こんにちは、
東京都議会議員(町田市選出)
無所属 東京みらい おくざわ高広です。
 
さて、昨日の続きです。

今日は経済・港湾委員会があり、
✔️東京都立多摩産業交流センターの運営に関する指定管理者の決定について
✔️補正予算の中小企業制度融資について
✔️専決処分された協力金について
質疑がありました。
 

今回の質疑は、森沢きょうこ議員の一般質問に続くもので、意思決定を行う小池知事に対して、経済対策を所管する産業労働局はどんな役割を果たしているのか、という論点で質疑しました。
 
『人』は間違えるもの。
『空気』は判断を鈍らせるもの。
だから『客観的な事実や数値(エビデンス)』を拠り所に意思決定をするべきであり、実務を担当する職員の責務はエビデンスをかき集め、提示することだと訴えました。
 
新型コロナの影響で、社会全体が不安や不信といった空気に支配されているように思います。だからこそ、あえて空気を読まずに、目の前にある事実を冷静に捉えていく必要があります。
データは時に残酷で、これまでの取組が間違っていた事実を示してくることもあります。しかし、そのデータをまっすぐに見る勇気を持てば、明日からの意思決定をより良いものに変えていくと信じています。
 
それが少しでも伝わればいいなと思う次第です。
 
以下、全文。
 

 まず、東京都立多摩産業交流センターの指定管理者の指定について伺います。

 東京都立多摩産業交流センターは、これから運営が開始されるものであり、大きな発展を遂げる可能性がある一方で、運営者としては未知数の部分も大きいものです。特にコロナ禍の現在、集客施設の運営は困難な一面があると推察されます。

Q1.そのような観点から、今回の応募に当たっては、実務に長けた事業者が参加するなどして適切な運営体制が確保されていることを確かめる必要があったと思いますが、そのような点をどのように評価したのか伺います。

A1.

・多摩産業交流センターの指定管理者の候補の選定にあたっては、施設の運営を適切に行う力とそれを実施する体制やノウハウを持っているかどうかを書類や面談を通じて審査。

・こうした審査において、同交流センターを運営する能力などについては、類似した展示施設などでの管理やサービス提供の実績のほか、事業計画の実現可能性などを検証するとともに、実施体制に関して応募団体の経営状況や専門的な知識のある人材の確保や配置の予定等を評価。

 

 今回の評価に当たっては、実績とあわせて実現可能性などを幅広くみたということであり、納得しました。都の委託事業を見ていると、なぜこの業種の会社がやっているのかなと不思議に思う場面にでくわします。先日、とある有識者と話した際に危惧していたのは、役所との書類のやり取りが上手なところと実務に長けたところとは必ずしも一致しないという言葉です。たしかに、書類の上では、あるいは都庁とのやり取りは上手でも、いざ実務になった段階で丸投げする、それもかなり下請をたたいた金額での発注をしてくるケースがあるということでした。都の施策は、必要とする人に届いて初めて意味があるものです。どのような民間委託においても、この視点を重視して取り組むよう求めます。

 

 先ほども少し触れましたが、コロナ禍の運営の難しさに鑑みれば当面厳しい経営環境になることが予想される一方、アフターコロナに向けてモチベーションを高く取り組んでいただく必要があります。

Q2.一定のセーフティネットを張りつつ、その経営努力が報われるインセンティブを兼ね備えた協定とすべきと考えますが、どのような工夫を講じているのか伺います。

A2.

・多摩産業交流センターでは、施設の利用料金を指定管理者の収入とする利用料金制を採用しており、稼働率の向上等が指定管理者の収入増加につながるため、指定管理者にインセンティブが働く仕組み。

・なお、施設の開業直後など、管理運営費用に充てるための十分な利用料金収入がない場合は、例外的に都が指定管理料を支払い、その費用を補うこととしている。

 

 セーフティネットとインセンティブを兼ね備えた協定としている点は重要だと思います。都の事業全般にいえることですが、適切に執行することに力点が置かれていて、より効果を発揮させることへのモチベーションが低いのではないか、また、そこまでウォッチしていないのではないかと感じる場面が多々あります。今回の多摩交流センターにおける協定は特殊なものとは推察しますが、この考え方は広く取り入れて頂き、より一層の賢い支出に取り組んでいただくことを要望しておきます。

 

 つづいて、補正予算及び専決処分された協力金の予算について質問していきます。

 まず、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金について伺います。この協力金は、緊急事態宣言の発出される4月に、知事からの休業要請の実効力を高める意味で行われ、当時、人の流れを止めることでしか感染拡大を止めることはできず、また医療体制も今ほど整っていなかった際には、「大義と共感」を標榜する小池知事ならではの、素晴らしい取組だと感じておりました。一方で、4月の緊急事態宣言時とは状況が異なり、新型コロナの影響が長引く中では、もう経営が成り立たない、これ以上時短要請には従えないという悲鳴にも似た声が寄せられています。

