こんにちは、

東京都議会議員(町田市選出)

無所属 東京みらい おくざわ高広です。

 

さて、今日は東京都議会本会議にて、私にとって任期中最後の一般質問に臨みました。

詳しい解説は追って書きますが、まずは全文をご紹介します。本会議では一気に質疑し、一気に答弁されるやり方ですが、分かりやすいように一問一答形式に書き換えています。

テーマは以下の通り。

①②多摩都市モノレール町田方面延伸にあわせた地域公共交通と次世代交通

③イノベーションを起こすための規制改革

④教育におけるエビデンスの活用

⑤いじめを防ぐ傍観者プログラム

⑥若者の自殺を防ぐ取組

⑦ジェンダー平等に向けた男女別定員の是正

⑧再犯防止の推進

⑨働くという視点から見た障害者の可能性を高める取組

⑩児童虐待の未然防止

⑪子供の事故予防

⑫⑬新型コロナ対策とセーフティネット

動画はこちらから ☞ https://www.gikai.metro.tokyo.jp/live/reg2021-1.html

※2月26日(金)一般質問など → 奥澤高広 をクリックしてください。

 

4年間の集大成として臨んだ一般質問ですが、斉藤れいな議員、森沢きょうこ議員の二人がいなければ、このような厚みと幅のある質問はできなかっただろうなと、しみじみ。

任期は残り5か月ほど。今度は二人の質問を支える役目、しっかり果たしていきます。

 

以下、全文です

無所属東京みらいを代表して、一般質問を行います。
多摩都市モノレールの町田方面延伸は町田市にとっての悲願であるとともに、多摩地域の交通の背骨を形作る一大事業です。都では、そのルートについて検討を進めているところですが、同時に、地域の足となる、いわゆるフィーダ―交通を計画していくことも重要です。世界に目を向けると、今、急激に交通イノベーションが起きようとしており、自動運転や空飛ぶ車については、近い将来の実用化が見込まれています。こうした世界の潮流や最先端技術の導入をみすえた交通の未来像を描くべきです。
Q1.地域公共交通については、区市町村が主体的に検討すべきものではありますが、自動運転やMaaSなどに取り組んできた東京都としても、その知見を共有するなどして積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。

A1.
・少子高齢、人口減少が一層進む将来を見据え、都市活動や身近な地域での生活を支える地域公共交通について自動運転などの先端技術を活用しながら利便性や快適性を高めていくことが重要。
・都は、有識者等とともに2040年代における地域公共交通のあり方を検討する中で、自動運転の社会実装に向けた動向や各地で実施されているMaaSの実証実験の成果等を踏まえ、シームレスな移動の実現に資する、先端技術の活用方策についても検討を深めている。
・得られた知見については、区市町村の施策の検討に資するよう、情報提供するとともに、意見交換を行っており、今後とも区市町村の主体的な取組を支援し、地域公共交通の充実を図っていく。

多摩都市モノレール町田方面延伸ルート周辺には大規模な団地が複数ありますが、ご高齢の方も多く、近くのスーパーに行くことにも苦労する方々がいます。今般、その一つである町田山崎団地において、小田急電鉄、JR東日本、町田市、東京都が共同でMaaSに関する実証実験を行っていることは意義深いものです。先日実際にサービスを利用しましたが、これまで交通不便地域とされた場所が、次世代交通の舞台となるのはワクワクするものでした。今後は、都が行ってきた自動運転や東京ユアコインのポイント付加などの知見も組み合わせ、未来の地域交通を具体的に描いてくことを期待しています。
Q2.そこで、現在行われているMaaSの実証実験において、都が果たしている役割と現時点での成果について伺います。

A2.
・MaaSの社会実装には、関連する多様な事業者の連携が課題になっていることから、都が旗振り役となって事業者間の結びつけを促し、モデルの構築を支援。
・昨年度の実証実験では、日本初となる鉄道とバスのリアルタイム運行データを用いた経路案内等を実施。
・今年度、町田市山崎団地周辺においては、このリアルタイム経路検索サービスに加え、有料でのオンデマンド交通サービスの提供や駅周辺商業施設との連携など、機能を拡充して実証実験を実施。
・今後、関係局と連携しながら、これまでの実証実験で得られた成果を交通不便地域対策やスマート東京先行実施エリアの取組などに活用。

