今朝は、心洗われるような穏やかな朝でした。

季節は深まりゆく秋だというのに、海辺には風一つなく、水面は鏡のように静まり返っています。この上ない散歩日和に誘われ、いつものように海岸線を歩き始めました。空気はひんやりとしていますが、日差しは優しく、肌に触れる感触が心地よい時間です。

しかし、その穏やかさとは裏腹に、海はどこか寂しげな表情を浮かべていました。

玄界灘の大海へと旅立つサゴシ達

期待していたお魚の気配は、ほとんど感じられません。賑わいを見せていたはずのサゴシたちは、どうやら群れをなして他所へと移動してしまったようです。水面がざわつくこともなく、釣り人の竿も静かに空を仰いでいます。

たまに、沖の方でボラが力強く水面を叩いて跳ねる姿が見える程度です。しかし、その生命力あふれる跳躍も、広大な海の静けさの中では、かえって寂しさを際立たせるように感じられました。

足元をよく見れば、小指ほどの小さなイワシか何かの群れが、キラキラと光を反射しながら泳いでいるのが見えます。彼らが秋の海の主役なのかもしれませんが、どこか頼りなく、物足りなさを感じてしまいます。

「秋」といえば、豊かな実りの季節です。山は紅葉し、畑は黄金色に輝く。それなのに、この海はまるで夏の喧騒が去った後のように、静かで、そして寂しい風景でした。

自然は常に移ろいゆくもの。豊漁の時もあれば、静寂の時もあります。この寂寥感もまた、秋の海が持つ一つの表情なのでしょう。

今はただ、この風のない穏やかな気候と、静かに寄せては返す波の音を心ゆくまで味わうことにします。また次の季節には、賑やかな魚影が戻ってくることを願いながら、私は家路につきました。

この静かな朝の記憶が、また明日への活力となることを信じて。