【時視各角】アリババを見るむなしさについて=韓国
2014年09月24日09時53分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

中国のアリババが世界を揺さぶった。先週アリババの米証券市場上場を前後してウォールストリートジャーナルやブルームバーグなどのメディアが出し続けた報道は目を丸くさせるものだった。中国のIT企業の米証券市場上場は新しいことでもない。すでに28社ある。ところがこのような騒ぎは初めてだ。そうしたところに19日に上場すると同時に価格が高騰し、すぐに時価総額だけで2000億ドルを超えた。時価総額規模で世界のIT企業で4位。アップル、グーグル、マイクロソフトの次だ。サムスン電子の時価総額規模は1700億ドル台だ。
アリババが何だというのか。ロールモデルは米アマゾンだというが取り引き方式はイーベイをコピーした中国型電子商取引会社だ。米イーベイに早々に中国の消費者(C2C)市長から手を引かせた中国電子商取引市場の80%を占める企業。成功した多くの中国企業がこのようにすでに世界市場で検証された成功モデルをハイブリッドするようにコピーし広い中国市場を席巻した。だが、米国など海外市場進出や成功の可能性は低く評価される中国内需用企業だ。そのため彼らを革新企業とは呼ばない。
ところがウォールストリートジャーナルは、「いまや中国が革新できないという根拠のない信頼を捨てる時」として見方を変えた。彼らは中国企業の成功を「商業化を通じた革新」といった。西欧企業が追求する“ビッグバン”のような革新ではなく、他人の技術をいち早く模倣し漸進的発明を加え中国市場で売れるようにする実用的革新をしたということだ。偽物でも中国市場でよく売れるので革新という話だ。このように13億人の人口を持つ中国市場の力は米国メディアをして革新の概念まで変えさせた。韓国企業にはわずかなデザインを盗用したとして詰め寄ったアップルも“偽iPhone”であることをはばかることなく自慢する小米には口を固く閉ざす。これもまた巨大な中国市場の力としか説明することはできない。
ちょうどこの辺りで虚しさが押し寄せる。これまで私たちは「グローバルリーディングカンパニーは技術革新の産物」と信仰のように信じた。アップル、グーグル、MSがそうだったからだ。ところがアリババはうまくコピーして4位に立った。私たちは「偽iPhone」のシャオミが中国市場でサムスンを押さえ1位になる光景も見た。贋物も主人公になった。
このように不公平に見える現象は挫折と喪失感を与える。そのためだったようだ。世界がアリババで揺れるのに韓国では冷淡だった。上場以前に最も多く取り上げられたニュースがアリババに投資したソフトバンクの孫正義会長が日本一の富豪になったという程度だった。韓国の専門家の評価も高くはない。アリババの持続成長と国際競争力確保の可能性に疑問符を付ける。やせた土地に生まれ国際競争力に命をかけ革新だけが生きる道であることを叫ぶ韓国に、アリババはいい先祖がいて広い土地を受け継いだおかげでうまくやっているように見え目障りだ。
ところがともかく世界の情報通信技術(ICT)サービス市場が米国と中国の2強体制になったのは現実だ。中国企業は主要技術を買い入れる。創意的韓国ベンチャーは彼らの捕食対象だ。アリババが成長限界に達しても巨大な中国市場は止まりはしない。新たな中国スターは出続けるだろう。中国市場の成功自体が革新というのはまさにこのような意味だ。
「芸は熊が演じお金は王さんが儲ける」という昔話は依然として有効だ。「アリババ現象」は韓国に「ICT大国」という慢心を下ろせとのシグナルを送る。悲しいが考えと態度を変えなければならないのは中国や世界市場でなく韓国だ。明らかなことは韓国のIT産業は、韓国の産業全般がそうであるように中国発の危機の前に立たされた。目を閉じて偏狭にふるまうからと現実は変わりはしない。それでも悲観的な「中国下請け基地」うんぬんするのは早い。韓国はいつも危機に強かったのだ。巨大な市場自体が革新と認められる、新たなサンドイッチの局面に、韓国は早く過去の成功の記憶を忘れ新しいゲームの方式を探さなければならない。再び“行かない道”を探しに出る時になった。

ヤン・ソンヒ論説委員