易者の高橋南北です。

 

悪い思考習慣や行動習慣によって人生の時間や質を損ねている人は多いです。例えばダメだとわかっているのに夜遅くまでスマホを見てしまう、生活改善のために朝早起きしたいのになかなか起きれず二度寝をしてしまう、痩せたいと思っているのについつい食べすぎてしまう、1杯だけだと決めていたのに気づいたらベロベロになるまで飲んでいる。

これらのことがなぜ起こるかというと理由は簡単で、それが自分の習慣だからです。

今回は習慣の恐ろしさと、味方につけた時の強力さ、そして良い習慣の身につけ方をお話ししていきます。

習慣は最強

先ほどの例以外にも、我々が無意識にしてしまう思考や行動習慣はあります。それらを克服するためにはまず、なぜこれが身についたかを考える必要があります。

その原因を見つけるためには、習慣とはなんなのかを知っておきましょう。

習慣とは脳の逃避行動

我々人間の脳が何か考えないといけない時に負担を回避するために取る選択が習慣です。

脳は思考をするためにエネルギーを使うため、毎日毎日起こることに対していちいち考えていると脳の容量を無駄にしてしまいます。

ですから「このパターンが来た時はこうする、こう考える」という風にパターン化しておくことで、無駄な労力を使わずに済む逃避行動なのです。

脳を主体でお話ししてはいますが、私たち自身が日常でよく行っている行動でもあります。

例えば「このタスクを3日後までにやらないといけない。」というストレスがあると、そのストレスを回避しようとしてスマホを開いて誤魔化そうとしたりすることはよくありますよね。習慣とは、そういう逃避行動が定着化したものになります。

先ほども伝えた通り、習慣というのは人間の脳が楽をするために工程をカットするものです。そして、習慣をもっと具体的な言い方に落とし込むと、『潜在意識に根付いた思考習慣』と言えます。

習慣とはいちいち考えないでも起こせるものです。良い習慣を身につければ、良い行動を起こすためにいちいち考える必要がなくなります。

例えば1ヶ月、2ヶ月と毎日朝にランニングしていたら、雨が降っても寒くても同じ時間に起きてランニングに行くことができます。

その際、「暑い」「寒い」「眠い」などと、面倒に感じることをわざわざ考えることがありません。

ランニングを毎日行っている人にとっては、いつもと景色が違う、明るさが違う、程度の変容しか感じなくなるのです。ランニングをすることが主であって、行動するための条件として天気やその他の事象に左右されることはなくなるのです。

歯磨きやシャワーを浴びる時に、お湯の温度のことや蛇口の捻り具合のことは考えないですよね。それは行動を起こすためにいちいち考えるという工程をカットして、自動で行われているものです。

このように、習慣とは脳が楽するために行動を自動化するための機能というわけです。

もちろん習慣は悪ではなく、自分を助ける行為です。しかし冒頭お伝えした通り、良くない習慣がインプットされると、自動的に人生の質が下がっていってしまいます。

ではこの悪い習慣は、どのように対処すればいいのでしょうか?

有為注意力と無為注意力で習慣の原因を知る

 

習慣とは有為注意力と無為注意力の2種類に分けて考えることができます。

無為注意力とは、何も考えずに行動することです。先ほども例にあげた通り、歯磨きをする時に磨く順番や磨く時間を意識したりしないのは無為注意力、つまり意識せずに行うことです。

反面、意識してすることを有為注意力といいます。

歯磨きをする時、「歯ブラシの毛がちょっと開いてきたな」などに気づくのが有為注意力です。いつもは無意識に行っている行動だけど、いつもとは違う違和感に気づくなどのことです。

つまり、いつもの習慣の中にも、ふと違和感に気づける隙間は必ずあります。自分で自覚する悪い習慣があるならば、その行動や思考をしてしまった時に、違和感を見つけていくことで具体的な問題の原因を探すことができます。

良い習慣でも長く続けてたら悪い習慣になることもある


良い習慣を身につけていても、健康や人生にとって悪い習慣になることがあります。自分は夜型人間だから夜遅くに勉強や仕事をする習慣を身につけて、その時間は一見テキパキとこなしているように思えても、朝起きると眠かったり睡眠不足になると1日のパフォーマンスを低下させてしまいます。

