こんにちは、

東京都議会議員(町田市選出)

無所属 東京みらい おくざわ高広です。

 

今日取り上げるのは、都民安全推進本部です。

一昨年までは青少年・治安対策本部として、若者支援や治安対策、交通安全対策といった取り組みをしてきたましたが、ここからひきこもり対策が切り離され、名称も変更になりました。

 

治安対策本部は、もともと警察が行っていた取組について、例えば犯罪に至る手前の段階でできる啓発や相談事業を行っています。

 

特に力を入れて取り組んできた再犯防止の取組については、刑法犯検挙者は大幅に減少しているのに、再犯率はあまり減らないという現状があります。

再犯の起こる背景には、経済的困窮だけでなく、孤独や孤立、あるいは知的障害や認知症といったこともある可能性を考える必要があります。

日本特有の同調圧力というか、世間の目は犯罪の抑止にもなる一方で、ひとたび罪を犯してしまうと、もうコミュニティに戻さないという強烈な圧力に変わるともいわれます。

都民安全推進本部の取組は、そのような社会の特性や変化も踏まえた上で取り組まなければ効果がうすいものとなってしまいます。

 

今回は、政策評価シートに示された取組の実績を中心に質疑しましたが。

これからも、背景に着目した政策立案に力を入れていきたいと思います。

 

以下、全文になります。

注)他会派と重複した質問は割愛しましたが、意見を申し上げました。

 

都民安全推進本部の取組は、交通安全、治安対策、若者支援と多岐にわたりますが、政策評価シートをみると、全ての取組について、指標を設定して取り組むなど、他局以上にシビアな目線で取り組んでいこうという姿勢がうかがえます。また、国際競争力強化プロジェクトにおいても、安全安心をつくるための政策立案に真摯に取り組もうという姿が垣間見え、この数年で組織体制の再編もあった中で、自律的な改革を進めていく必要性を感じておられるのだと思います。
Q.まず交通安全の取組について、政策評価シートを読むと、高齢者の交通事故死者数は目標未達成、子どもの交通事故死者数は達成という状況です。警視庁の資料をみると、高齢者の方が子どもよりも自転車事故が増加していることがうかがえます。子どもには、例えば学校などで一斉に安全な自転車利用に関する指導が行うことのできる環境がありますが、高齢者にはそのような機会が取りにくいのでないかとも思います。そこで、高齢者の自転車利用の安全を高めるための取組と実績について伺います。
A.
・高齢者の自転車利用時における交通安全の確保は重要な課題であり、区市町村等と連携して、参加・体験型の交通安全教育の充実などに取り組み
・具体的には、主に高齢者を対象とする取組として、区市町村主催の交通安全イベント等において自転車シミュレータを用いた交通安全教室を開催しており、令和元年度は、35の区市町で延べ52回、4,306人が参加
・また、運転免許返納者を始めとした高齢者を対象に、自転車の交通ルールに関する講義や電動アシスト自転車体験などの実技を組み合わせた講習会を3回開催し、66人が参加
・さらに、高齢者向けの自転車安全利用リーフレットを作成し、ホームページに掲載するとともに、区市町村や警察署のほかシルバー人材センターや老人クラブを通じて約11万5千枚を配布
・こうした取り組みを通じて、高齢者の自転車利用時における交通安全を推進

地域でお話を伺うと、運転免許を返納された方の中には、その後自転車利用を中心にしようと考えてらっしゃる方も多いと思われます。運転免許の返納と自転車の安全利用は必ずセットで行うなどの工夫を講じていただけるよう検討願います。

次に治安対策について、高齢者自身が犯罪を犯すことを防ぐための取組について伺います。平成30年の犯罪白書の「刑法犯検挙人員(年齢層別)・高齢者率の推移」をみると、平成10年には4.2%だった高齢者率が平成29年には21.5%となっています。刑法犯検挙人員が大きく減少する中で、高齢者の検挙人員は変わらずにいるのがその原因です。その内容としては、万引きなどの窃盗が大半を占めるのですが、その理由としては、経済的困窮だけでなく、孤独感や孤立感、あるいは認知症などの影響もあるといわれています。また、再犯に繋がってしまうケースも多く、刑務所の中にいたほうが安全だという趣旨の話をして、あえて再犯をする方もいるとのことであり、一人ひとりの状況に応じた取組が必要であることは間違いありません。
Q.そのような状況を踏まえ、都民安全推進本部では、一昨年に高齢者万引き相談を開始し、昨年は高齢者よろず犯罪相談を行っています。そこで、高齢者よろず犯罪相談における相談件数と相談内容について伺います。
A.
・都は、令和元年7月から12月まで、万引きなどの犯罪をしてしまう高齢者やその家族等からの相談を受け付け、適切な支援機関等をご紹介する「高齢者よろず犯罪相談」窓口を設置。
・相談件数は113件であり、うち約4割が万引きを繰り返してしまうことへの悩みに関する本人や家族等からの相談であった。
・事業の実施に当たっては、高齢者にも分かりやすいチラシやポスターを作成の上、区市町村窓口における配布や駅やスーパーへの掲示などにより、広く窓口の利用を呼び掛けた。

