こんにちは、

東京都議会議員(町田市選出)

無所属 東京みらい おくざわ高広です。

 

さて、昨日に引き続き、決算特別委員会についてのお話です。

今日取り上げるのは選挙管理委員会です。

 

 

クマがすごい笑

 

 

昨年でいえば参議院議員選挙の事務や選挙時の啓発活動などを行ってきた選挙管理委員会ですが、

各会派から興味深い視点での質疑がなされます。

 

私からは若年層への啓発におけるAIDMAモデルからの分析聴覚障がい者の情報保障

ネット選挙の導入が検討されている在外邦人の投票実態女性の政治参画に向けた旧姓使用など

幅広い観点から質問させていただきました。

 

また、2年前に、投票所において性的マイノリティの方々が、性別をしつこく聞かれたりする問題が起きていたことを取り上げており、

その改善がみられていることを取り上げ、更なる取組を要望いたしました。

 

なお、AIDMAモデルとは、マーケティング業界の行動を起こさせるための考え方ですが、

選挙があることを知っている⇒選挙に行こう に変わるための仕掛けの必要性を述べました。

 

また、全国で140万人ともいわれる在外邦人の投票しにくさは大きな問題だと改めて感じた次第です。

若年層の投票率向上への効果が期待されるネット投票ですが、

在外邦人や病気や障がいで外出が難しい方などにもメリットが大きいことを改めて感じた次第です。

 

選挙は民主主義の根幹です。

引き続き、誰もがハードルを感じることなく政治参加できる環境に向けて取り組んでいきます。

 

以下、全文になります。

 

Q1.若年層の投票率の低さへの問題意識は皆さん同じだと思いますが、昨年の参議院選挙の20代の推定33.16%であり、最も高い60代の65.65%と比べるとその低さがよくわかります。投票率様々な啓発を行っていることは承知していますが、まず、若年層の投票率が低い理由についてどのように認識しているのか伺います。
A1.
・投票率については、その時々の政治情勢に影響されるところが大きいと考えるが、令和元年参議院議員選挙後に実施した世論調査では、20歳代の棄権理由として、時間がない、関心がないという回答が上位を占めた。
・一方で、候補者についての情報不足や、選挙への参加意欲の低さを示す回答も一定数を占めたことから、選挙の周知や投票意識の向上に向けた啓発が必要と認識


今のお話を聞くと、選挙があること自体は知ってはいるものの、投票に行くことの優先順位が低い、あるいは、情報不足でよく分からないから行かないといった心理をうかがい知ることができます。啓発の目的は行動変容を起こすことだと思いますが、行動変容の代表的なモデルにはAIDMAモデルがあります。Attention(注意),Interest(関心),Desire(欲求),Memory(記憶),Action(行動)の頭文字を取ってAIDMAモデルというわけですが、これまでの啓発では、注意段階つまり選挙があるということを知らせることと、記憶段階つまり選挙に行くのを忘れないように喚起することには成功しているものの、関心段階や欲求段階つまり選挙にいこうと思わせる仕掛けが足りていないのではないかと思うわけです。ちなみに、選挙があることを知らなかったという答えは数%だったということですから、その裏付けになると思います。

Q2.こうしたことも踏まえてお聞きしますが、昨年の参議院議員選挙ではダンスイベントを開催して啓発するという一風変わった取組があったと承知しています。これは、どのような目的で実施したのか、また期待した成果は得られたのか伺います。
A2.
・親子向けイベントとして子供を対象としたダンスイベントを実施することにより、保護者の参加、SNSによる拡散、メディアによる報道を通じて選挙周知、投票意識の向上、投票所へ子供と入場できることの周知を図った。
・ダンスイベントではパフォーマンスの観覧者が4千人を上回ったほか、模擬投票、SNS拡散用フォトブースにも多くの親子連れの利用があった。今後とも若年層の関心や行動に合致した啓発を行っていく。


