終戦後に
保護された孤児たちは
子供らしい笑顔を失い
その表情は老人のようだった。


なかでもカレル少年は
突如として
幸福な家族を失ったショックで
言葉をも失っていた...




1948年  MGM映画
山河遥かなり
The Search


失われた少年の言葉を探す人
モンゴメリー・クリフト
(アメリカ兵ラルフ)
この映画で堂々デビュー。


ショックで失語症になった少年
イワン・ヤンドル
(カレル少年)
この映画でアカデミー特別賞。


我が子を探し続ける母
ヤルミラ・ノヴォトナ
(ハンナ)
チェコの国民的ソプラノ歌手。
この映画制作当時は、トスカニーニの推薦で契約したメトロポリタン・オペラで活躍していた。
劇中でそのソプラノを披露している。



顔は怖いが母性愛はいっぱい❤
アリン・マクマホン
(国連救済所の女所長)



監督
フレッド・ジンネマン
この映画で一躍勇名を馳せる。
他に
『真昼の決闘』(1952年)
『地上より永遠に』(1953年)
など




多くの孤児たちを迎え入れている国連救済所の女所長(アリン・マクマホン)が、映画の冒頭で語ります...



「大勢の子供たちが、強制収容所や瓦礫の街々でホームレスとなっているところを保護された」








「ここに連れてこられた孤児たちは、数百万の戦争孤児のほんのひと握りにすぎない」




「この子たちが、ここに来る前に暖かなベッドで寝たのは、いつのことだったろう」







女所長は、子供たち一人一人を面談していきます。








何を聞かれても「知らない」...
自分の名前さえも「知らない」としか答えないこの少年(イワン・ヤンドル)は、特別なケアが必要な子供として、ケアを要する他の子供たちと一緒に、しかるべき施設に移送されることになります。




ここから続くシーンは、この映画のハイライトですね。
戦後すぐのドイツの街でのロケなので、破壊の凄まじさを実感出来ます。





子供たちの多くは、制服の大人たちを怖がり、これが救いの手である事に疑念を抱いていましたが、移送に使われた車が赤十字マークの入った車だったことから、一層子供たちの恐怖心を煽ることになり、一部の子供たちが逃走してしまいます。

















失語症の少年も、なにかと面倒を見てくれていた年上の少年と一緒に逃げ出しました。













川岸に追い詰められた2人は、泳いで川を渡ろうとしますが、哀れ年上の少年は途中で力尽き、すぐに諦めて引き返した失語症の少年は、帽子を流されただけで助かったのでした。
















その後、失語症の少年は、空腹の極に達していた時に、心優しいアメリカ兵ラルフ(モンゴメリー・クリフト)と出会い、保護されます。











ラルフは、失語症の少年の腕にAから始まる番号が入れ墨されているのを見て、少年がアウシュビッツに収容されていたことを知り、国連救済所本部に少年の腕の番号を頼りに身寄りを探してくれと頼む一方、少年に「ジム」と名前をつけて「NO」「YES」という言葉から根気よく英語を教えていき、少年から身の上の手がかりを得ようとしますが、半年がたち、カタコトの英語が話せるようになっても、ジムは何も思い出すことが出来ませんでした。




もう、ラルフが任務を終えてアメリカに帰国する日が近づいて来ました。

独身の彼は、ジムをアメリカに連れて帰り、自分の養子にして育てることにするのでした。

オー!スーパーナイスガイね!
😇




ラルフと同じハウスに同居している同僚のフィッシャーの妻子が、アメリカから転居して来て一緒に住むことになりました。

ジムは、年齢の近いフィッシャーの息子トムとすぐに仲良しになります。







トミー!


「誰か呼んでるよ」

「母さんだ。行かなくちゃ」








トムには、優しい母さんがいる...母さんって何?