 報道によると、人の流れをデータとして捉えると、原宿駅周辺では11/29には呼びかけ前と比べて6ポイント程度減ったものの、12/6には10ポイント増えてしまったということです。一方、大阪市のなんば駅では、11/29に20ポイント、12/6にさらに10ポイント低下したとのことです。このデータをみて考えなければならないのは、一つ目は、果たして夜の街への時短要請が感染拡大を防止する効果を発揮しているのか、つまり時短要請による感染拡大防止への効果という点ですが、それは所管が違うと思うので、別の機会に持ち越します。二つ目は、時短要請の実効力を高め、人手を減らすために協力金がどこまで有効なのか、つまり協力金が与える時短要請と人手への効果という点です。大阪市では、東京都と違い、業態や営業時間、地域による負担感の違いなども踏まえ、相当にきめ細やかな要請とあわせて、協力金についても1日単位とするなどの工夫を講じており、結果として、人手を減少させることには成功しています。

Q3.そこで、まず協力金が時短要請の実行力を高めるうえで、どれほどの効果を発揮していると考えているのか見解を伺います。

A3.

・これまで実施してきた協力金については、第一回の想定規模通り13万件に対し、申請数は約12万8千件、第二回は13万件に対し、約11万4千件の申請があった。

・また、営業時間短縮に係る8月分実施については、想定規模約4万件に対し、申請数はそれを上回る約4万6千件、9月実施分については想定規模通りの申請数約3万6千件と、多くの申請をいただいた。

・このように多くの事業者の皆様にご協力いただいていたことから、その効果があったものと考えている。

 

 一定の効果があったとの答弁でした。これは肌感覚なのですが、4月は確かに休業している店舗も多く、そうした店舗から協力金の申請が出ていたものと思います。一方で、今回の要請にはやはり従えずにいる店舗も多いと感じます。今回、どれほどの申請があがってくるのか、今回は支払うにしても、申請があったところが本当に要請に従っていたのかなど、しっかりと見ていく必要もあると思います。さらにいうと、時短要請が人手に与える影響が大きくないのだとすれば、時短要請という対策そのものの価値を問い直す必要がありますが、それは後ほど取り上げます。

 

 さて、協力金の対象について、時短要請の出た店舗の取引先からは、結果的に大変な影響を受けているにも関わらず、支援がないことはおかしいのではないかという指摘も出ています。確かに、協力金は補償ではありませんが、こうした不協和音、不公平感を敏感に察知し、細かく目配りをしていくことが、後の大問題を回避したり、また団結して臨むことが重要な感染拡大防止に効果を発揮する時が来ると思います。

Q4.そこで、こうした声に対してはどのように対応していくのか、見解を伺います。

A4.

・協力金は、都からの休業要請に応じて頂いたことに対して支給させて頂くものである。感染拡大による影響を受け、厳しい経営状況が続く様々な中小企業に対し、資金繰りを支える融資制度のほか、国の家賃支援給付金への上乗せ給付や経営相談など事業継続を下支えするための多様な支援策を今後とも的確に講じていく。

 

 様々な支援制度を活用していく旨の答弁がありましたので、ここで中小企業制度融資について質問します。都は本定例会で、新型コロナウイルス対応融資について、融資限度額を4兆円に引き上げる補正予算を提案しています。都は、本年三月にこの融資メニューをスタートし、これまでも多くの中小企業を支援してきましたが、春先に融資を受けた事業者のなかには、資金が底をつき始め、追加融資が必要だという声も聞こえてきます。

Q5.そこで、新型コロナ対応融資で追加融資が受けられるのか、また、追加融資が受けられない場合に、どのような対応策があるのか伺います。(実際には他会派と重複したため質問割愛)

A5.

・新型コロナ対応融資のうち、国が費用を負担する「感染症全国」の限度額は4千万円、都独自の3メニューの限度額はすべて2億8千万円であり、この四つのメニューの合計で1億円までは三年間の利子補給がある。

・例えば、実質無利子融資を希望する場合、従来の融資額とあわせて限度額1億円の範囲内であれば、追加融資を受けられる可能性がある。

・追加融資が受けられない場合でも、新型コロナ対応融資以外の制度融資メニューや、都と地域金融機関が連携した融資制度である「東京プラスサポート」などが活用できる可能性がある。

 

 中には追加の融資を受けられないということで、精神的に追い詰められてしまう経営者もいると思われます。しかし、例え事業が立ち行かなくなっても、事業承継や自主廃業して、やり直す道もあり、都では事業再生特別相談窓口を設置するなどして対応しています。

融資は重要ですが、このように事業の立て直しには様々な方法があります。

Q6.そこで、金融機関に対して、今回補正する新型コロナ対応融資の案内とあわせて、様々な都の支援事業を紹介するよう働きかけてはどうでしょうか。そうすればより多くの中小企業に都の事業が活用されると思いますが、都の見解を伺います。

A6.