工夫を講じた意欲的な取り組みであったことは認めますし、4,000名を越える参加者があったことからも期待した成果は得られたのだろうと思います。一方で、先ほどのAIDMAモデルに照らし合わせると、注意段階から関心段階への啓発であり、欲求段階へと繋げることが出来ていたのかという点では課題も残るのかなと思うところです。また、この委託費用は2,000万円強とのことです。成果指標なども含め、根本的なところから事業の内容を見直す必要性もあることを指摘しておきます。
最初の質問の答弁で、投票率はその時々の政治情勢によるところが大きいという話がありましたが、これは欲求段階の話をしているのだと思います。自分の生活に身近なテーマが争点になっていれば投票しなければならないという気持ちも強くなるわけです。ただし、ここまで投票率が低い状況になっていることに鑑みれば、選挙に行きたいと思わせる取組が必要になると考えますが、大きく分けて、罰則をつけるなどして危機感をあおる、あるいは割引やノベルティを用意してインセンティブをつけるという2方向があると思います。
昨年は国際競争力強化プロジェクトで選挙管理委員会からはニューヨークに派遣されています。その報告書を読むと、「当局では、いかに投票へ行くかを呼びかけるかに主眼を置いて、期日前投票日や当日投票日を呼びかけている。NY市選挙管理委員会において、投票者へリストバンドをノベルティとして配布しており、これが投票へ行ったことの目印となって、SNSで拡散されていることを知った。当局においても、投票後に実施可能な啓発事業として取り入れる余地はある。」と締めくくられています。非常に重要な気付きを得ていると思いますので、ぜひ実行していただきたいと強く要望しておきます。

Q3.次に、障害のある方の政治参画という観点から2点質問いたします。まずは主権者教育に関して、狛江市では、知的障害や精神障害のある方にも自らの意思を伝えることが出来る選挙のあり方を模索し、障害のある方向けの模擬投票や分かりやすい広報を発行するなどの工夫を凝らしているそうです。東京都では、知的・精神障害のある方に対し、どのような取組を行なっているのか、令和元年度の取組状況について伺います。
A3.
・板橋など4特別支援学校339名を対象に出前授業を実施し、政治参加の大切さや投票方法などについて講習するとともに、模擬投票を実施。
・また、知的・精神障害のある方が安心して投票できるよう、区市町村選管の職員を対象とした研修において、「投票所運営における障害のある方への接遇」の講義を実施し、障害や特性に応じた接遇のポイントを説明


主権者教育に加え、投票所における接遇を周知しているとのことだと思いますが、もう一歩踏み込んで、情報を分かりやすく、かみ砕いて伝える努力も重ねてほしいと思います。また、一昨年の事務事業質疑において、性自認や性的指向によって投票所で差別的な言動をうけるケースがあることを指摘いたしました。これについては、例えばハガキの性別欄をなくすなどの一定の配慮が行われるようになっていると伺いましたが、より一層の取組を求めるものです。誰もがハードルを感じることなく投票所へ足を運べるような環境を整えること、それを周知し投票に足を運ぶことがウェルカムな機運を醸成すること、それが区市町村ごとにばらつきが出ないようにすることが東京都の果たす役割だと思いますので、より一層の取組をお願いします。

Q4.情報を分かりやすく伝えるという観点から、聴覚障害のある方への情報保障について、政見放送においては2011年から手話通訳、2013年から字幕がつくことになったとのことですが、政見放送の無い地方議会議員選挙においては、より一層の配慮が求められます。もちろん政見放送のある選挙においても、街頭演説などにおいて手話通訳士に同行頂く例などもあり、参考にすべき取組です。しかし、手話通訳士が選挙運動員とみなされたり、字幕が掲示物とみられるなどの法律上の位置付けの問題やその費用についても各候補者や政党が準備することから、情報保障にバラつきがあることは否めません。そこで、昨年の統一地方選挙や参議院議員選挙において、聴覚障害者への情報保障という観点からどのような取組を行ったのか伺います。
A4.
・聴覚障害者への情報保障については、令和元年の参院選において選挙区選挙の政見放送への手話通訳付与が導入されたことにより、政見放送を行うことができるすべての選挙で手話通訳付与が可能となるなど、国における制度改正が進められている。
・(街頭演説など候補者が主体的に行う選挙運動について、選挙管理委員会で関与することは困難であるが、)都委員会においても、有権者が文字や映像等で選挙情報を入手する手段を確保することは大変重要であると考えており、都の管理する選挙において、選挙公報のPDFデータや、候補者から届出のあったウェブサイトアドレスをホームページに掲載するなど、聴覚に障害を有する有権者に対して候補者情報がより容易に行き渡るような取組を行っている。