日本経済を牽引してきた自動車産業について、世界の潮流は所有からシェアへ移り、数年以内に自動運転に変わると予見されています。日本は制度の壁に阻まれ、シェアリングエコノミーによる利便性や新産業の創出、個人の副収入といったメリットを充分に享受できていません。イノベーションを起こすには、従来の制度や仕組み、価値観といった制約を取り払うことが不可欠だと痛感するものです。そのような観点から、新たな都政改革ビジョンに示された「縛る事前規制からサポート主眼の事後規制に」見直し、「民間の発想、技術、知見を行政運営に融合」させていく姿勢には大変期待を寄せていました。
一方、今般発表された「シン・トセイ」をみると、規制改革の観点がやや後退したようにもみえます。庁内のデジタル化を進めることに異論はありませんが、東京の成長を阻害する要因はデジタル分野だけに存在するわけではありません。東京が真に成長する都市となるためには、全庁的に、聖域なく、規制改革に立ち向かう方向性を示すことが重要です。
Q3.そこで、東京都が取り組む「規制改革」とは一体いかなるものか、その目的や意義を伺うとともに、「規制改革」に取り組む職員の意識改革をいかにして進めていくのか、民間出身で様々な規制を突破してきた宮坂副知事に伺います。

A3.
・都政のQOS向上に向けてサービスのイノベーションを次々と起こしていくためには、制度のイノベーションである規制改革の推進が不可欠。テクノロジーやデジタル化の進展等にあわせた大胆な規制の見直しにより、民間のアイディアや先端技術の社会実装を進め、東京の成長や成熟に繋げていくことが重要。
・大切なのは「実践し、結果を積み重ねていく」こと。私も国の規制改革会議に参加し、行政のデジタル化を阻む規制の解消を訴えた。その後の法令改正により、自治体における民間クラウドサービスを活用した電子契約が見t目られることとなり、新たなデジタルサービスの提供に向けて、早速今月から、民間事業者と連携した実証実験に着手。
・このように「シン・トセイ」戦略に基づき、行政の枠を超えて課題解決に取り組む中で、様々な規制緩和にチャレンジしていきたいと考えている。
・また、昨年、有識者から頂いた「ポスト・コロナにおける東京の構造改革提言」でも、「大胆な規制緩和で都市の変革を進める」ことの重要性が指摘。
・これを受け、「東京ベイeSGプロジェクト」のドラフトでは、大胆な規制緩和による巨大実装エリアを設けてドローンや自動運転など、最先端テクノロジーの実装を進め、東京全体、更には日本中に波及させることなどを提示。
・都政の構造改革と社会の構造改革のそれぞれで、こうした実践を積み重ね、都民、事業者の視点に立った制度のイノベーションを推進し、都政のQOSの向上につなげていく。

次に教育施策について伺います。来年度予算ではTOKYOスマートスクールプロジェクトが掲げられ、一人1台端末をはじめ、教育環境は大きく変化しようとしています。エビデンスに基づく教育により、一人ひとりの興味関心や能力、特性に寄り添った公正に個別最適化された学びが進むだけでなく、教員の指導力向上や学級崩壊などの兆候を見出すなどの効果も期待されます。さらに、学習ログと学校内外の学習・生活環境等を組み合わせた分析と対策により、真の教育格差解消に繋がるよう願うものです。
こうした様々な可能性を秘めた「TOKYOスマート・スクール・プロジェクト」ですが、データをより効率的に集め、効果的に分析し活用していく体制や仕組みも必要です。
Q4.都では平成15年から独自の学力調査を行ってきたと承知しており、これまで培ったノウハウも活かしつつ、より一層効果的な調査にすべきと考えますが、見解を伺います。

A4.
・新学習指導要領においては、子供たちが新たな価値を創造していけるよう、学んだことを人生や社会に生かしていくことのできる資質・能力の育成が重視されている。
・そのため、都の学力調査を、次年度からは、子供の意識や実態をより的確に把握できる内容に変更して実施する。
・都教育委員会では、この調査結果と、国の学力調査とを結び付けて分析し、各学校の授業改善を促進して、主体的に学習に取り組む態度を育む教育の一層の充実を図っていく。

