2021年も残り4か月余り。
21世紀は既に5分の1を過ぎたわけです。
私の台湾生活は、現在6年半になります。
されど6年半。
長いようにも短いようにも思える歳月。
学生さんにしますと、入学から卒業まで優に超える期間。
旅行期間を入れますと、初めて台湾を訪れたのは2012年2月。
この間、台湾も日本も「国としても」「日本人、台湾人としても」大きく変わりました。
私の感覚では、この6年半で
台湾は「多くの方が自国(台湾)に自信を持った」
に対し、
日本は「多くの方が自国(日本)の現状に不安を抱いている」
傾向かと思います。
しかし、日本の未来は決して暗いものではなく、再び日の目を見る日が来る。
私はそう信じています。
それには、今の若い方々の活躍とそれを見守る上の世代の方にかかっているのです。
これは日本にいる若い方、海外に留学されている日本人どちらの方にも言えることです。
私は海外へ留学し、帰国された方、一貫して日本で学業を全うされた方との相乗効果、化学反応に私は期待しているのです。
平成以降に生まれた若者はまんざらじゃないと常々思っています。
今の日本は「曲がり角」に差し掛かっているのです。
国の情勢など、糸も簡単に変わるものです。
昨今の、香港、クリミア半島、ミャンマー、アフガニスタンがその例です。
対外的なイメージもそうです。昭和から平成へと変わる頃までの日本は、世界から
『アジア唯一の先進国、比類なき強大な経済力を有する平和国家』
というイメージが、2021年現在では
『30年間の経済停滞、物的にも人情的にも余裕が無くなりつつある国』と変わりつつあります。
例えば、2000年生まれで現在大学3年生の方にとってみれば、既に下記のイメージが「今の日本のイメージ」として受け入られる訳です。
私のように昭和の生まれで、学生時代は未だ世界2位の経済力だった日本を見ている世代からしますと、どうしても今の日本が『もうだめだ』と悲観的に思えてしまうものが、今の若い方からすると「どうにか今の日本を再び良くしたい。」と素直に思える方も遥かに年配者より多く、それが時間的にも、能力的にも可能なわけです。
中には、「是非、上の方の模範となって下さい」とお願いしたいくらい、礼儀正しく、未来志向な若者も数多くいます。
無論その反対の方もいるわけです。
台湾に留学している日本人の方へ、伺いますとおおよその方は「自らの意思で海外留学を選んだ」と答えます。
もうこの頃の年齢になりますと、育った環境や、親からの影響を理由に生きることは、限定的にしなければなりません。
(それを払拭出来ないまま歳を重ねたくないものです。)
また、在学中に「社会に出たら何をしたいか」「卒業後は日本に帰るか、このまま現地で就職するか」を大学1年生2年生の内に考えている方と、そうでない方で卒業後の人生が大きく異なります。
当たり前と言えば、当たり前です。
「わざわざ祖国日本を出て、最終学歴に海外の大学」を選んだのですから。
おおよその日本人留学生の方は、卒業後は日本へ帰国し、日本の会社を選ぶ傾向です。
しかし、その傾向も今後の日本社会次第で変わる可能性も有ります。
「海外(台湾)留学中に何を身に着けたのか」で大きくその後の人生は変わります。
せっかく海外に来ても、飲み歩いてばかり、遊びほうけてばかりでは、何の意味もないどころか、返ってその国に日本の恥を晒すだけです。
実際、台湾の大学を卒業された後、順調に人生を歩んでいる方とそうでない方、共にいるのは、そういう事です。
人生の軸。
これが「ブレない方」と「ブレる方」になるのはこの時期(10代後半から20代)の行ない次第です。
また、その「按排」も重要です。
ここからは、台湾の若者についてもちょっとお話します。
台湾の若い方は、日本に対する憧れ、尊敬の念を持っているというよりは、もう肩を並べる、並べつつある国という認識かもしれません。
事実、1人当たりのGDPは日本も台湾も既に同水準です。
それだけ、台湾がここ30年で日本に追いついたという訳です。
今でも、80代、90代の「戦前生まれ」の台湾の方にとってみれば、生まれた頃は台湾は未だ日本であり、列強と呼ばれた頃の日本の勢い、そして敗戦により日本ではなくなった台湾、そして戦後の焼け野原からの復活をまざまざと見つめてきた方々にとって、日本へ対する尊敬の念を持ってくださっている方が多くいらっしゃいます。
昨年他界されました李登輝元総統もその世代のお方です。
しかし、時代は2021年。
もうその日本に対するイメージも時間と共に限定的になりつつあります。
また、今の台湾の若者は過去に起こした日本の出来事についても、
「過去は過去として限定的に捉えた上で、今の日本を好きでいてくれる世代」かと思います。
また、台湾の若者は本当に日本語を学ぶ方が大なり小なり沢山いらっしゃいます。
「是非、同世代の日本人にあなたの綺麗な日本語を教えてあげてください」と言いたいくらい、綺麗な単語、文法を知っている方は多いのです。
(この若い台湾人の方が今後の日本に対する見方を大きく左右する存在になります。)
さて、話を日本人に戻します。
現在の日本、日本人は
「過去の日本人が築き上げた遺産で守られている」
私はそれを強く実感せざるを得ません。
日本は戦後の焼け野原から昭和の軌跡の復興を遂げ今日の繁栄があります。
敗戦国でありながらこれ程にまで豊かになった国は、人類史上でも稀なことです。
しかし、それら戦後の復興、繁栄を築き上げた方々は既に現役を退いてられる方。
東海道新幹線、東京タワー、前回のオリンピックを成し遂げたのは、もうすでに現在の世代では無く、「先人の日本人」です。
今の日本人にもう1度0から同じ事が出来るでしょうか???
私は即答でYESとは決して言えません。
日本が世界から『憧れの国』と言われなくなる日。
それはもう目前に迫っているかもしれません。
それも、これからの若者と、それを温かく見守る上の世代の存在次第です。
現在日本は経済的にはまだ世界3位の国家。
感染症等で、法令順守の国民性が揺らいでいるものの、
世界的に見れば、まだまだ『憧れの国』と見られているかと思います。
しかし、上記の通り現在の感染症の収束が未だに見通せず、ますます混迷を深める日本社会。
このまま時間が経てば、そのイメージは完全に過去のものになってしまう日が来るかもしれません。
とある戦前生まれの台湾の方(90歳台)に言われた言葉です。
「あなたは日本人として、今後も我々台湾人のお手本であり続けてくださいね。」
なかなか、心に突き刺さるお言葉でした。
『国のイメージは一日では成り立たない』
繰り返しますが、今日の日本は、先人の行いがあってこそ成り立っている訳です。
2021年の残念な日本も、過去の日本人の築き上げた素晴らしい実績でまだまだカバーされている事が多々あります。
『後世へ何を伝えたいのか?』を意識し生きる若者の存在こそ国の繁栄の源ではないでしょうか。
また、それを温かく見守ってくれる上の世代の方が1人でも増えることを私は望みます。
最後になりますが、私は何と言ってもやっぱり日本が一番好きなのです。
先人の日本人が築き上げた日本を維持するのも我々の世代次第、崩すのも今の日本人次第。
大人は若者を温かく見守り、若者は遠慮せず、誇りを持って生きてほしい。
大好きな日本。
将来、日本が再び世界から憧れを持たれる国になる日が来ますように、、、、
参考