・都は毎年3月に、制度融資を取り扱う全ての金融機関に対し説明会を開催しており、この中では、制度融資以外の都の事業も紹介している。

・都と連携協定を締結している金融機関等に対しては都の事業をより詳しく説明し、あわせて意見交換なども行っている。

・金融機関との連携により、都の事業がさらに活用されるよう、今後も引き続き、情報提供等に努めていく。

 

 東京商工リサーチによると、11月の都内企業の倒産件数は109件で、前年同月から19%減少したとのことです。これは、各種の支援策が経営を下支えしているとのことですが、融資の息切れや東京都の営業時間短縮要請による減収で「年明け以降、倒産が増えてくる可能性があるとのことです。また、コロナの影響が長引く中で、今借りたお金について返すめどが立たないという声も聞こえてきます。東京商工リサーチの別のレポートでは、実は昨年は企業の倒産件数が右肩上がりになっており、その背景にはリーマンショック以降とられてきた返済猶予を許容し、倒産させてはならないという金融機関のスタンスが変わり始めていたことが原因とのことです。リーマンショック以降、様々な支援策を講じてきたにも関わらず、10年たった今、返済の見込みを立てられない、業績の回復が見込めない企業が水面下には数多く存在する可能性が推察されます。であるとすれば、今行っている融資の反動は数年後にやってくることになります。倒産させない、ばかりではなく、企業ごとに適切な支援につなげることができるよう、取り組んでいただきたいと思います。

 

 さて、こうした話も含め、やはりコロナ禍における経済対策の成否は、未来の東京を大きく左右します。東京にとって経済はいわば心臓です。経済が止まれば、行政サービスも含めて止まってしまう部分が数多くあることは周知のとおりです。そうした観点からも東京都の新型コロナ対策において、経済悪化や社会不安の増大といった観点が弱いのではないかという指摘もあります。医療で助けられる命もあれば、経済で助けられる命もあります。確かに意思決定を行うのは知事の責任です。しかし、その意思決定に必要な要素を、現場の声を吸い上げて届けるのは各局の責務であり、特に経済環境については産業労働局がその役目を果たさなければなりません。

 今回は時短要請というハンマーが打たれたわけですが、記者会見では、時短要請そのものの効果よりもメッセージ性に重きを置いているような発言もあり、私は大変驚きました。全体の気を引き締めるために夜間経済を犠牲にするようなことがあってはなりません。

Q7.そこで確認しますが、産業労働局としては、今回の時短要請、そして協力金の支給という意思決定において、どのようなスタンスで臨んできたのかお伺いします。

A7.

・感染症対策については、感染拡大防止と経済活動との両立を図る観点から進めており、今回の営業時間の短縮要請もそうしたことを念頭に期間等を定めていると認識している。

・また、今回の協力金の支給額は、事業者への影響が大きい年末の繁忙期であることや、国の制度の活用も踏まえ、設定しているものである。

 

 感染拡大防止と経済活動との両立を図るというお答えですが、産業労働局としては、経済活動の現状を客観的事実や数値に基づいて伝えることです。例えば、夕方の5時に顔を赤らめてカラオケスナックに入っていく高齢者を見ると、夜間経済を中心に生活している方々の苦しみを想像したときになんとも言えない悔しいような情けないような感情に見舞われるわけです。

Q8.そこで伺いますが、今回の時短要請と協力金という対策をうつに当たって、具体的には、どのような場面で、どのような情報を提供してきたのでしょうか。

A8.

・関係各局と緊密に連携を図りながら、適時適切に情報を共有し、施策の内容に係る意思決定に役立てている。

 

 繰り返しになりますが、最終的な意思決定を行うのは知事の責任であり、そこには客観的な事実や数値だけでは表せない、いわゆる政治判断が必要になる場面があることも理解しています。しかし、だからこそ、実務を担う各局においては、客観的な事実や数値に基づいて議論ができるよう、様々なデータを集め、提示しなければなりません。また、効果検証は後から行うことはできません。事業に取り組む前段階で、検証の目的や手法、必要なデータの取り方を決めておく必要があります。都には、データを扱う専門家というのが不在だと思いますので、今後の取組では、そうした人材も意思決定過程に加えていただくことを求めておきます。

 最後になりますが、私は、一つひとつの対策や予算への賛否をする場面や自らの情報発信が、もしかしたら人の命を救うかもしれないし、奪ってしまうかもしれないと考えると毎日こわくてたまりません。都庁職員の皆様もおそらく同じ思いだと思います。大変な日々が続いており、疲れもピークであろうと思います。しかし、だからこそ、最善の判断を下していくために、空気ではなく、客観的な事実に基づいて動くことが重要です。追い込まれた時に何をよりどころにするのかということです。人はまちがえるものです。空気は判断を鈍らせるものです。ぜひエビデンスに基づく判断を重視していただくよう求め、質問を終わります。

 
 

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