反対に睡眠をとりすぎることでも日中の倦怠感でパフォーマンスが低下することもあります。

他にも本を読む習慣をつけたことで知識が身についた代わりに視力が悪くなってしまう、ということもありえます。

何事もバランスが大事であり、自分をうまくコントロールすることが重要です。その上で、悪い習慣を変えるための具体的な方法をお伝えします。

習慣は変えることができない

 

残念なことに習慣の特徴の一つに、『習慣は変わらない』というものがあります。一度身についた習慣は変えることができないのです。このことに気づかずに悪い習慣を改善できない自分を責めたりすると、本来感じる必要のないストレスに悩まされることにも繋がります。

ではどうすればいいのでしょうか。

悪い習慣を改めようとすればするほど脳の性質と戦うことになります。脳には全ての物事を一人称で捉えるという性質があります。

ダイエットをしている最中なのについついポテチを食べてしまい、食べ終わってからハッと気づくということがありませんか。


そして「もうポテチなんか食べない」と思ったりもします。

この時脳では何が起こっているかというと、「もうポテチ食べない」は「もっとポテチ食べたい」に変換されてしまうのです。「考えるな」と言われるとそのことを考えてしまうというわけです。

とある実験の結果をご紹介します。

有名な物流会社がAのトラックには『無事故無違反』と書いたステッカーを貼り、Bのトラックには『今日もご安全に』というステッカーを貼りました。

そして毎回ドライバーにそのステッカーを意識させ安全運転を促しました。

そんなステッカーだけで事故が防げるわけがないと思われるかもしれませんが、実験の結果Bの『今日もご安全に』と書かれたステッカーを貼ったトラックの方が違反や事故は少なかったのです。

Aの『無事故無違反』というステッカーの方は、ドライバーに対して違反や事故を意識させることになっていたのです。

この実験結果はたまたまではなく、実はあらゆる国でそれぞれの言語で試され同じ結果が出ました。

この結果を踏まえて、悪い習慣を改善するには悪い習慣に目をむけるのではなく新たな習慣で上書きするということが非常に効果的なのです。

私が以前経営していた会社の従業員の話です。


遅刻癖のある社員がおり、その習慣がなかなか改善しませんでした。周りの社員から「もっと早く会社に来い」と言われても、改善するそぶりはありませんでした。根本にあったのは、彼には『朝早くから会社に来たくない』という思考です。

なので私は彼に対して『朝早く会社に来たら楽しいことがある』と思ってもらうことで改善しようと試みました。

私は彼に「朝早く会社に来たら近くの喫茶店でコーヒーを飲みながら雑談しよう」と誘いました。彼にとっては朝から毎日喫茶店で美味しいコーヒーとモーニングが社長の奢りで食べられるわけです。

それを継続していくにつれ、彼は会社に来るのが楽しくなっていきました。

まあ、社長と社員の関係性だったり、彼自身が社会人としてどうなのかというのは置いておいて、実際に彼の早起きできないという習慣を楽しいことで上書きすることができたわけです。

ですから早起きできない人は、モーニングを食べに行く予定を立てるとか、新作のゲームを買って毎日30分だけ朝早くやるなどして、朝起きることを楽しめるようにしましょう。

「朝早く起きられない」という悪い習慣に目を向けるのではなく、新しく楽しい習慣で上書きするイメージを持つことです。

そして、今日1日をどれだけ誠心誠意過ごすかを考えると毎日が楽しくなります。毎日が楽しくなると人生の質も自ずと上がっていきます。


修学旅行の前の夜のように、明日が楽しみで仕方がないという思考をわざと自分で作り出して行くのです。

非日常が味わえるレジャーも楽しいですが、毎日こなしていく日常こそずっと楽しいというのが一番いいのです。

苦を楽に変えるのが運命の達人の技であり、苦しいものは苦しいままにして、楽しいものだけ楽しいという生き方をしてしまうと、いずれ楽しいものですら苦しくなってしまいます。


しょうもないことでもいいので、毎日を楽しく生きるための工夫をするだけで、悪い習慣は上書きされ、勝手に人生も良くなっていきます。

成功者の多くは苦しんでなったというより、楽しさの延長に結果が出ていることを忘れないでください。