7年前、私の故郷は津波に呑まれた、慣れ親しんだ全てが玉砕して行く光景を私は瞬きもせず直視した、私に出来ること、それは、愛するものの最期の姿から、目を反らさずに向き合い、脳裏に焼き付ける事だけだったから・・・


200種以上、1000本以上の薔薇が育つ施設、仙台市農業園芸センター
この薔薇達は奇跡の薔薇、津波の到来、冠水、塩害、ヘドロ被害に耐え、生還を果たした薔薇
生かしたい、救いたい、残したい、そんな人々の想いに全身全霊で応え続ける奇跡の薔薇
昭和20年代から大事に大事に受け継がれて来た薔薇
動物園、水族館、遊園地、様々なテーマパークが有るけれど、幼い頃から私が自分の意思で足を運ぶ場所はこの農業園芸センターと野草園だけ、野草園には車でしか行けないので、自転車で行けるこの場所は私の最高の遊び場であり、学び舎だった
津波による冷害と停電で大温室が育んだ熱帯性の植物達は枯れてしまったけど、地植えの植物達はほとんど生き残ってくれた
故郷を無くした私には、慣れ親しんだ場所が機能し続けてくれること、それは何よりの救いであり、励みでもある
定期的に開かれる植物に関するイベントも、私にはどんな祭りより嬉しく、心が弾む
今回は山野草の展示即売会でした、大切に慈しまれながら育った山野草達が誇らしげに来場者を迎えてた
広場では生産者による花や野菜の直売もされてて、今の時期だもの、それはそれは見事な薔薇や牡丹、様々なハーブや野菜の苗が、産直ならではの低価格で売られてます
かなり迷いましたが、苗は購入せず、肥料と植木鉢だけを連れ帰りました
薔薇が全て蕾でしたので、藤棚の藤は紅一点
惜しみなく色香を放ち、人々を惹き付けてました・・・
藤、私には特別な花です、私の故郷は藤塚と言う小さな集落なので、藤を観れば故郷を想わずには居られないのです
藤棚の藤を仰いで居たら、無性に故郷が恋しくなり、故郷へ向かわずには居られませんでした
こちらは、我が故郷、藤塚の藤です
場所は藤塚五柱神社、御神木に絡み付くこの藤が藤塚の象徴でした
農業園芸センターは、海から2キロほど離れて居ますが、私の故郷の藤塚は、海に寄り添う集落なので、神社は木端微塵、御神木も残念ながら枯死してしまいました
でも、藤だけは生きていてくれたのです、藤塚の象徴は、藤塚の証しとして、生き続けてくれて居ます
神社も新しく生まれ変わりました、私達は住むことを許されなくなりましたが、神様と藤は存在してくれてるんです
植物の底力、それは私達を照らす希望にもなります
藤塚の藤、農業園芸センターの薔薇、津波が引いた後の汚泥から引き抜いて来て植えた私の庭に咲く草花達、その大きさも稀有さも関係有りません、健気に生きるその存在の全てが愛しく、そして、神々しいのです
コピシング、萌芽更新と言う、地際で伐り植物の再生力を促す荒療治が有ります
地上部がダメージを受けて瀕死の状態になってしまったら、コピシングで命を繋ぐのです
藤塚の藤も農業園芸センターの薔薇も、コピシングにより再生を遂げました
皮肉にも、それは、植物にとって、何よりの若返りです、震災前、藤塚の藤も農業園芸センターの薔薇も、老齢に達して居ました、それが、コピシングにより瑞々しさを取り戻したのです
不老長寿、蘇り、再生
神と同等の存在
皆さんの庭の草木もそうなんです・・・
この世で最も美しく尊い生命体
植物
その英気に常に接してる私達ガーデナーは幸せ者ですね!
今日も御覧になって下さり有り難うございます
ではでは
ごきげんよう♪
紫檬