いじめを早期に発見し、解決へと導くために、私たちは傍観者つまり、いじめの現場の周辺にいる人たちの関与が重要だと訴えてきました。民間調査では、傍観者による早期介入によって、その57%でいじめを止める効果があったとの報告もあり、児童生徒や学校に加えて、広く周囲の大人がいじめを理解することは重要です。
また、学校や教員が行った対策を個人の経験則とせず、その効果を客観的な事実として裏付けていくことで、より良い対策を見出すことに繋がると考えます。
Q5.そのような観点から、今般改定した学校のいじめ防止マニュアルである「いじめ総合対策」について、保護者プログラム、地域プログラムという記載があることに注目していますが、その目的と内容について伺います。

A5.
・いじめの防止に当たっては、教職員が組織的に対応することに加え、学校と家庭、地域が緊密に連携して、子供たちの健全な育成を担っていくことが重要である。
・そのため都教育委員会は、本年度、学校や保護者、地域の方々がいじめ問題について共に考え、理解を深める演習形式のプログラムを開発した。具体的には、保護者会で、いじめられた子供といじめを行った子供の保護者双方の立場から対応の在り方を考えたり、教員と地域住民等の協議会で、いじめを生まない環境づくりのための地域の役割について話し合ったりする内容となっている。
・今後、このプログラムを都内の全公立学校に配布し活用を促すとともに、有識者会議において、その効果の検証を行い、子供を守り育てる取組の充実を図っていく。

文部科学省によると、全国で2020年に自殺した小中高生は過去最多の479人で、特に女子高校生が138人と2倍近くに増えており、憂慮すべき問題です。下は小学生から、命を絶つという選択をさせてしまったことを私たち大人は深刻に受け止め、悩みを抱える児童生徒に寄り添い、支える体制を今すぐにでも整える必要があります。
Q6.そこで、これまで進めてきた相談体制の強化のみならず、深刻な状況に至る前に、初期の段階から予防的な対応を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

A6.
・これまでの日常とは異なるコロナ禍において、子供が深刻な悩みを一人で抱え込んでしまう心配があることから、子供の小さな変化を見逃さないようにするとともに、安心して相談できる環境を整えることが必要である。
・そのため都教育委員会は、学校に対しアンケートの例を示し、定期的に子供たちの悩み等を把握できるようにするとともに、心配な様子が見られる子供に対し早期に教員やスクールカウンセラーが相談に乗り、寄り添って支えるよう徹底を図ってきた。また、子供がつらい時に信頼できる大人に助けを求めることができるよう、都教育委員会が開発したSOSの出し方を学ぶDVD教材の活用を促してきた。
・今後とも、こうした取組により、子供の不安や悩みを解消に導くための支援の充実を図っていく。

自殺の要因として挙げられる「進路」や「学業不振」は「家庭の経済状況」とも密接な関係であり、コロナ禍の経済悪化の影響も少なくないはずです。また、緊急事態宣言に伴う社会的不安の増大や孤立化、家庭内不和など、新型コロナの及ぼす影響を多角的にとらえ、経済的な支援も含めた抜本的な対策を求めます。

次に、ジェンダー平等の実現に向けて、性別によって個人の能力や可能性、人生の選択肢が狭まる環境を生み出さないことは重要です。しかし、都立学校においては、男女別定員制がいまだに残り、結果として、男女間に合格点に差が生じているとの指摘があります。
都は、他県に比べ私立高校が多いという事情については一定の理解をしますが、結果として進路変更を余儀なくされているとすれば、看過できません。
Q7.こうした男女間の合格点の差を埋めるための措置として、都立高校では緩和枠を設けているとのことですが、改めて、その導入状況と果たす役割を伺うとともに、都立中高一貫校の対応状況についても伺います。

A7.
・高校入学者選抜では、全日制普通科で男女別定員を設けており、合格者の成績に男女差を生じる場合があることから、募集人員の一割について男女合同の総合成績により合格者を決定。
・こうした方式の実施校は直近3年間における緩和策実施校は平成31年31校、令和2年度40校、令和3年度42校となっている
中高一貫教育校では、一般枠は男女別定員としているが、繰り上げ合格者を男女合同で決定している
・これらの取組により、合格最低点の男女間の差の縮小を図ると共に、中学校の進路指導等への影響を考慮し、実施校の段階的な増加に努めている。
・今後とも、男女別定員による不公平感を低減し、より男女平等な入学者選抜とすることを目指していく

