つい先日まで平気で踏みつけていた場所、瞬く間に禁足の地と化した



ごくありふれた存在でも私には尊くて愛しい



珍しいものが好きなわけじゃない、私は私自身の心を満たし、高揚させてくれる存在を愛してる



ヒメオドリコソウとオオイヌノフグリはいつも一緒

日当たりの良い河川敷の春はシフト制、他の皆が動き出す前に逸速く咲き揃うヒメオドリコソウとオオイヌノフグリ

そのうちにハコベが星のように白く小さな花を輝かせ、押し退けるように白詰草とタンポポの競演が始まり、少し遅れて赤詰草とヒメジオンが草原に大人びた雰囲気を添える

その頃には野良韮、スイバ、オオバコも花穂を掲げ、やがて春の気配は薄れ、小さな草花達が届けてくれた芽吹きを喜ぶ淡い初恋のような記憶は、大胆で鮮やかな初夏の兆しに呑み込まれてしまう



そう、この瞬間の喜び、私の想いもまた、季節の移ろいと共に巡るのだ



この花もまた、私の源泉



どんな豪華な花木より私は藪椿が好きだ



完璧と言う表現は八分咲きの藪椿にこそ相応しいと、幼い頃から密かに想い続けてきた

だけど、私は決して藪椿を庭に迎えない、わざわざ藪まで出向き、そして、少しだけ手折らせて頂き、じっくり室内で愛でる




春分の日に頂いた花が咲き揃ってくれた、ここまで開いてくれちゃうと、後は“ポトリ”までのカウントダウンだ



こっちも完全開花



君もそう



4日前まではこんなだったのに・・・

あぁ、そうなのだな、私が藪椿を庭に招かない理由はこの気持ちだ、咲いて欲しいのに、いざ咲かれてしまうと寂しくなる、なんだか言葉に出来ないモヤモヤする感じ

オオイヌノフグリもヒメオドリコソウもそう、あと10日もするとモヤモヤが込み上げる

大好きなのに、モヤモヤする、だから、庭には招かない、招けない

オオイヌノフグリに似たような花を探し、見つけ、ベロニカオックスフォードブルーやマダムマルシアをチマチマ植える

ヒメオドリコソウの代理人はアジュガ、赤詰草の代理人はストロベリーキャンドル

ヒメジオンの代理人はニゲラ

庭には庭の趣があり、好きだからと言って野草を植え込んでも鍾乳石を鍾乳洞から持ち出したかのような、なんだか輝きや神秘性が急速に失せてしまい、酷く興醒めしてしまうんだ




もうすぐ逢えるね、ニゲラちゃん、これは去年の様子だけどね、今年はこぼれ種から何百って芽吹いてる、3年前に苗を2つ植えただけなのに去年も足の踏み場がないくらいだったよ

いいの、いくらでも殖えて欲しいの

私のガーデニングの最終目標、それは、河川敷や雑木林みたいに、自然のリズムで草花がバトンを受け渡す庭だから・・・

最終目標は心の源泉

なんだ、私は幼かった頃の私の夢をずっと叶えてあげたかっただけなんだ

あの頃の私に贈り続けてるんだ・・・




今日も御覧になって下さり有り難うございます

ではでは

( ´∀`)/~~

ごきげんよう♪