🎼『カサブランカ』
🎤バーティ・ヒギンズ



ハンフリー・ボガートには
ナイトクラブのマスターが
よく似合う…




本作でボギーは、
戦前の銀座で
ナイトクラブを営んでいた
元マスターを演じます。

店の名は東京ジョー。

妻トリーナは、
店の看板歌手でした。





終戦後、
東京に帰って来たジョーが
目にしたのは、
変わり果てた
東京の姿でした。



そして、

愛していた妻トリーナは、
日本で生き延びていました。



戦時中には、
東京ローズとなって…



東京ジョー
Amazon Prime Videoで絶賛レンタル中。
1949年 アメリカ映画



監督
スチュアート・ヘイスラー

主演
ハンフリー・ボガート

早川雪舟

島田テル
『007は二度死ぬ』にご出演



富士山を空撮したタイトルバックから始まり、戦後3年しか経っていない日本の町を写した空撮映像がだんだん地上に近づいて来ます。



空撮が低空飛行で多摩川河口付近を通過して着陸した所は、現・羽田空港の米軍羽田空軍基地。
(全くの余談ですが、私、羽田で生まれました。2番目の兄は、まさにこの年に生まれました。残念ながら、羽田の空撮に昔の我が家は写っていませんでした…😅)


羽田に降り立った人物は、ハンフリー・ボガート演じるジョセフ・バレット。通称ジョー。
戦時中は、空軍大佐でした。

ボギーお馴染みの、幅広リボンを巻いた中折れ帽子にトレンチコート姿です。



ジョーは、ノースウエスト・エアラインのボンネットバスで皇居お堀端にある第一生命会館ビルのGHQ本部へ。
(全くの余談ですが、私が園児の頃も、バスにボンネットが有りました…😅)
⬆️昭和23年の第一生命会館前


占領下の日本に入るには、アメリカ人といえども顔写真や指紋までとられて、かなり面倒。

「今の日本に入るには、脱獄より難しいな」

と、ジョーは渋いジョークを一発。


ここでジョーは、60日間の滞在許可を得ます。




⬆️昭和23年の現・渋谷109前。矢印看板にSAKAE DORIとあるのは、現・渋谷文化村通り。

東京の風景の中にいるジョーは、決して顔が写っていませんね。
全部、代役さんですな。




露店の建ち並ぶ、現・渋谷109前で輪タクを拾ったジョーは、かつての古巣『東京ジョー』に向かいます。

⬆️ジョーの顔が写っているカットの背景は、スクリーンプロセスによる合成ですね。

カットつなぎの編集が巧みなので、実際にボギーが東京の街にいるみたいです。




銀座2丁目にある『東京ジョー』は、戦前のままにありました。

今は、ジョーが日本を去るときに店を託した親友の伊藤(島田テル)が営んでいます。


店で最初にジョーの応対をした男は、伊藤が雇っているこの店の用心棒のようです。




ジョーは伊藤から、妻トリーナ(フローレンス・マリー)が生きている事を知らされ、喜び勇んでその住所を訪ねます。




日米開戦直前、ジョーはトリーナと仲たがいして単身アメリカへ帰国。

すぐに後悔しましたが、戦争が始まってしまい、それ以来音信不通になっていました。



愛するトリーナと7年ぶりに涙の再会…


…のはずでした。


しかし、トリーナはジョーの知らない間に離婚して、GHQ御用達の弁護士マーク・ランディス(アレキサンダー・ノックス)と再婚してしまっていました。

「なんという仕打ちだ!」


「言っておくが、必ずトリーナを取り戻す」

ジョーはランディスにそう宣言して去ります。



とりあえずトリーナが生きている事を知ったジョーは、もっと日本に居続けたいのですが、許された滞在期間は、わずか60日…

何とかならないか?

ジョーは、伊藤と共に元秘密警察で今は裏社会の親玉、木村男爵(早川雪舟)を訪ねます。

伊藤は、かねてより木村男爵からジョーを利用した闇の仕事(金になる)を持ちかけられていてのでした。




「あー、そう…」


木村男爵を演じる早川雪舟さんは、まさに怪演!
不気味過ぎる存在感があります。


雪舟さんの言う「あー、そう…」は、昭和21年に、日本中の子供から大人まで空前の流行語になった昭和天皇の御言葉、
「あ、そう」
とはまるで違う、底知れぬ気味悪さを含んでいます。


実は木村男爵、ジョーがアメリカ人である事を利用して、彼の名義で航空権を取得する事を目論んでいました。

そして、その目的の裏には巨大な陰謀が隠されていたのです。



滞在期間を延長したいジョーは、男爵の取引に応じます。

しかし、かつて日本をホームタウンとしていたジョーはGHQからマークされている存在でした。
簡単には航空権の許可が下りません。


滞在期間が、1日…1日と少なくなっていきます。


ジョーは再び木村男爵を訪れます。

「あー、そう…」

木村男爵はジョーに、秘密警察時代に取得したファイルを見せます。

それは、戦時中にトリーナが日本の反米放送に協力していた事を記録したものでした。

トリーナは、東京ローズの1人だったのです!

