名古屋にたどり着いた前後の俺は、就職していたんだ。




計6年間の会社員生活。




お袋に、実家に住んでいいって言われたけど、条件が就職だった。



俺にドラムの才能、仲間を思いやる気持ち、努力、運、縁、全てが揃うならば、就職していても必ずプロになれるはずだって言われて、金もなかったし、俺はその言いつけを守ったんだ。



その会社の社長に車を借りで名古屋へ。








名古屋に着いた俺は、まずパチンコ屋に入って



‘ 一般台 ’ と呼ばれていた台に座って、1万円くらい勝った事を覚えています。



ひつまぶしを食べてみたくて、その金を握りしめて、その辺を歩いていた人に「ひつまぶしを食べたいんです。」と、声をかけ、確かイバショウって店に辿り着いたのを覚えている。



名古屋の思い出は、疲れたのと、まさかのこれで全部で、ただ、当時の俺には外国のような、果てしなく遠い場所に感じた。








名古屋に行く少し前、ウブが俺に
「細美さんどバンドやりたくて、探しているんです。」って言ってて
「どこにいるか知らない」って伝えた。



当時、細美さんはバンドを辞めて、どっかで働いてて、携帯も変わってて、誰も連絡が取れない状態だったんだ。



すると、とても不思議なんだけど、数日後に細美さんから俺に電話がかかって来た。



「高橋元気?」




「ウブが細美さんをさがしてるよ。細美さんとバンドやりたいって言ってた。」




「やる!」って、俺に言ってた(笑)



俺に言われてもな。。




細美さんは全員の連絡先を消して生きていこうとしてたみたいだけど、なぜか俺の連絡先だけ残ってたみたい。



失踪前に、一度だけ細美さんにスタジオに呼ばれて
「スタジオで俺のオナニーに付き合ってくれよ。」って言われて、打ち込みのベースと、星ってギターリストと合わせた。



その曲はellegardenでやってるLonesomeだった。



なので、細美さんが作った曲の中で、とても俺の思い入れの強い曲です。








話は戻って、俺がやってたバンドは終わり、メンバーは去り、名古屋から戻って毎日泣いてた俺に、細美さんから電話がかかって来て、飲みに誘われた。



ウブも来てくれて、本八幡のバーに行って、俺はラフロイグってスコッチを。
細美さんはレモンハートってラムを、ウブはコーラを飲んでたのを覚えている。



なぜ誘ってくれたの…?



と聞いたら「高橋が元気ないから。」って言われたのを強烈に覚えている。



俺の真っ暗な人生に光が射したような、そんな気になった。









続きはまた。





んじゃまた。