退院その日・・ありがとうの五文字が言えなかった。
勿論、さようならの5文字も・・・・
昨年の3月27日
群馬県高崎総合医療センターを退院しました。
退院・・普通は嬉しい日だけれど
俺の心はそうではなかった。・・急に寂しくなったの
北海道から遠く離れた所で両足が無くなった俺に
看護師さん達はどの人も明るく接してくれましたので
毎日があっと言う間に過ぎていきました。
部屋の担当者が2名・・毎日変わります。同じ人と会うのは
1週間後くらいになります。
その中で一人・・この部屋を私が担当します。
と言う看護師が挨拶に来ました。割り当ての看護師が居るのに?
当然、ローテーションでその看護師が正規?の割り当てに
なる日もあったけれど、その日以外も・・・
カーテンをチョット開け・・・・たぁ~かさん・・と顔を出しにきました。
日中の仕事終わりの夕方も、夜勤明けの朝も・・カーテンの隙間から
顔を出し、カーテンの隙間から、たぁ~かさん・・・と
正規の担当の日は自分の事、家族の事を一杯話しました。
家族とライン動画で紹介もして・・・
家族も彼女にとても感謝していました。
退院が決まって、その日が来ました。退院の日の朝・・・一杯感謝の気持ちを
彼女に伝えよう・・・そう思っていましたが・・・・
上司の計らいでしょうか、彼女が見送りしてくれる事になっていて
お世話になった看護師さん達に挨拶してエレベータに乗りました。
6階から1階まで・・・・・お互いに何も話さないで・・・家族も一緒です。
何故か言葉が出なかったのです。後で家族に聞いたら彼女はずっと
下を向いたままだったそうです。
1階からロビーを通って、外に出ました・・・家族が察したのか
「おとうさん、写真を撮ったら?」に促され1枚だけ写真を撮りました。
その時も二人は無言
車に乗ってバックミラーを見たら彼女が見えました。段々と小さくなって・・・・
あ・り・が・と・う のたった5文字が言えなかった。後悔しているけれど
その時は・・・別れの辛さが大きくて言葉にならなかった。
もう、二度と逢えないと思う彼女に今、言いたい
あ・り・が・と・う のたった5文字を・・・・