もしこれがGHQに知れたら、トリーナは戦犯として裁かれる事になる…

木村男爵は、これをネタに夫のランディスを脅して、彼から航空権の許可をGHQに働きかけさせろ、というのでした。


ジョーは、日本に住んでいたとはいえ、愛国者でした。
彼は、このトリーナの戦時中の行為を彼女に突きつけます。


しかし、トリーナの口からは、衝撃の事実を知らされるのでした。



トリーナは開戦と同時に大山プリズンに収容されたこと…

そこですぐに女の子を産んだこと…

彼女は、その子を守るために、日本の反米放送に協力したこと…




その女の子アーニャは、今7歳になっていました。


つまり、ジョーの…












「俺は、この仕事をおろさせてもらう」



「あー、そう…」

「ならば私の手で、ミセス・ランディスが反米放送に協力していた事実を公にするだけだ」

木村男爵は、ジョーを脅します。


その会話を別室に潜んで聞き耳を立てていたのは『東京ジョー』の用心棒と…
なんと、ランディス家のお女中さんまで!


木村男爵、恐るべし!

彼は既に、アメリカ人の有力者の家に使用人を装ったスパイを配していたのです!

一体、何を目論んでいるのか?





結局、トリーナと我が子を守りたいジョーは、GHQに顔の効くランディスに頭を下げて頼みこみ、なんとか航空権を取得したのでした。


これにより、ジョーの滞在期間も延長されます。



ジョーは、安いプロペラ機を1機仕入れて、人員を確保します。

当初の空輸品は、申請通り食用の冷凍カエルでしたが…🐸


男爵の本当の目的は、ソウルに潜んでいる戦犯の大物3人を、日本に密入国させること…

その中には、ブラックドラゴン(黒龍会)の伝説的な大物もいました。


木村男爵は彼らを帰国させ、その求心力を利用してクーデターを目論んでいたのです!



しかし、GHQも馬鹿ではありません。

ジョーの空輸会社発足と同時に社内にエージェントを送り込み、木村男爵の計画は筒抜けになっていました。


それを知ったジョーは、密かにGHQと手を組みます。




一方、木村男爵はジョーが裏切らないように手を打つべく、ランディス家に配していたスパイのお女中さんを呼び寄せます。


そして、子分達を遠ざけ、2人きりの部屋で襖を閉じて…




なして?目
なして子分達を遠ざけて2人きりに?目



あ~!そう!


いーけないんだー、いけないんだー!


にゃんにゃんっスよね?🐱

絶対、にゃんにゃんっスよね!🐱




このス○ベジジ◯が!

ねーちゃんに、大仕事をさせる前のご褒美ってことよね。

それとも断れなくするため?


この男、ホント悪い人ネッ!





その後、このお女中さんはランディス家の娘アーニャの誘拐に加担するのでした。




ジョーは日本を離陸直前、アーニャが誘拐された事を知り、予定どおりソウルで3人を搭乗させたあと、大いに悩みます。


GHQは、羽田着陸を指示しています…

そこで、3人を逮捕する手筈でした。


しかし、アーニャが人質になっている限り、木村男爵の指示に従うしかない…





その、ジョーとGHQとのやり取りを聞いていた3人は、機内で反乱を起こすのですが…




結局彼らは、日本のどこに降り立っても逮捕される運命なのでした。






「こうなったのは、全部俺の責任だ…」
親友の伊藤は、ジョーに懺悔して果てますが、その際、子供が隠されている秘密のアジトを教えてくれました。




そしてジョーは、単身アジトへ乗り込んで行くのです。

我が子を救うために!






ハンフリー・ボガートには
SAD ENDがよく似合う…




ジョーが無事に我が子を腕に抱いてアジトから脱出しようとしたとき、背後に潜んでいた木村男爵の手にした拳銃が火を吹きます。


1発…2発…3発!4発!

5発6発7発…




アジトを包囲していたMP(ミリタリー・ポリス)は、銃声を聞いて一斉に踏み込み、そこで男爵は一巻の終わりに…


子供は無事保護されました。



しかし、ジョーは…





泣きながら駆け寄って来たかつての妻トリーナに、ジョーは言葉を残します…



「また、あとで会おう…」







ジョーという男は、一見クールですが、心は熱くてかわいい男でしたよ…😭










カサブランカダンディ
🎤沢田研二



ハンフリー・ボガートには
トレンチコートがよく似合う…


ボギーといえば、巾広リボンの中折れ帽にトレンチコートですよね。

『カサブランカ』でも、ラストシーンのトレンチコート姿はきまってました。



あの、谷村新司さんも『カサブランカ』の大ファンだそうで、かつて、ばんばん(番場博文さん)との軽快なトークが楽しかったラジオ番組で、とても面白い話をしてくださっていました。

谷村さんが、カサブランカを訪れた時の話です。

谷村さんは、そこでボギーを気取って記念写真を撮ろうと、トレンチコート持参で行ったそうです。


しかし、そこは想像を超えた暑さ!


現地の人に、
「ここで、そんなもん着ている馬鹿はいないね」
とか言われたそうです。


谷村さんは、トレンチコートを着て、汗だくで写真に収まりながら、心の中で叫びましたって…


この大嘘つきが!



ちなみに、モロッコにあるカサブランカは、雨がほとんど降らず、一年中温暖な気候なのだそうですが、夜は結構冷えて、ジャケットがあった方がいいらしいんですがね…




まあ、映画はいかに上手に嘘をつくかが勝負みたいなところが有りますからな…


上手く騙してもらえると、嬉しくてたまりませんです。
(*^.^*)






哀愁のカサブランカ
🎤郷ひろみ

この歌の歌詞は、ジョーの心情とも重なるところがありますね。
(T^T)








本日もご訪問ありがとうございました。

お体ご自愛ください。👋