関連して、都道府県立高校入試における性別記入が残るのは全国で6自治体となりました。性自認や性的指向にセンシティブな若年層への配慮も含め、男女別定員とあわせて見直すよう求めます。

続いて、ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)という観点から再犯防止について質問します。平成28年に再犯防止推進法が施行され、これまで法務省を中心に行われてきた取組について、地域とともに暮らし、働き、時には治療しながら取り組んでいく、地域が主体の共生モデルへと転換が始まりました。都においても、再犯者率の高止まりなどの現状を踏まえ、令和元年7月に再犯防止推進計画を定め、組織横断での取組をはじめたところです。
一方、国では、再犯防止推進計画に基づく各自治体の取組への財政支援について、来年度から大きく削減する方針と聞いており、大変遺憾です。
Q8.そこで改めて、これまでの再犯防止に関する取組と今後の展開を伺うとともに、国に対しても、今まで以上に取組の成果を伝えていくべきと考えますが、見解を伺います。

A8.
・再犯防止に関する取組と展開等についてであるが、都は、令和元年に再犯防止推進計画を策定したうえで、関係機関と連携し、取組を進めている。
・都はこれまで、再犯防止のための相談事業を実施しており、犯罪をした者等からの相談をアセスメントしたうえで、適切な機関へとつなぐなど必要な支援を行っている。
・さらに、様々な相談事例を冊子化し、地域に身近な窓口をもつ区市町村が活用している。
・また、支援団体の能力向上や団体間の連携強化等に向け研修会を開催するなど、様々な事業を実施。
・引き続き、関係機関と緊密に連携して、犯罪をした者等の個々の事情に応じた的確な支援を実施するとともに、その成果を国等へ確実に伝えていく。

障害があってもなくても自分らしく働き暮らしていく社会の実現に向けては、これまでの制度や常識にとらわれず、テクノロジーも活用しながら、一人ひとりの可能性を信じ、伸ばしていく発想が重要です。
福祉的就労と呼ばれる就労支援B型事業所の工賃向上については、長年目標を達成できておらず、令和元年度の都内事業所の平均は月16,154円という状況を変えたいと思っています。民間企業が行った支援では、3か月間で12,000円から45,000円に跳ね上がった事例も報告されており、参考にすべきです。来年度は経営的視点を取り入れたモデル事業をはじめ、これまでの発想を超えて障害者の就労を後押しする取組があり、期待をするものです。
Q9.そこで、働くという視点から障がい者の可能性を広げていく取組について、見解を伺います。

A9.
・都は、障害者が自らの希望や力量に応じた働き方を選択し、いきいきと働ける社会の実現のため、就労支援や福祉事業所への支援に取り組んでおり、就労継続支援B型事業所に対しては、利用者が働くことの喜びや達成感を得られるよう、工賃向上のための取組を実施
・ 令和三年度からは、デジタル技術の活用に向けた調査や事業所の課題を踏まえた商品開発等を行うモデル事業を実施予定であり、今後、効果を検証し、成果を広く情報提供することとしており、工賃向上に取り組む事業所を支援

私たち無所属東京みらいは、児童虐待の未然防止の重要性について、斉藤れいな議員を中心に一丸となって、繰り返し訴えてきました。来年度から「予防的支援推進とうきょうモデル事業」が始まることに期待しています。この事業は、中長期的な視点で、社会全体の子育てに関する考え方を変えていくような取組になると考えており、成果検証等も行いながら改善を繰り返し、将来的には全都的に広げていくことが重要です。
Q10.予防的支援は、虐待がおきた後の「事後対応」から虐待が起きる前の「未然防止」へと転換するもので、新しい取り組みといえます。そのような意味では、子供家庭支援センター等の関係する職員のスキルアップも必要だと考えます。見解を伺います。

A10.
・子供を虐待から守るためには、孤立しがちな家庭を早期に発見し、必要な支援につなげることが重要である。
・都は、来年度、区市町村が、支援の必要な家庭に専門職によるチームを派遣して、リスクやニーズを把握しながら予防的な支援を行うモデル事業を開始し、専門家の助言を得ながら効果検証を行う。
・今後、区市町村や関係機関の職員が予防的支援ができるよう、実践マニュアルや研修プログラムを作成することとしており、虐待の未然防止に向けて着実に取り組む。

