記事入力 : 2014/07/09 09:10
【社説】スマホ後が見えない韓国経済


 サムスン電子が8日に発表した4-6月期の連結決算(速報値)によると、本業のもうけを示す営業利益は7兆2000億ウォン(約7200億円)で、前期比で15.2%、前年同期比では24.5%のマイナスだった。サムスン電子の4半期ごとの営業利益が8兆ウォン(約8000億円)を下回るのは、2012年の4-6月期以来2年ぶりだ。今回の売上高は47兆6000億ウォン(約4兆7700億円)だったが、これもここ2年では最も少なかった。
 サムスン電子は昨年7-9月期に10兆ウォン(約1兆円)以上の営業利益を記録したが、その後はずっとマイナスが続いている。その最も大きな原因として考えられるのは、主力製品であるスマートフォンの技術が一般化・平準化している上に、世界のスマートフォン市場全体の売れ筋が高性能・高価格の製品から中・低価格中心にシフトし、価格競争が全体的に厳しくなっていることが挙げられる。とりわけ世界最大のスマートフォン市場である中国では北京小米科技(シャオミ)をはじめとする現地メーカーが急速に成長し、サムスン電子の脅威となっている。スマートフォンを含むモバイル分野がサムスン電子の営業利益全体に占める割合は60-70%を占める。つまりスマートフォン事業が傾けば、それは直ちにサムスン電子全体の業績に直結してくるのだ。
 サムスン電子はスマートフォンだけに頼る収益構造から脱却するため、太陽電池、自動車用バッテリー、発光ダイオード(LED)、医療機器、バイオ事業などさまざまな分野に積極的に投資を行っているが、現時点ではまだこれといった成果は出せていない腕時計型端末の「ギャラクシー ギア」や、「モノのインターネット(IoT)」といった新分野も、現時点では今後の見通しは不透明だ。しかもグループ全体のトップでもある李健煕(イ・ゴンヒ)会長(72)が5月10日に急性心筋梗塞で入院し、その後2カ月にわたり意識の回復しない状態が続いている。経営トップの入院が長期にわたり続いている影響で組織全体の緊張が緩み、その結果、新製品開発が進まず販売業績も回復の兆しが見えないとなれば、サムスンの未来に不確実さが高まっていくのは避けられない。
 サムスン電子は昨年、6兆3000億ウォン(約6300億円)の法人税を納付したが、これは韓国の法人税収全体の16%を占めていた。つまりサムスン電子1社が韓国経済に占める割合は極端に大きいことが分かる。そのためサムスン電子の業績が悪化すれば、国の経済全体が揺らいでしまうのは避けられない。韓国では昨年に続き今年も8兆ウォン規模の税収減が見込まれているが、これはサムスンを含む大手企業の業績不振と直接関係している。スマートフォンに続く新たな成長エンジンを見いだすことは、サムスン電子だけにとどまらず韓国経済全体にとって切実な課題となっているのだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版