ないもんだから
裁判所を通さずに 全額一括で払うよ
お金の用意ができるのが
だいたい 一か月以降なんだ
一か月経って お金ができたら
真っ先に連絡するよ
だから こっちが連絡するまでは
裁判所には行かないでね」
「・・・・・」
（キタ！キタ！キタ！キタ！これはチャンスかも
）
「あゆみさんは 外見も美しけど
きっと心はそれ以上に美しいはずだ
俺 あゆみさんのこと 信じてる
だから三つのお願い聞いてくれるよね
ねね
一つ目は 一か月待ってくれる・ 裁判所に行かない
二つ目は 病気のおふくろを心配させたくないから
家に取り立てに来たりしない
三つ目は 美しいあゆみさんと握手がしたいな」
（コイツ 思った以上にアホ
喋り方が詐欺師独特や
）
「二つのお願いは わかったワ
一か月たってェお金ができたら
メールで連絡してね
三つ目のお願い 握手は
返済してくれるまでおあずけ」
「うわ～ 待ち遠しいなあ～
一か月と一週間待っててくれれば
完璧に間違いなく払えるからね」
（おばはん騙すくらいチョロイもんよ 
）
「じゃあね 
」
（綺麗な花にはとげがあるんじゃ
覚えとけよ くそ詐欺師 ）
私は仕事そっちのけで
簡易裁判所にぶっ飛んだ
仮執行宣言の申し立てをするために。
一か月経過すれば支払い督促は失効する。
夜逃げでもして失効させるつもりだ。
それまでに 一刻も早く
債務名義をとらねば
急げ！急げ！
債務者憎んで犬憎まず あゆみ
