今日の勉強(5時間12分)

 

今日の勉強は管理会計論計算、管理会計論理論。テキストを読んだり、いろいろな問題を解いたり。

 

令和5年会計学午前第2問問題2を解きました。戦略的意思決定と事業部制会計からの出題です。計算はとても簡単で、理論にかなり難しい問題が含まれている感じでした。以下振り返りです。

 

問1

 

設問1

事業部間取引において、受入側にとって、内部振替価格に標準変動製造原価を用いることが望ましい理由。前の予備校のテキストに全く同じ問題があったかと。

 

受入側にとって、供給側がやらかしたことの責任を問われてもねぇって話。

 

設問2

X事業部は部品Aを外部市場に1600で売れて、そのときに変動販売費200かかるってことで、しかもX事業部が完全操業状態なので、内部振替価格は市価差引基準が妥当でしょうか。問題が(ア)基準となっていて、(ア)に当てはまるものを解答ってことですが、うっかりと市価差引基準と書いてしまった御立派様もおられたかもしれませんね。

 

設問3

供給側と受入側の投下資本利益率の計算。貢献利益はX事業部で450、Y事業部で800。問2でも用いるため、目立つようにメモしておくべきでしょう。

 

X事業部投下資本利益率

(450・5000-370000)・0.6÷10000000=0.1128

 

Y事業部投下資本利益率

(800・3500-800000)・0.6÷12500000=0.096

 

設問4

X事業部長が駄々をこねだします。インベストメント・センターになるんだったら、部品Aを外販したいんだとか。予備校のテキストに載っている問題は受入側が拒否権を握っている問題ばかりですが、本問は供給側が話の中心である点が目新しいです。しかし設定が目新しいだけで、難しいことは何もないです。

 

X事業部が内部振替を中止する場合、Y事業部において、部品Aの仕入価格が1400から1780に変わるだけ。つまり貢献利益が800から420になるだけで、これによる全社営業利益の減少額は(800・3500-800000)・0.6-(420・3500-800000)・0.6=798000。これでは内部取引を継続しないとまずいでしょって話。

 

どうでもいいですが、社長が事業部同士、仲良くできないのと仰っておられます。ここに事業部制会計の根本が見えます。部分最適を追求するような大局観のないものを上に上げないことが実は一番最適だよってこと。自分のこと、上に上がることしか頭にない人間はいつの時代も結局嫌われるのです。

 

問2

 

Y事業部が今までの製品Bに加えて、製品Cも製造販売する新規プロジェクトの検討。Y事業部のみならず、X事業部でも追加投資が必要になります。

 

設問1

新規プロジェクトの実施による投下資本利益率、内部振替価格、残余利益、正味現在価値の計算。平均投下資本額の読み取りが最も注意しないといけないところ。ここを間違えると、設問1は少なくとも2問落とすことになります。

 

まずは製品Cの貢献利益ですが、これは960。

 

本問における平均投下資本額は予備校のテキストに載っているような耐用年数期間平均ではなく、期中平均だと思われます。複数箇所からこのことは読み取れます。私自身は設問4を解いた時点で気づきました。

 

X事業部もY事業部もともに追加投資による固定資産の耐用年数は3年なので、初年度の平均投下資本額増加額は追加投下資本額に2.5÷3をかけることになります。全体的に計算問題は非常に簡単なので、2.5÷3がわかるかどうかが明暗を分けたのではないのかと。

 

X事業部平均投下資本額=10000000+1860000・(2.5÷3)=11550000

Y事業部平均投下資本額=12500000+3600000・(2.5÷3)=15500000

 

×4年度Y事業部投下資本利益率

(800・3500+960・2000-800000-1200000)・0.6÷15500000≒0.10529

 

内部振替価格Sの範囲

(0.1128・11550000÷0.6+5540000)÷5500≦S≦(0.096・15500000÷0.6+10420000)÷5500

 

解答に際し、下限については小数点第3位を切上げとの指示がありますが、切上げについては問の意味から指示がなくても自分で気づけないようでは情けない。実力を疑われても仕方ない。問われていませんが、上限については当然切捨て。念のため。

 

×4年度X事業部残余利益

(450・2000-620000)・0.6-1860000・0.08=19200

 

×4年度Y事業部残余利益

(960・2000-1200000)・0.6-3600000・0.08=144000

 

×4年度全社残余利益

19200+144000=163200

 

