俺のバンドは解散してたから、師匠がやってるバンドのボウヤをやりながら、俺は地味に音楽に触れてた。
ある日、師匠が
「疲れた。
俺はドラム辞める。
散々聴いて観てんだから叩けるだろ?あとはお前が叩け。」
って、マジで辞めちゃって、俺が叩く事に。
ほんとに自由な人だった。
しばらくその活動が続きます。
細美さんとウブ、雄一がやってたバンドには、ドラマーがいたんだけど、何があったか、そのドラマーだけ辞める事になったんだ。
何となくだけど、一度も口にはしなかったけど
「次、俺がやらないで誰がやるんだろう?」
くらいの気持ちはあったのも覚えている。
そのうち、俺が働いていた会社の洗車部門があって、そこにウブが洗車しに来たんだ。
俺があいつの車を洗車してたら、後ろから
「高橋さんに、新しいバンドのドラムお願いしたいんです。」
トチ狂ったタイミングで言ってきて
俺は「いいよ。でも条件が2つある。
師匠のバンドを手伝ってるから、ウブのバンドはサポートでしか叩けない。
BOØWYのコピーバンドのライブがあるから、それを見に来てくれたら手伝うよ。」
ウブは首をタテに振ったけど、あのバカ、洗車の金を払わないで帰っちゃったんだ。
フザケタ野郎だ。
BOØWYのコピバンのライブは観に来てくれた。
ニューバンドはサポートだけど、細美さんも雄一もウブも、俺を歓迎してくれて、とても嬉しかった。
初めてcan you feel like I do?って曲を合わせた時、鳥肌がたった。
実は解散しちゃった前のバンドの曲は、全部俺が作曲してたんだけど、そんな事してる場合じゃないって、瞬時に理解できた。
ドラムに集中しないと、この3人にはついていけないってその場で思ったんだ。
can you feel の基本リズムパターンは、細美さんのに言われたままのパターンで、初めて合わせた日に叩けなくて、悔しかったのを鮮明に覚えている。
「必ず次のリハまでにマスターしてくるから待ってて。」って、約束して、初日は省略して叩いたんだ。
次のリハまでって、3日後とかだけど、個人練すればって、かすかな光は見えていた。
マスターしてスタジオに現れた俺を見て、細美さんは笑ってくれた。
バンド名がない俺たちのライブが決まって、みんなテンションが上がってた。
メンバーに「バンド名はどうするの?」って聞いても、反応ないし、楽曲は天才的だけど、こいつら3人ともバカなのかな?って思った。
ハコからも
「バンド名はまだ?」
って、サポートの俺に言ってきてさ。
チケットとかに書くからだろうね。
社会人だった経験からか、俺は腰も低いし、何かと言いやすいから、サポートの俺に聞いてきたんだ。
で、俺はサポートだけど、バンド名を独断で考える事にした。
どこにもない名前がいいな。
そして突き刺さり、印象に残る、俺たち4人にピッタリな、俺たち4人だけのバンド名。
エルレガーデン。
ドラムしか叩けない俺は、貢献ができた気がして、ワクワクしてみんなに「エルレガーデン 」って名前を伝えた。
ウブと雄一は反応なかったり、細美さんは
「言いづらくね?ジェッツにしようぜ。UBジェッツ。」
ウブカタと、その仲間たち的な意味だと言っていた。
ちょっとそれは。。
俺は強制的にジェッツの一員になりそうになって、それだけは避けたかった。
文句ばかり言っててムカついたけど、バンド名の提案は、そもそもサポートの領域突破してるよねこれ。
何しろ、渋々だけとバンド名は「エルレガーデン」に決まって、俺は一安心。
ライブハウスに伝えたら「ふーん。」
反応が薄かったけど、俺は何かいい予感がしていたのも覚えている。
適当に良い顔されるよりいい。
最初は何でもこんなもんだ。
can you feel のドラムパターンもマスターしたし、あとはステージに立つだけだ。
続きはまた今度。
んじゃまた。