その夜、ジムは自分にもママがいた事を思い出し、強制収容所で引き離された時の記憶が蘇ります。



いてもたってもいられなくなったジムは、ママを探しに、こっそりと家を飛び出し、夜の闇の中へ消えるのでした。





ジムが発見されたのは次の日でした。




「いたぞ」




「やあ」
帽子をとって挨拶する礼儀正しいラルフ。













「泣くな…泣くな…」



「ま、いいか…泣け」


















ジムの母親ハンナ(ヤルミラ・ノヴォトナ)は、強制収容所を生き延び、夫と娘が死んだことを知りますが、行方のわからなくなっている息子の消息を訪ねて、ドイツ各地の国連キャンプを転々と訪ね歩いていました。




そして遂に、息子が逃げ出した救済所にたどり着きます。






「今、ここにいる子は、パレスチナに送られるのを待つユダヤ人の子供だけです」
※この映画が公開される前年、国連はパレスチナの分割案を採択していた。
国連決議を受けて『イスラエル』が正式に建国を宣言したのは、この映画の公開年である。



「息子さんに、収容者番号の入れ墨は?」

「いいえ、私と一緒の間はされてませんでした」


「息子さんの服装はどんなでしたか?」

「…息子はいつもダークグレーに白いしま模様の毛糸の帽子を被っていました…」





「もしかして、これ?」



「カレルのです!この部分を私が直しました!」






「息子さんはここにいましたが、逃げて、水死しました」





「どこで?」

「メインブリッジ近くです」








ハンナは、救済所近くの川に架かる橋の上で、川の流れを見ているうちに卒倒してしまったところを、救済所の孤児に助けられるのでした。








「マリクさん、ここで働く気はない?子供たちといると気が紛れるわよ」








「シャローム!」

「シャローム!シャローム!」
(ヘブライ語の挨拶:平和で!)





明るさを取り戻したユダヤ人の孤児たちは、パレスチナへと送られて行きます。


その子たちと入れ替わりに、また新たに救済所に送られてくる、沢山の戦争孤児たち。








ハンナはここで、自分の使命に気づくのです。



そしてその、血の繋がりを越えた母性愛が、わが子との奇跡の再会へと繋がるのでした…









😭
涙で、なんも言えねぇ!











ここで、1曲🤗

It's a small world
小さな世界
※『小さな世界』は、1964年のニューヨーク世界博で、ウォルト・ディズニーがユニセフ(国連児童基金)館の為に制作したアトラクションだった。
曲は『メリーポピンズ』のシャーマン兄弟。


各国の民族衣装を着た子供たちの人形が、楽しそうに踊りながら『小さな世界』を合唱するこのアトラクションの最後に登場する子供たちの人形は、皆一様に白い衣装を着ている。

この白い衣装を赤い血で染めないように、国籍を越えて守ろうという、ウォルトの願いが込められているのだそうです…😊


シャローム!👋









★付録★

人間の子を守る猫たち

猫たちが見せる

種を越えた母性愛にも

感涙ものでございますよ。

😭








合掌
🙏







ご訪問ありがとうございました。

お体ご自愛ください。









★ Amazonプライムビデオ★

見放題配信中

 

 

⬇️ 『山河遥かなり』に着想を得たという2014年公開の映画。

物語の舞台は、ロシア軍に侵攻されたチェチェン。

 



 


★DVD版★

 

 



 










★次回予告★




古今東西
猫目の女たちは
男たちを虜にしてきた




ナスターシャ・キンスキー






オードリー・ヘップバーン






デヴィ夫人






トットちゃん





猫娘




その目に見つめられたら
男たちは
もうあらがえない


目が合ったら
もう終わりだ






★主演★

フランソワーズ・アルヌール


『女猫』
1954年  フランス映画




1943年
ドイツ占領下のパリ

その猫目は
夫を死に追いやった
ドイツ軍への
復讐に燃えていた!










恋に燃える眼差しか
本能に狂う唇か

映画の限界を越えた
官能の極地!
(日本公開時の宣伝コピー)

1959年日本公開当時、「映画の限界を越えた」と称された「官能の極地」とは?



次回更新を待たれたし!
🙇‍♂️