昨年9月、都内の私立幼稚園で、4歳男児が給食に出された大粒のぶどうをのどに詰まらせて死亡する事故がありました。それまでの知見や経験を集めた「ガイドライン」があり、また年に一度の講習会で伝えているにも関わらず、毎年のように同じような事故が繰り返されていることは残念でなりません。
Q11.そこで、今後の講習会については、オンライン配信や動画でアーカイブを残すなどの方法も用いて、保育施設等の全ての職員、さらには保護者等にも子供の事故予防に関するガイドラインが周知されるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

A11.
・都は、児童の安全確保等を含めた適正な運営を図るため指導監督を実施。
・事故防止ガイドラインは実地検査で周知するとともに、保育施設を対象に毎年開催している講習会では、児童の状況に応じた食事の提供など事故予防のポイントを説明。
・来年度は内容をいつでも確認できるよう講習会は、動画で配信し、併せて過去に発生した事故事例や再発防止策、ガイドラインについて周知。

最後に、新型コロナ対策について伺います。緊急事態宣言のもと、事業者や都民の皆様のご協力のおかげで、直近の新規陽性者数は7日間の移動平均で  300人を下回るまで低下しました。一方で、足元の社会経済活動に目を向けると、閉店、倒産、失業、自殺といった問題が顕在化してきており、緊急事態宣言は諸刃の剣であることを改めて痛感します。
感染状況と社会経済状況を両にらみにしたうえで、関西圏では宣言の解除を要請し、解除後の対策についても考えを明らかにしています。一方、都においては、目安とされてきたステージ3に近づいているものの「宣言解除の段階にはない」としています。
知事は、「感染を徹底的に抑え込み、再拡大を招かない」という考えを述べていますが、そうであれば、まず、これまでの取組の客観的な事実に基づいた多角的な検証が不可欠です。そのうえで、見るべき指標や解除の目安、より効果的な対策や支援策をあわせて示さなければ、事業者や都民の皆様の理解と納得、更なるご協力を得ることは難しくなります。また、都は独自の指標でモニタリングをしていることから、国に判断を委ねるのみならず、都としての考えをはっきりと伝えなければ、今後の国と都の間での意思決定においても混乱が生じかねません。
Q12.そこで確認しますが、「感染拡大を抑え込み、再拡大を招かない」とは、どの ような状況を指して、新型コロナ対策に臨んでいるのか、伺います。

A12.
・都内の新規陽性者数は減少傾向にあるものの医療提供体制のひっ迫は長期化しており、予断を許さない状況。
・今大事なのは、感染の再拡大を招かぬよう、新規陽性者数をしっかりと下げ、感染を徹底的に抑え込むこと。

知事の言うように、感染拡大を徹底的に抑える方針であれば、そのダメージに応じた、より一層のセーフティネットを講じる必要があります。今般、都民生活を支えるセーフティネットとして計上された補正予算は150億円ですが、その中心は生活応援事業です。これは、いわばキャッシュレス版のプレミアム商品券であり、一定の消費喚起効果は認められるものの、買物や飲食をして初めてポイント還元される仕組みでは、本当に困っている方々への支援となるのか危惧するものです。
昨年末にユニセフが公表した「先進国のコロナ対策に関する報告書」では、今後5年間は子どもの貧困が増加するとされています。150億円といえば、都内14歳以下の子ども160万人に対し、一人あたり1万円弱を配布可能な金額であり、今回の補正予算がセーフティネットとして機能するのか注視しなければなりません。
Q13.生活応援事業は、新しい生活様式への対応ということで、キャッシュレスの場合はプレミアム率を高めると聞いています。同じような仕組みで、ひとり親や若年層、生活困窮者などに対象を絞る場合には、補助率やプレミアム率を引き上げるなどの工夫を講じて、必要とする人に確実に届く取組とすべきと考えますが、見解を伺います。

A13.
・本事業の目的は、新しい日常における生活応援を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向け、キャッシュレス決済によるポイント還元などの取組を行う区市町村を支援するもの。
・実施にあたっては、先行事例の紹介や技術的助言などにより、区市町村の取組を促進していく。

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