昨年の相談件数は113件ということで、数としては多くはないかもしれませんが、相談によって犯罪に手を染めずに、あるいは早い段階で踏みとどまることができたのだとすれば、重要な取組であると考えます。今年は、「犯罪お悩みなんでも相談」と形を変えて、より広く相談をしやすい体制を整えているとのことですが、10月末日をもって終了してしまうと聞いています。新型コロナの影響で経済的な困窮や孤独感、孤立感が広がっている今、必要な事業になるのではないでしょうか。事業の継続を求めます。

Q.高齢者の再犯の話をしましたが、ここからは非行歴のある若者の立ち直り支援について質問します。国際競争力プロジェクトでは、オランダの再犯防止、スウェーデンの非行歴のある若者の立ち直り支援について調査をしているようですが、自治体、警察、福祉、心理、検察、矯正・更生保護等の多様な分野の専門職が連携して取り組む「セーフティハウス」などは大変興味深く読ませていただきました。また、再犯防止に有効な取り組みとして、社会全体の理解を促進することや、就労や住居の必要性が述べられており、重要です。とりわけ、就労に関しては、経済面の自立だけでなく、社会との繋がりを生むという点でも非常に重要であり、都としては保護観察対象少年の臨時職員雇用や協力雇用主制度の普及啓発に取り組んでいることは評価すべきことです。一方で、刑務所在所中から就職後のアフターケアまで継続的な支援という意味では、まだまだ日本では不足している点だと思います。例えば、ヒューマン・コメディ代表の三宅晶子さんは、受刑者専用の求人情報誌「Chance!!」を創刊し、年4回、全国の刑務所、少年院、更生保護施設など約240カ所で無料配布しているそうです。都としても、こうした取組と連携するなどして、非行歴のある少年の立ち直り支援にさらに積極的に取り組んでいくべきと考えます。ここでは決算審議ですので、見解は伺いませんが、非行歴のある少年の立ち直り支援について、これまでの都の取組と成果や課題について伺います。
A.
・都は、平成29年度より、非行少年の立ち直り支援に携わる民間支援団体等の支援力の向上等を目的とした研修会を実施。
・こうした団体の中には、非行少年の支援に特化した活動を行っている団体は数少なく、また、規模も小さな団体が多いため、単独での支援や知見の蓄積にも限界があると認識。
・そうした課題を解消するため、平成30年度からはグループディスカッションを導入し、団体相互の連携を促すとともに情報共有が図られるようにしている。
・また、令和元年度は73名の参加を得て、協力雇用主等の講演を実施し、雇用の現場における支援の現状を情報提供することを通じ、非行少年の立ち直り支援に取り組む団体を後押し。

支援団体や協力雇用主への支援を行っていることは理解しましたが、より一層の取組をお願いします。

続いて、若者を犯罪から守るための取組について、本年3月の予算特別委員会総括質疑で、宮坂副知事より「今後は、プログラミング教育の実施に合わせて、犯罪の被害等から身を守るため、情報リテラシー教育に取り組むとともに、SNSのデータ分析などを使った最新のテクノロジーなども利用して、若者に対する犯罪等の防止に役立てていきます。こうした取り組みを通じて、東京の未来を担う若者の安全・安心の確保に努め、快適で活力に満ちた生活が実現可能となる社会、スマート東京を築き上げていきたい」という答弁がありました。改めて、青少年をインターネットに起因する各種犯罪から守るための取組について、伺います。
A.
・都は、インターネットの適正利用や性被害等防止対策について学ぶ啓発講座「ファミリeルール」を運営しており、青少年をはじめ、保護者等に対してもインターネット上のトラブルや危険性をより身近な問題として理解を深めてもらうよう講座を実施
・令和元年度は592回開催し、約11万1千人が受講
・また、携帯端末等の推奨制度を行っており、青少年のインターネットの利用に伴う危険性の除去に資するものとして、青少年を健全に育成する上で有益であると認めるアプリ等について推奨
・令和元年度は、疑似体験型アプリ2つを推奨
・更に、若者が、SNS利用による様々なトラブルや被害等に関する動画等を自ら製作することで、SNSの適正利用に対する自らの意識啓発を図ること等を目的に「SNSトラブル防止動画コンテスト」を開催
・令和元年度は、195作品の動画、107作品の静止画の応募があり、動画部門7作品、静止画部門3作品の表彰を実施。

昨年度の決算では、成果をはかる指標をとれるよう組み込むべきとの意見を申し上げました。いまのお答えで、アウトプット指標つまり、どれだけの取組をしたのかという点について数字の実績をもってお答えいただいたことは重要なことですが、今後は、実際に参加者の考えがどう変わったのかといった点についても測るようにし、内容のブラッシュアップを図っていただきますようお願いします。

