修理に出した私のスマホが、初期化で軽くなって帰って来たので、今のところサクサク快調に働いてくれてます。
ブログ再開後も、皆様の暖かいいいね!やコメントを沢山頂いて、感謝感激いたしております。
ありがとうございます!
ところで帰って来たといえば、こんな映画がありましたね。
1968年 松竹映画
制作 創造社
帰って来たヨッパライ
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監督
大島渚
主演
フォーク・クルセダーズ
加藤和彦(大ノッポ)
北山 修(中ノッポ)
端田宣彦 (チビ)
緑 魔子(ネェちゃん)
佐藤 慶(脱走韓国兵)
作詞・松山猛 作曲・加藤和彦
アラカン以上の世代は、驚愕の大ヒット曲フォーク・クルセダーズの『帰って来たヨッパライ』のレコード・ジャケットを覚えている人も多いかと思います。
我が家にもありましたし、親戚の家にも、友達の家にもありました。
このレコードが大ヒットしたのは、歌詞の面白さもありますが、早回し録音の面白さにもあったと思います。
歌謡レコードの常識を打ち破る斬新な表現だったんですね。
映画の方も、けっこうアバンギャルドな映画です。
この映画は、歌と同じ「夢オチ」がカギですね。
映画全体が、悪夢のループで構成されているんです。
そして、エンディングまで悪夢から覚めることはありません。
大島渚監督は、アイドルグループの音楽映画を撮る気など端から無かったようで、おバカな展開と重たいテーマが混在する迷作映画となっています。
映画は、フォークルの3人が東京から旅行で訪れた北九州のとある海岸で、ピュリッツァー賞を受賞したベトナム戦争のショッキングな報道写真を真似して遊んでるシーンから始まり、重たいテーマがチラリと見えます。
浜辺で戯れるフォークルの3人が初々しいですね。
大島監督は、映画の主役級に本業の役者では無い人を好んで起用しました。
「映画に起用したい人は、1に素人、2に歌手…すこし離れてスター」
と、監督自身が著書の中で語っていました。
報道写真を真似した悪ふざけ(これが天罰の始まり)の後、フォークルの3人は、服を脱いで、海の中へ…
その間に、何者かが彼らの服をすり替えてしまいます。
しかも、その服は韓国軍人の軍服と学生服。
それによって3人は、密航韓国人と間違われてしまい、警察から追われる羽目に…
何故追われるのか理解出来ない3人はあっさり捕まり、署に連行される時に、朝鮮半島分断の悲しみを北側から歌ったあの歌を、呑気に口ずさんでしまいます。
この歌は、フォークルがアマチュア時代から歌い続けて来た歌でした。
我が祖国 南の地
想いは遥か
イムジン河水清く
とうとうと流る
これで、半島からの密航の疑いは確たるものに…
しかし、警察の隙をついてなんとか銭湯に逃げ込んだ3人は、岩風呂で謎のネェちゃんに声をかけられます。
「他人の服を盗むのが一番よ」
ネェちゃんの助言に従って、銭湯で服を盗んで外に出た3人の前に、フォークルの服を着た韓国軍人の男と青年が待っていました。
ベトナム戦線行きを嫌って脱走して来た韓国軍人の男は、拳銃を突き付けて言います。
「もう一度、私たちの服を着てください!」
この2人は密航者で、自分達が死んだと見せかける為に、フォークルに自分達の服を着せて殺害後に、日本人に成りすます「背乗り」を企んでいたのでした。
フォークルの3人は、その魔の手をなんとか逃れますが、結局警察に密航韓国人として捕まり、韓国へ強制送還されてしまいます。
ちっこいボートで…。
釜山港に着いた3人は、直ちに軍へ送られ…
韓国軍の兵営の再教育で愛国心を洗脳(?)されることになります。
チョゴリを着て踊る女性たちの輪の中へ入れられた3人は、いつしか一緒に踊り出してしまいます。
そして、ベトナム戦争の最前線へと送られるのでした。
彼らは、そこであえなく戦死…。
ここで悪夢は最初のループ。
密航韓国人の魔の手から逃れて、墓石の前で寝ている3人を、謎のネェちゃんに起こされます。
実は、このネェちゃんは日本へ密航して来る韓国人に同情して手助けをしている韓国人。
その夫は、金目当てで手助けをしている韓国人なのでした。
この夫の悪党ぶりが、とても滑稽です。
そして再び彼らの前に現れた、密航韓国人の暗殺者2人。
なんやかんや暗殺者の目をくらまして逃げ出したフォークルの3人は、東京行きの列車に乗り込みますが、彼らを追って暗殺者も乗り込んできます。
3人は列車のトイレに逃げ込みますますが、列車がトンネルに入る轟音を利用して、外から拳銃が打ち込まれてきます。
フォークル絶体絶命!
そして列車がトンネルに…
あ~っ!
これで悪夢から覚めるのか?と思いきや、フォークルの3人は、何故かマイクを片手に街頭インタビューしています。
「あなたは韓国人ですか?」
このインタビューシーンには、実際に街頭で行ったインタビュー映像も混ざっているのではないかと思える程リアルな反応があります。
失礼な質問するな!と言わんばかりに怒り出す人もいます。
当時の日本人の韓国人に対する印象を垣間見れるようなシーンです。
昔は、朝鮮人をチョ◯とバカにして呼ぶ人も私の周りにいました。
ちなみに、この映画が公開される1ヶ月前には、あの『金嬉老事件』が起きてます。
最後にインタビューされるのは、なんと大島渚監督!
これも悪夢の一部なんですかね…
(^^;
そして映画は、なんと冒頭の海辺のシーンまでループします。
フォークルの3人は、これから起こることを既に体験して知っているので、危険を回避しようとしますが、どうしても危機的状況になってしまいます。
最終的にフォークルの3人は、密航韓国人を撃ち殺してしまうのでした。
そして3人は、やれやれと東京行きの列車に乗り込みますが、そこには殺した筈の密航韓国人が…
この列車は、いったい何処へ?
やがて窓の外に悪夢の原点となったあの光景が…
そして列車はトンネルの中へ…
あ~っ!
おらの目が覚めた
畑のど真ん中
おらは生き返っただ
おらは生き返っただ
映画『帰って来たヨッパライ』は、悪夢のループを行きつ戻りつする、平和酔いした3人の若者の話でした。
この映画の中で、フォークルは唯一歌う歌が『イムジン河』です。
イムジン河は、休戦ラインの近くを流れ、『帰らざる河』と呼ばれているそうです。
誰が祖国をふたつに
別けてしまったの
誰が祖国を別けてしまったの
イムジン河 空遠く
胸がえぐられるほどに、悲しい歌ですが、この2番の詩は原曲とは違う、作詞の松山猛氏(映画『パッチギ』のモデル)のオリジナル詞でした。
この歌は、映画公開の1ヶ月前に朝鮮総連の横やりで発売中止になり、既に出荷済みだったレコードは回収されましたが、10万枚が未回収に終わったとか…
発売は中止になりましたが、ラジオでは時々流れているのを耳にしました。
それから30年以上たった2002年、封印が解かれ、当時の音源でCD発売されています。
それでは最後に、フォークルの歌う『イムジン河』をお楽しみください。
どうじょ!
ちなみにもと歌はこちらですね。
本日もご訪問ありがとうございました。
お体ご自愛ください。