連日の酷暑、ついに宮城も真夏日を迎えました・・・

日陰の無い庭に迎えられてしまった紫陽花たちには試練の日々

日射しへの耐性が有る紫陽花を調べて選ぶようになる前、好きと言うだけで何も考えず真っ先に植栽したのが霧島の恵でした

この時期の花はまだ柔らかく強烈な日射しを受けると焦げ縮れてしまう

強風が吹き抜ける為にパラソルも立てられないし、直射と強風のダブルパンチは致命的

そこで・・・




舞台に立ってた頃に使用していたヴェールをカットして保護

ヴェールの届かない場所などは・・・




分かります?

水切りネットです、これだけでもかなり日焼けを防げるんです

生長した木々が守ってくれる場所も少しずつ現れて

そんな場所ではこんなに綺麗で居られるんですね



一方で、逃げ場の無い表庭、耐光性が高いと言われるハワイアンブルーを植えたのですが、花弁が硬くなる前の開きかけの蕾はやはり焦げてしまって、痛々しい姿に頬を濡らしたものでした

なので、こんな時は!


こちらも舞台で使用していたシルクヴェール、花弁が色づいて硬くなるまで、陽射しの強い日にはこんな対処を覚えました

アナベルや他のハイドランジアたちは裏庭の陽射しならなんなく耐えてくれるので保護なしでも安心


紫陽花を保護し、ふと、夏の庭で最も過酷な場所に王国を築いた女王の事が気になり向かってみたら・・・




炎天下で飲まず食わず、全身全霊、必死に羽ばたいて子供たちに風を送ってました

この場所、冬は午前中全く日が当たらないくせに、夏場は1日中陽光が降り注ぎ、更に黒壁からの照り返しで40度を軽く超えてしまうんです

これでは女王も体力が尽きて死んでしまうし、女王が死んでしまったら子供たちも道連れ・・・

胸が引き裂かれる想いで、始めは私も手のひらで日陰を提供したりしたのですが、私の方が先に参ってしまいそうな照りつけです、それでも女王は羽ばたきを止める事はなく、その姿は余りに儚く、そして、余りに気高く、私は禁を犯す決断をしました

自然界の決め事、それは適者生存、そんなの分かり切ってるけど、待って?

適者生存?

だとしたら、この領域は私の領域でも有るのだから、私が彼女と彼女の王国を守る事もまた彼女に与えられた運命なんじゃない?

あー、もう、問答無用っ!!!

目の前に助けられる命が有るなら助ける!

それの何が悪い!


ユーカリのポポラスとグニーで組んだサンシェードを進呈しました




日陰が出来た途端、身体を休める事なく子供たちの生存確認とケアに勤しむ女王、どれだけ疲れてらっしゃるか、想像の域を超えてるはずなのに・・・

この時点でも女王はまだ飲まず食わず、なのに、身を振り絞って唾液を分泌させ、子供たちの渇きを癒すんです

誰が言った?

昆虫には痛覚が無い、昆虫には感情が無い

そんなの絶対に嘘っ!!!!!

こんな深い愛情、私は持ち合わせてない!

とりあえずの第1施工の終了後、少し時間を置いて第2施工・・・


超絶強力な西日対策として紫陽花を追加です、これで終日柔らかな日陰が出来ます、ドライのユーカリと紫陽花だから風も抜けるし、一先ずは安心かな

施工中、女王は1度も顎カチ警戒音を発する事なく静かに王国に佇んで居て下さいました

私を信じてくれたのかな、そんな事ないって思われて笑われても構わない

確かに心が通じ合った、そう私が思えたのだから・・・

全ての作業が終わり、それでも一息つく事なく女王は王国の基礎強化に励みます


枝を押さえたり、ワイヤーで括り付けたりで、かなりの振動が有った筈なので私には見えないけど、女王の目線では基軸に亀裂が生じてるのかも知れません

それほどの衝撃を受けながらも、女王は王国を離れる事もなく、また、私へ針を向ける事もなく、ひたすらに私を信じ、微動だにしませんでした


幼い頃から無闇矢鱈に蜂を忌み嫌い、駆除と言う殺戮を何度も目にして来ました

その事に関し、家屋や家族、また、御自身の身を守る為だとも理解してるつもりです

2度3度刺されてしまえばアナフィラキシーの危険も有るので、蜂は気をつけなければならない存在でも有ります

でも、ずっと胸が痛かった

何度も慟哭に伏し、歯を食いしばりながら人を恨まぬよう、人を否定しないよう生きて来ました

この大いなる愛と美の現身の何を知って忌み嫌うのか、殲滅するならば殲滅するで、殲滅する相手の営みを解するべきではないだろうかとも思い続けて来ました

でも、解ったんです、50年生きてきてやっとです

許せなかったのは他者ではなく私自身だってこと

やっと、やっとです・・・

少しだけ、張り裂けた想いの片鱗が今の私にチャンスを与えに還ってきてくれた

せめてこの庭だけは、私の愛するモノたちの楽園で在り続けよう

最後のエピソード

飲まず食わずで王国を守り続けた女王、疲労困憊に決まってます、黄昏時のまだ明るい時間帯

黒蜜を溶かしたローズヒップティーを献上しました

すぐにゴクゴクと飲み干してくれて、なんて可愛らしいんだろうと胸をなでおろし・・・

いえ、それは私の浅はかさでした、真の母性は私の想像を軽々と超えるのです

女王は口に含んだティーを渇いた子供たちに与えたんです

何度も何度も、ティーを私から受け取り、子供たちへ与えてました

子供たちの渇きが満たされ、ようやく女王はティーを御自身の胃に納めてらっしゃいました


私もこう在りたかった

深く大きな無償の愛を持って産まれて来たかった

愛を持たない私は真実の愛に生きる存在に強く惹かれ、心酔してしまうのです

ここまで読んで下さった方へ・・・

心からの感謝を申し上げます

有り難う御座います