X事業部正味現在価値

(168000+620000)÷1.08+(168000+620000)÷(1.08・1.08)+(168000+620000)÷(1.08・1.08・1.08)-1860000≒170752.43

 

Y事業部正味現在価値

(432000+1200000)÷1.08+(374400+1200000)÷(1.08・1.08)+(259200+1200000)÷(1.08・1.08・1.08)-3600000≒419265.36

 

全社正味現在価値

(788000+1632000)÷1.08+(788000+1574400)÷(1.08・1.08)+(788000+1459200)÷(1.08・1.08・1.08)≒590017.78

 

設問1では正味現在価値はY事業部についてのみしか問われておらず、その一方で、残余利益については全社のものまで問われています。この理由はおそらく端数処理にあるのでしょう。X事業部正味現在価値とY事業部正味現在価値の和を取るとき、空欄補充に使用した数値を用いると、小数点第2位の値が1ずれます。本問では最終数値の小数点第3位を四捨五入するため、小数点以下が79では不正解でしょう。上記解答ではこの点に配慮して、割引計算対象をX事業部とY事業部の和としました。もしかしたら平均的な御立派様ではここまで頭が回らないからと、出題者側が配慮したのでしょうか。それとも…

 

設問2

X事業部における単年度投下資本利益率の問題点。単年度って修飾語が目に入れば簡単。X事業部正味現在価値はプラスなので、新規プロジェクトは実施すべきですが、問題点があるってことは、X事業部長が新規プロジェクトに賛同したくなくなる何かがあるってことで、その何かは新規プロジェクト実施によって投下資本利益率が0.1128を下回ってしまうってことでしょう。実際に計算してみると、

 

(450・7000-990000)・0.6÷11550000≒0.1122

 

なるほど、確かにX事業部長にとっては旨味がない。

 

設問3は飛ばして、次に設問4。残余利益による業績評価と正味現在価値によるプロジェクトの評価が整合的な理由の説明。おそらくかなりの難問。計算自体は簡単ですが、説明がかなり難しいです。問題文には整合的とありますが、それどころか残余利益現在価値総額と正味現在価値は一致します。

 

まずとりあえず根拠となる数値の計算から。

 

×4年度全社残余利益

(450・2000+960・2000-620000-1200000)・0.6-(1860000+3600000)・0.08=163200

 

×5年度全社残余利益

(450・2000+960・1900-620000-1200000)・0.6-(1240000+2400000)・0.08=251200

 

×6年度全社残余利益

(450・2000+960・1700-620000-1200000)・0.6-(620000+1200000)・0.08=281600

 

ここまでは誰でもできるでしょう。問題はここから。上記三つの残余利益を現在価値に割引くと、正味現在価値になるのはなぜか。

 

話を簡単にするために、事業部営業利益をP、投下資本額3I、割引率rとします。

 

正味現在価値=(P+I)÷(1+r)+(P+I)÷((1+r)(1+r))+(P+I)÷((1+r)(1+r)(1+r))-3I…(ⅰ)

 

残余利益現在価値総額=(P-3rI)÷(1+r)+(P-2rI)÷((1+r)(1+r))+(P-rI)÷((1+r)(1+r)(1+r))…(ⅱ)

 

計算してみればわかりますが、(ⅰ)=(ⅱ)になります。これを言葉で説明する必要があるんでしょうが、これは難しいですね。今のところ書けてないです。納得のいく解答が書けるまで、まだまだじっくり考えます。

 

設問3

設問4以上にまだ解答が書けていません。解答のヒントはおそらくしたがって以降の文。投下資本利益率よりも残余利益を採用すべきって、コンサルタントの提案。もう一つ、投下資本利益率が単年度ってこと。設問2ですでに目標不整合は書いているので、投下資本利益率よりも残余利益の方がよい別の理由。考えられることは資本コスト率の測定が計算要素に含まれるか否かくらいです。複数年度では当然資本構成は変化するでしょう。資本コスト率によっては新規プロジェクトの採否が覆ることもありえるでしょう。この辺を書けばよいのか。何かを見落としている気がしてならない。こちらもまだまだ考えないとですね。

 

以上振り返ってきました通り、計算問題は平均投下資本額の意味がきちんと理解できれば完答できるでしょう。問2の設問3と設問4の説明は私には難しく感じられますが、御立派様はどうだったでしょうか。合格点が70%ってことですので、問1は計算問題も理論問題ともに全問完答、問2は計算問題は全問完答、設問2を完答が目安だったのではないでしょうか。