仕事と趣味は分けるべきか? 「自分」と「他者」の境界で考え続けたこと
仕事と趣味を分けるべきかどうか。この問いは、私にとって人生の方向を決める重要なテーマの一つです。
私はかつて公務員として消防士をしていました。人の命を救うという明確な社会的意義のある仕事に携われることに、やりがいを感じていました。自分の仕事が誰かの命に直結する。そのことに誇りとモチベーションを持ち、主体的に仕事に取り組むことができていたのです。
当時は特に趣味というものを必要としていませんでした。なぜなら仕事そのものが自分の充足になっていたからです。仕事に没頭し、そのことだけで十分に満たされていた。生活の軸が「仕事」にしっかりと据わっていたときは、趣味がなくても幸せだったのです。
しかし、組織の中で「自分の意志では変えられない現実」に直面することが増え、次第に「諦め」が心の中に広がっていきました。仕事への主体性が失われていく感覚。やりがいはあるが、何かが満たされない。そのとき私は、自分が本当に主体的に取り組めるものとして「走ること」にのめり込んでいきました。それが、私にとってのトレイルランニングでした。
「仕事で満たされない自分」を「趣味」で埋めていく
仕事で満たされない何かを、趣味で補うようになっていった日々。それでも、完全に趣味だけで生きていくのは難しいと感じていた私は、「だったら、好きなことを仕事にできないか」と考えるようになりました。
当時、最も情熱を感じていたのがトレイルランニングでした。だからこそ、それに関わる仕事として、アウトドアショップへの転職を決めました。実際、そこには同じように「好きなことを仕事にしたい」と考える仲間がたくさんいました。
けれど、そこで再び壁にぶつかります。
「好きなこと」が「仕事」になると、それは「やりたいこと」から「やらなければならないこと」に変わります。時間や成果に追われ、主体性を失い、結果として「好きだったはずの趣味が、好きじゃなくなってしまう」というジレンマに陥る人が多くいます。さらに、仕事が忙しくなれば、趣味であるはずのアウトドアに出かける時間さえ失われていく。好きなことを仕事にしたはずなのに、好きなことができなくなる。皮肉にもそういう状態に直面することが少なくないのです。
仕事と趣味をどう整理するか——自己と他者、満足と貢献の軸で考える
このような葛藤の中で、私は仕事と趣味の関係を見直すために、新たな整理の仕方を考えるようになりました。
それは「仕事か趣味か」という二項対立ではなく、
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自分を満たす行為か
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他者に貢献する行為か
という2つの軸で考えることです。
たとえば、次のように4つの領域に分類できます:
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自分も満たされ、他者にも貢献できる行為
→ いわゆる「好きなことを仕事に」できている理想的な状態 -
自分は満たされるが、他者に貢献しない行為
→ 純粋な趣味 -
自分は興味がないが、他者に貢献する行為
→ 義務的な仕事。お金のために仕方なくやる領域 -
自分も満たされず、他者にも貢献しない行為
→ 削るべき行為
この整理は、仕事と趣味の関係をより立体的に見せてくれます。そして私は、「1番目の領域」、つまり自分も他者も満たせる領域をできる限り増やしたいと考えるようになりました。
経済的状況が選択肢を左右する
この4象限に加えて、重要になるのが「経済的状況」です。つまり、自分が「どの程度、仕事をしなくても生活できるのか」という視点です。
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今すぐ稼がないと生きていけない人
→ 他者貢献(=仕事)を優先せざるを得ない -
もう十分に生活資金がある人
→ 自己充足を中心に行動できる -
今すぐ困窮はしないが将来的な不安がある人(多くの現代人)
→ 自己充足と他者貢献の両立が理想
私自身はこの「中間」の状態にいて、「自分を満たしつつ、他者にも貢献できるような活動」を模索することが、自分の納得できる生き方だと感じています。
仕事におけるスキルと余白——アウトドアショップの例
「好きなことを仕事にする」とは言っても、現場では「まず人の役に立つこと」「成果を出すこと」が優先されます。
たとえば、トレイルランニングが好きでアウトドアショップに入社した人が、最初からイベントばかりに関わろうとしても、それではお客様の満足にはつながりません。
まずは販売員としてのスキルを徹底的に磨く。お客様のニーズに的確に応え、売上や満足度に貢献できるだけの土台を作ること。それができたときに初めて、自分の「やりたいこと」を職場の中で実現できる余白が生まれてくるのです。
「切り分け」への疑問──40時間をどう生きるか
ここからが私の伝えたい核心です。
「仕事と趣味は完全に分けるべきだ」「仕事はお金のためでいい」「自分を満たすのは趣味でやる」という考え方があることは理解できます。実際、それでうまくいく人もいます。
ですが、私はその考え方に懐疑的です。
なぜなら、仕事は週40時間、1日8時間×5日間という人生のかなりの時間を占めるものです。その時間すべてを「自分のためではない」「義務的な活動」にしてしまうことは、自分の人生の大部分を諦めていることに近いのではないかと思うのです。
一方で、「自分を満たし、かつ他者を満たす活動」を仕事にできれば、その40時間のすべてが「生きた時間」となります。たとえ最初はそうでなかったとしても、「自分が好きなこと」「得意なこと」が他者貢献につながっていく道筋は、意外と身近にあるのではないでしょうか。
「好きなことを仕事に」は順番じゃない、姿勢だ
多くの人は「好きなことが仕事になるのは一部の人だけ」と思っているかもしれません。
ですが、私は「順番」が問題なのではなく、「姿勢」がすべてだと思っています。
たとえ初めは90%が義務であり、「好きなこと」なんて1割も実感できなかったとしても、「好きなことを仕事にする」と自分で決めることが、他者貢献を通じて自己充足を見つけていく第一歩になるのではないかと思っています。
おわりに
仕事と趣味をどう捉えるか。それは「生きるとはどういうことか」「時間をどう使うか」という問いそのものです。
私は「分けるべき」か「分けないべき」かの二択ではなく、「分けずに重ねていく努力をする」ことが、より豊かで主体的な人生に近づく道だと信じています。
そしてその道は、誰にでも可能性があるものです。自分の得意なこと、好きなこと、人に感謝されたこと。そのすべてが、仕事と趣味の交差点になるかもしれない。だからこそ、私はその交差点を諦めずに、歩き続けていきたいと思っています。
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最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
私自身、仕事と趣味をどう捉えるか、自分を満たしながら人にも貢献する働き方ができないか、日々考え続けています。
そして、今はそういう問いを一緒に考えられる仲間と働いています。
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