元ベイスターズ・ジャイアンツの村田修一選手がNPBへの復帰が今季の段階で叶わなかったとして、「引退」の言葉こそ使わなかったものの、所属する独立リーグのシーズンを全うしたのち、引退することを示唆しました。

 

村田選手にきちんと取材をかけたことはほとんどありませんでしたが、広島でアナウンサーのキャリアをスタートさせた私にとって忘れられないのが、2007年10月6日のカープ対ベイスターズの一戦。

この試合は、その年限りで現役を退く佐々岡真司投手の引退試合と位置付けられました。

 

不思議なことに、ベイスターズ戦は引退試合になることが多かったような気がします。

 

大野豊さんの引退試合は、中根仁選手が三振しました。高橋建さんの引退試合はカスティーヨ選手が三振しました。

 

さて、佐々岡投手の時はというと、その年、ホームラン王を争っていた村田修一選手がホームランを放ちます。

 

この一打が決め手となって、その年のホームラン王を単独で獲得しました。

 

「引退試合の投手に対しては、三振するべき」というようなことを言う人もいました。

 

そんな風潮があるのも確かです。

 

でも、オープン戦での引退試合ならまだしも(といいながら、星野仙一さんの引退試合はオープン戦の阪急戦で福本豊さんがヒットを打ったようなうっすらとした記憶があるのですが…)ペナントレース中はできうる限り勝負に徹してほしいと思う一面もあるのです。

 

さて、佐々岡さんの話。

 

じつは、佐々岡さんのルーキーイヤー、1990年。

 

シーズン終盤の横浜戦でした。

 

その年限りで現役を辞める加藤博一さんの引退試合、引退打席。

佐々岡さんはドラゴンズの与田剛投手と新人王争いの真っ最中。

 

加藤博一さんから三振を奪ったそうです。

 

当時は、今ほど「引退試合だから」という雰囲気はなかったそうですが…。

 

佐々岡さんは、村田選手にホームランを打たれた引退試合の直後に加藤博一さんから連絡をもらったそうです。

 

「あの時(加藤さんの引退試合)と同じように、良い勝負ができて、引退できたのは良かったな」というような趣旨のことだったと聞いています。

 

佐々岡さんもその通りだったと私に述懐してくれました。

 

勝負に生きる選手同士にとって、リスペクトするからこその凡退もあれば、打ち砕くこともあるのではないか。

 

場面場面で感情が交錯するのでしょうけど、勝負に生きる選手は、真剣勝負のやり切る姿のまま最後の打席やマウンドを花道にしてほしいと思う私がいます。

 

村田選手の独立リーグの最終打席がどんな結果になろうとも、村田選手らしいスイングをしてほしいと思っています。