一定の改善が見られることが分かりました。しかし当事者のお話を聞くと、例えば中途失聴者など必ずしも手話通訳が可能ではない方もおり、文字情報の充実をはかってほしいとの声も聞こえてきます。街頭演説において文字情報を掲示すると公職選挙法違反になってしまうといった問題があることは承知しておりますが、法改正の必要性も含め、誰もが選挙に関する情報にアクセスしやすい環境整備に尽力していただきますようお願いします。

Q5.次にインターネット投票に関して、今年2月、海外在住の邦人を対象とする在外投票でのネット投票導入に向けて、総務省ではインターネット投票のセキュリティ面での課題を洗い出すなどの実証実験を行いました。この動きは積極的に後押ししていきたいところですが、そもそも、これまで在外邦人の方々は、どのような手続きを経て投票してきたのか、また令和元年度に実施された参議院議員選挙における投票実績はいかほどかお伺いします。
A5.
・在外邦人の方々が国政選挙での投票を行うためには、まず在外選挙人名簿への登録の申請が必要である。申請方法には、出国前に区市町村選管の窓口で申請する方法と、出国後に在外公館で申請する方法とがある。
・また、在外選挙人名簿に登録された在外邦人の方々が投票する方法としては、在外公館に出向いて投票する方法と、名簿登録された区市町村選管から投票用紙を取り寄せたうえで郵便で投票する方法とがあるほか、一時帰国中の方々は日本国内で投票することもできる。
・令和元年7月21日執行の参議院議員選挙では、都内区市町村の在外選挙人名簿に登録された有権者24,974人のうち7,036人が投票し、投票率は28.17%、前回の平成28年7月10日執行参議院議員選挙での29.78%に対して1.61ポイントの減となっている。


まず在外邦人の方々が投票できるのは国政選挙だけであること、その投票をするためにも手続きが必要なことが分かりました。在外邦人は全国で140万人程度との統計調査がありますが、東京と日本全国の人口比から考えると、東京都をルーツとする在外邦人はおそらく15万人程度いるのではないかと思います。そこから、所定の手続きを済ませて、都内区市町村の在外選挙人名簿として登録されているのは、2.5万人程度、1/6程度になっているのではないかと思います。さらに投票しているのは、7千人程度ですから、5%にも満たない人しか投票に至っていないのではないかと懸念するところです。国の行った実証実験では、課題の洗い出しを行ったところではありますが、インターネット投票の実現に向けて、都としても積極的に協力していただきたいと申し述べておきます。

Q6.最後に女性の政治参画という観点からご質問します。昨年の決算特別委員会で、当選証書や公報における当選人の告示において、旧姓を使用した場合の通称について、メインの記載となるよう国に働きかけてほしいと申し上げましたが、その後の取組状況を伺います。
A6.
・当選証書等における旧姓の記載については、本年9月に、旧姓の取扱いに関する総務省からの通知が出され、その中で、「当選人の告示及び当選証書に記載する氏名については、当選人の告示が当選人の身分を付与するものであること、当選証書が当選人としての身分を公証するものであることから、立候補の届出書の場合と同様、本名を記載することとしているところであるが、当選人から申出があった場合には、本名を記載した上であれば、追加情報として通称又は旧姓を付記することもできるものであること。」との見解が示された。


つまり、メインでの記載ではないけれど、当選証書と当選人の告示においては旧姓も付記できるというお答えであったと思います。昨年の他会派の方からも求めがありましたが、総務省が示した見解について、東京都選挙管理委員会も実行していただきたいと思いますし、区市町村選挙管理委員会にも周知を図っていただきますようお願いします。

最後に意見になりますが、今年の知事選において、世田谷区では選挙公報が届かないという苦情が100件以上あったとのことで、由々しき事態です。選挙公報は全戸配布が原則と認識していますが、選挙公報の配布は区市町村の責任で行うということですが、こうした事態が起きないように取組を徹底することは都として果たすべき役割だと私は思います。今日行ってきた質問や意見については、皆さんがこれまでしてきた職務から半歩踏み出しているような内容が多かったと思いますが、選挙は民主主義の根幹をなすものであり、その意味でも選挙管理委員会の果たす役割はもっと大きくてしかるべきです。都庁のデジタル化の流れもみて、デジタルで解決できることを洗い出していただくことも含め、今後、より一層の取組を期待して質問を終わります。
 

 

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