京都の心得
(京都のディープな
観光ガイド)
観光シーズンがやってきて、
「そうだ、京都に行こう」
と思っている人も多いと思います。
そこで、少しディープな
京都の観光ガイドの心得
(具体的観光スポットは出てきません)、
「京都のマインド」をお伝えします。
そういう僕は、京都府宇治市出身。
(もちろん宇治市出身は「京都出身」
と言ってはいけません)
中学からは京都市内にある私立
(大学までエスカレーター)に通い、
大学を卒業。
大学卒業後、ややブランクを経て
京都で長年働きました。
京都は変わらない
そうです。
たしかに、ここ数年の京都は
海外からの旅行客が増えました。
以前は春と秋の観光シーズン以外は
閑散としていたのですが、
海外からの観光客が
ものすごく増えたおかげで、
オフシーズンというものがなくなりました。
京都という所は盆地なので、
夏は異常に蒸し暑く、
冬は異常に底冷えがして、
とてもじゃないけれど、
観光にはふさわしくない気候となるのです。
異常な観光ブームも
少し落ち着き
その異常な観光ブームも、
少し落ち着いてきたようです。
この間、京都の町を歩いて
見かける観光客の数もそこまで多くなく
(見慣れたのかもしれませんが)、
あれほど「不足している」と言われていた
宿泊施設も、現在は足りているようです。
宿泊施設が足りないとされた時、
「これだけの観光ブームなんだから、
早急に対応するには
民泊を広く認めるべき」
という声があったけど、
京都はクビを縦に振りませんでした。
自分たちの生活や
考え方を大きく変えてまで
一時のブームに乗るというのは、
京都のDNAには無かったのです。
自分から
「来てください」
とは言わない京都
当時を振り返ると、
「民泊を広く認めるべき」という意見は
京都からのものではなく、
京都以外からの声でした。
京都は
「京都に来てくださいー!」と、
決して自ら言いません。
「来たくなったら来てくれたらいい。
でも自分たちはここで暮らしているから、
その生活は大きく変えないよ。
普通にしているから、
それでよければ来てや。」
それが、今も昔も京都のスタンスです。
古民家を
リノベーションした店
でも、昔からの町並みを知っている者は
「あ、ここは新しくなった所だな」とか、
「この店は前には無かったな」
ということがわかります。
そして、そういう店ほど行列しています。
京都の人は、まず、行列に並びません。
並ぶ必要がないのです。
京都の人が行く店は昔から
お付き合いのある店だし、
昔からお付き合いのあるお店ならば、
行く前に連絡をすればいいからです。
「さん付け」
される店になれるか?
京都の人は、そんな昔ながらの店に対して
「さん付け」をします。
たとえば、「西田屋」というお店ならば
「西田屋さん」という具合にです。
長いお付き合いでご近所や
親戚みたいな関係だから、
「さん付け」をするのです。
真新しい「古民家リノベーションの店」が
「さん付け」されるには、
長い年月が必要になります。
「今は人が並んではるけど、
まあ、まずは30年ですな」
京都の人は新しい店を
そう言う思いで
見るともなく見ています。
長い長い時間軸
京都の時間軸は本当に長くて、
100年単位です。
僕の中学の同級生には、
安土桃山時代から続く
焼き物の後継ぎが居るのですが、
そういう人があちこちに居る町なのです。
その時間軸の長さゆえか、
「生粋の京都人」という言い回しを、
京都の人からは聞きません。
「代々京都で住んでいる」と言っても、
3世代くらいで生粋と言うには、
はばかる雰囲気があるのです。
だから少しずつ町は変わるけど、
その時間軸から来る
精神性は変わらないので、
久しぶりに行っても京都は変わらず
ブレることなく、
そこに居続けています。
「対東京」「対世界」という考え方がない。
どこまでいっても、いつまでも、
そこでたたずむ町。
それが京都です。