尖閣ビデオ「編集前のもの全面公開を」と自民
 政府が衆院予算委員会に提出した尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオを巡り、衆院予算委員会は28日の理事懇談会で、ビデオの公開方法について、与野党の意見が一致せず結論を持ち越した。
 自民党など野党は、一般への公開を求めるとともに、海上保安庁が撮影したビデオをすべて提出するよう主張した。民主党は、提出されたビデオ(DVD)を、予算委の理事ら限られた国会議員だけで視聴するよう訴え、平行線が続いている。
 自民党の谷垣総裁は28日の記者会見で、衆院予算委に提出されたビデオについて「全面公開して国民、国際社会に事実を周知徹底するべきだ」と述べ、一般への公開を求めた。提出されたビデオが約6分間に編集された要約版であることについても、「だれが責任を持って編集しているのかという問題がある」と指摘した。28日の衆院法務委員会理事懇談会では、自民党理事が、編集前のビデオの提出を政府に求めるよう主張した。

尖閣ビデオ、各党代表者らが1日午前に視聴へ
 衆院予算委員会は29日の理事懇談会で、政府から提出された尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ(DVD)を、11月1日午前8時から視聴することを決めた。
 衆参の予算委員会理事のほか、各党の代表者ら国会議員約30人に限って視聴を認める。
 ビデオは海上保安庁が撮影したもので、今月27日に政府が衆院に提出した。
(2010年10月29日15時51分 読売新聞)

オバマ政権の対中政策変容 2国間関与拡大から同盟諸国と連携へ
2010.10.29 18:51
 米国のオバマ政権の中国に対する政策が基本的な変容を示し始めた。中国との対立点を認めながらも米中2国間の関与の拡大で中国を既存の国際秩序に招き入れていくという従来の基本政策をほぼ放棄して、今後は日本などの同盟諸国と連帯し中国との対決も辞さない強固な姿勢へと移行するとみられる。
 オバマ政権の対中政策の変更については国防総省の前中国部長で現在は大手研究機関AEIの中国専門研究員のダン・ブルーメンソール氏が27日、「オバマ政権登場以来の対中戦略的適応と呼べる融和的な政策は、中国側の最近の強硬姿勢により保持できなくなった」と評した。
 ホワイトハウスの26日の記者会見でもギブス報道官は中国人記者から「オバマ政権の対中政策は強硬な姿勢へと変わったのか」と問われ、否定せず、「中国側は通貨問題などでとにかく行動をとらねばならないというのが米側の信念だ」と強い語調で答えた。
 ニューヨーク・タイムズ紙も同日付で「オバマ政権は同盟諸国と連帯して、中国への姿勢を強固にすることになった」と報道した。それによると、オバマ政権は発足当初以来、中国に対しては2国間だけの直接のアプローチで人民元通貨レート、貿易不均衡、安全保障など広範な問題について根気強く協力を求める政策をとってきた。だが、中国側の最近の新たな強い自己主張に対米協力はほとんど得られないと判断し、政策変更を決めたという。
 ワシントン・タイムズ紙も27日付で、アジア太平洋歴訪に出発したクリントン国務長官が中国の新たな強硬姿勢に対し、ベトナムやオーストラリアなどの友好、同盟国との連帯の強化に努め、オバマ政権の新対中政策が打ち出されつつあることを強調した。
 米国では最近、中国が南シナ海を自国領海扱いし、東シナ海では尖閣諸島をめぐり日本に威嚇的な態度をとったことや、レアアース(希土類)輸出の一方的規制、北朝鮮やイランの核開発阻止の非協力などに対し、超党派の広範な反発が強まってきた。
 オバマ政権の対中政策の変容はこうした内外の数多くの要因に押されて、他に選択の余地がない結果ともいえる。しかしその背景の核心としては中国自体がこれまでの対米、対外の戦略を根幹から変えたようだとの認識が影を広げている。
 その典型は外交評議会の中国専門家で民主党系の有力学者のエリザベス・エコノミー氏が最近、発表した「中国の外交政策革命」についての論文だといえる。論文は中国がオバマ政権誕生当時は米国主導の既存の国際システムにその規則を守りながら参入していく意図だったが、昨年の米国の金融危機以降、既存の国際秩序をむしろ積極的に変えていくという「国際的革命パワー」へと変わることを決めたようだ、と論じた。