いかなる美辞も讚美も瞬時に呑み込まれてしまう


それでも沸々と込み上げる想いを宿してくれるで在ろう言葉を探す、祈りにも似た境地で脳裡の迷宮を彷徨う


ラブラドライトの蝶様鈍光

漆黒の夜を覇すオーロラ

熱帯雲霧を翔る極楽鳥の残光


ふと気づく

比喩そのものの虚しさ

例えを用いる表現方法は、例えに引用する存在には及ばないと言う無礼を秘めているのではないだろうか


それでも精一杯、この込み上げる想いをほんの断片でも構わないから、言葉をもって現し、残して置きたい衝動


衝動の果てに辿り着いた心の深層を漂う音色に気づく

これは詩だ、そうだ、この花は詩なのだ

輝石でも鳥でも気象現象でもなく、この存在は詩そのもの

美を越えた美を宿す存在に対する想いを、さて、どんな言葉を持って解き放つ事が適切だと言うのだろう


第9だ、心の深層を漂う音色をつかまえた

私の中の常世に玉虫色の雨が花となって降りそそぐ

歓喜の歌を奏でながら

笹色紅の天球から玉虫色の雨が花となってヒラヒラと・・・







写メは、庭人さんが育て上げた、芳垣航輔さん育種のパンジー“笹色紅”

語り尽くせないのに、語らずには居られなくなってしまう、そんな魔性を秘める花