Q.様々な取組で啓発を行っていることは分かったのですが、インターネットを利用した犯罪は巧妙化しており、どうしても防げないケース、巻き込まれてしまうケースも少なくはありません。そのような際に、トラブルに巻き込まれた若者が罪の意識にさいなまれることなく、相談できる先を用意しておくことも大切です。そこで、インターネットに起因するトラブルを抱えた青少年やその保護者に対する対応について、取組状況を伺います。
A.
・都は、青少年が架空請求や各種SNSに関するトラブルに巻き込まれるケースが増えていることを踏まえ、青少年やその保護者等が気軽に相談できる窓口「こたエール」を運営
・令和元年度の「こたエール」の相談件数は、電話相談が567件、メール相談が453件、LINE相談が726件であり、合計で1,746件の相談を受け付けている。

多くの相談があるとのことで、またHPにある統計表をみますと、LINE相談の年齢層や相談内容の推移も見て取ることができました。ここに寄せられている相談は、今すぐに解決に向けて動かなければならないことであると同時に、前段で伺った啓発の取組をブラッシュアップしていく種になるものです。しっかりと相談内容を精査して、今後の施策に活かしていただきますようお願いします。

Q.次に、犯罪に巻き込まれることを防ぐための見守り活動について伺います。本年6月に実施された都民生活に関する調査では、都民ニーズの高い分野の第二位が治安対策であり、その中で最も高いニーズは「子供等に対する犯罪が起こりにくい環境の整備」です。この実現に向けては、いかに社会全体で子どもを見守るのかという観点が重要です。都では、子供を見守る活動を支援し、すそ野を広げるため「市民ランナー」や「犬の飼い主」を対象に、ランニングしながら、又は愛犬と散歩しながらの見守り活動の普及に取り組んでいますが、昨年度のそれぞれの登録者数等の実績について伺います。
A.
・市民ランナーを対象にした取組については、18のランニング団体から協力の申し出を受け、LEDアームバンド及び啓発リーフレットを配布したほか、これらの団体には、都から防犯イベント等の情報を随時提供するなどして連携
・また、犬の飼い主を対象にした取組である「わんわんパトロール」については、昨年度、184名の方にパトロールに携行するバッグと啓発リーフレットを配布し、この方々へのアンケート調査では、回答者の約9割が、この取組により「防犯活動への関心が高まった」と回答

わんわんパトロールでは、防犯活動への関心が高まった方が9割ということで、確実に内面の変化が起きていることが分かります。国際競争力プロジェクトでは、アメリカも視察しているとのことで、防犯カメラ等の見える化による抑止力強化や企業等との連携が記載されていました。昨年の決算特別委員会では、森沢委員から「都のお墨つきで見守り活動を行っていただく以上、ボランティアといえども、その目的をしっかりと理解していただき、それにふさわしい行動をとっていただくことが必要」と述べさせていただきました。見守り活動のすそ野を広げる取組を、アメリカの事例も参考にブラッシュアップしていただきますようお願いします。

Q.最後に、政策評価シートにおける若者支援については、成果指標の達成度がかなり高い水準でありますが、これまでの取組を分析しつつ、青少年問題協議会からの意見具申を参考にした取組が奏功した結果かと思います。この点については評価すべきことであり、引き続きこの姿勢で取り組んでいただきたいと思います。一方で、今後の課題感として相談における心理的ハードルを下げたり、社会資源の開拓をしていく必要性が挙げられており、そのためには、より若者の暮らしに近い立場にある区市町村の取組が重要になると思います。その点から、子供・若者自立等支援体制整備事業については目標9区市町村に対して2区市町村の実績となっているのはやや残念です。それぞれの区市町村の事情もあるとは思いますがので一概には言えませんが、都としては、長いスパンでみた上で、区市町村の取組を支援いただきたいと思います。本日は、区市町村での支援体制整備に向けたこれまでの取組について伺います。
A.
・悩みを抱える若者が身近な地域で支援を受けられる環境づくりが重要であることから、都では平成二十三年度から若者への支援体制を整備する区市町村に対して費用の一部を補助している。
・本事業は補助開始以降、昨年度まで、二十四自治体に延べ三十五件活用いただいている。
・さらに、東京都子供・若者支援協議会や地域支援者向けの講習会、区市町村との情報交換などを通じて、都の施策説明や基礎的自治体における好事例を紹介することなど、各自治体による地域の実情に応じた支援体制の整備を支援している。
・ひきつづき、さまざまな機会を通じて補助事業活用の働きかけや情報提供を行うなど、区市町村の取り組みを促進していく。

これまで一定の役割を果たしつつも、昨年度の結果を見ると、少し改善が必要なのかもしれないなと思うところです。この事業に限らずですが、区市町村の意見や社会情勢の変化を見極めながら、取組の改善を重ねていただきますようお願いして、質問を終わります。
 

 

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