こんにちは、
東京都議会議員(町田市選出)
無所属 東京みらい おくざわ高広です。

さて、今日は読者からのリクエストシリーズ第一弾として、

「緊急事態宣言下で本当に必要!?青少年健全育成審議会にて不健全図書が指定!」

について、考えを書いていきます。

1.そもそも青少年健全育成審議会とは?

青少年健全育成審議会とは、

知事が東京都青少年の健全な育成に関する条例第 18 条の2の規定に基づき、青少年を健全に育成することを目的として、図書類、映画等、 がん具類、刃物及び広告物について、推奨、指定又は措置命令をするに当たり、世論の 代表として適切な審議を行い、もって公正な意見を述べるために設置した知事の附属機関

とされていて、月に一回開かれる審議会では、不健全図書(性的な描写を含む図書が多い)の指定などが行われます。


審議会では、事務局である都民安全推進本部が選定した1〜2冊程度の不健全図書候補を読み、20名ほどの委員が順に意見を言います。不健全図書に指定されると、区分陳列といって青少年(18才未満)の目に触れないように措置する必要があります。

これは、青少年の健全な成長を阻害する、つまり大人が見てほしくないと思うものは見せないという旧来型の青少年健全育成の考え方に則っていると思われますが、そもそも、インターネットも普及した今、図書を区分陳列したところで、青少年の目に触れないようにするという目的を果たせていません

そのような中では、目に触れないようにすることよりも、青少年自身が適切に判断して読むと読まざるとを判断できるリテラシーを高めることが現代の青少年健全育成ではないか、と私は思うのです。

指定の流れについては、東京都議会議員の栗下ぜんこう議員のブログに分かりやすくまとめてあるので、併せてお読みください。また、無所属東京みらいで行ったAFEE(エンターテインメント表現の自由の会)主催のエアコミケ街宣でもお話しているので、ご覧ください。

 

2.不健全図書指定のもたらす副作用
不健全図書として指定されると区分陳列をされることになりますが、「なんだ、見えないところに置くだけか。どうってことないじゃないか。」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ここには大きな副作用が存在していて、自主規制(表現者への規制)を強いているということです。

不健全図書に指定されると、区分陳列されるだけでなく、インターネット上での販売においても不利な扱いを受けると言われています。指定されてもインターネット上での販売に対して法的な拘束力はもちませんが、まさに自主規制がしかれ、販路が制限されます。

しかし、指定をされても、指定された理由は開示されません。そのため、指定された図書の何がいけなかったのかと業界や表現者が自ら表現を規制していくことに繋がります。さらに、明確な基準がないために、審議会での判断も主観的にならざるを得ないのが現実です。

 

3.なぜ開催されたのか

このような内容の青少年健全育成審議会ですが、本日(2/8)にリアルで開催されました。

ここまでを読んで「あれ、この審議会は緊急事態宣言下でも開催すべきものだったの?」と思われた方もいるかもしれません。すでに販売している図書を数冊区分陳列にすることしか拘束力はないわけですから、私も同感です。

一方で、委員ではない私にはどのような図書を指定したのか分かりませんので、もしかすると急を要する事情を抱えた図書が存在していたのかもしれない!と思い、担当職員にも話を聞きました。

話を聞いた、私の結論としては「深い理由はない」です。

職員の皆さんは超がつくマジメな人ばかりです。どうすれば開催できるか、と自分の業務に一生懸命に取り組んだだけであり、開催にあたっては、感染防止対策に必死になられていた様子がうかがえます。実際に会場に行かれた方は分かると思いますが、普段の会議室の何倍もの広さのある会場を用意していたようで、感染防止には最大限取り組んでいたことは間違いありません。この点は決して否定されるものではありません

一方で「緊急事態宣言下に開催すべきなのか」という本質的な問いにたどり着かなかったのは残念なことです。緊急事態宣言が発出され、不要不急の外出自粛を呼びかけている中で、都内各所から委員が集まってくるわけですから、会場は安全でもその道中に感染リスクは潜んでいますし、副次的に与えるメッセージ性は決して良いものではないと思います。

また、審議会で取り上げる数冊を選ぶために、実に100冊を越える図書を複数の職員で読み、該当箇所に付箋をつけるなどの準備を要します。都民安全推進本部は、夜間の外出を控えるよう街頭に出て呼びかけを行うような業務も担っています(この是非は一旦置いときます)。コロナ禍をなんとか早く乗り越えようとしている今、他にやるべきことがあったのではないかという思いはぬぐえません。

 

4.議員の役目「それって必要?」

しかし、これは青少年健全育成審議会に限った話ではありません。逆のパターンで、緊急事態宣言下の今だからこそ必要になる会議が開かれていないケースもあると聞いています。繰り返しになりますが、職員は超マジメで一生懸命がゆえに、その業務に疑問を持つこともなく取り組んでしまうことも多いです。

そのために、時代の変わり目に気づけずに社会からはズレた存在になりうるとも危惧するものです。

東京都には5000を越える事業があり、開催されていないものも含めると300を越える附属期間(審議会など)があります。この一つ一つについて、目的は果たせているのか、形骸化していないか、社会と合致しているのかと問い質していく存在が必要なのだと考えさせられました。

つまり、それは議員の役割であり、改めて東京都の取組をその目的に立ち返って「それって必要?」という視点で見直さなければならないと痛感する機会となりました。気を引き締め直して、チェックしていきます!

 

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