まず始めに、東日本大震災で犠牲になられた方々へ
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

半年ほど前になるでしょうか。
とある女性の方からお手紙を頂きました。

ずっと記事にして良いかどうか悩みましたが、
本日で大震災から1年。

犠牲になられたファンの方への供養の一つとし、
また、お手紙を頂いた方の気持ちに強く感銘を受けたこともあり、

今日ここでお話をさせて頂く決心がつきました。

長文ですが、ご本人様の許可を頂きましたので、
個人が特定されない範囲で転載させて頂こうと思います。

お亡くなりになってからのご縁となりますが、
私も天国のSさんへ気持ちを届けたいと思います。

心からご冥福をお祈り申し上げます。

------------------------------------
高木綾子様へ

はじめまして高木綾子様。
私の主人が趣味で、40年以上もフルート演奏をしています。

主人のフルート仲間の岩手県釜石市のSさんという方が、
3月11日の東日本大震災の津波で亡くなられました。

彼はよく「高木綾子さんのフルートが大好きなんです。」
と、チャットやスカイプ電話で話していたそうです。

このSさんは、釜石市の港に近い大通りで営んでおられ、
3月11日の大地震の後、店舗内に散乱してしまった商品の片付け最中に、
あっという間に襲ってきた巨大津波に飲み込まれ、亡くなられたそうです。

ご遺体は約1週間後に店舗内で発見され、そのまた数日後に行方不明だった
奥様もご遺体で発見されました。

その津波が襲った2階に、5ヶ月経ってもガレキと土ぼこりが残っている
数枚のクラシックCDと共に、高木綾子さんのCDが2枚残されていました。

「よく高木綾子さんのCDを聴きながら仕事をしていますよ。」
「日本人では、高木綾子さんの演奏が一番好きなんです。」
Sさんは高木さんのファンと公言し、高木さんの魅力を主人に何度も話したそうです。

この言葉を証明するかのように、2階には津波の海水を受けて
汚れてしまったけど、どこにも流されずにいた高木さんのCDが2枚残っていました。
彼は確かに、高木さんのCDを聴きながら仕事をしていたのです。



高木綾子オフィシャルブログ「ALLA LIBERTA !」Powered by Ameba



先週、家族で三陸に行く機会がありました。
Sさんと奥様が亡くなられた場所である店内に入るのは、一瞬抵抗がありましたが、
主人はまったく迷わず、すぐに2階に行きました。

フルート演奏の録音に使われた録音機やミキサーも、土まみれで転がっていました。
その脇にミキサー同様、土まみれになったCDが何枚かあり、
主人が一番最初に手にしたのが、高木さんのCDでした。

実は8月初旬に行われたご夫婦の葬儀の際に、ご遺族のお子さん(成年)から、
「店の中の貴重品やカメラや楽器等は片付けましたので、他に何かありましたらどうぞ。」
というご丁寧な言葉をいただきました。

この時、葬儀の前に立ち寄り、高木さんや他のCDが残っているのが
わかっていたのですが、葬儀の後の暗い気持ちではもう一度立ち寄る気になれず、
そのまま帰ってきました。

しかし、その後、これらのCDがどうなったのか? 
ずっと気がかりだったようです。

「このままこの場所(スタジオ)にCDを置いて帰れば、
数ヵ月後には確実にゴミとして処分される。それはどうしても嫌だった。」

ご遺族のご厚意に甘えて先週、何枚もあるCDの中から、
熱烈なファンだった高木さんのCD2枚と二人で話題にした事のあるCD2枚を
遺品として持ち帰らせてもらいました。

Sさんの訃報を聞いた後、主人は主人なりの供養として、
SさんのMIDI伴奏で再録音・再編集したり、鎮魂の曲を録音したりして
YouTubeや音楽サイトに投稿していました。
大切に聴いていたCDが処分される事を防ぐことも供養の一つのあり方でしょう。

では、私にできるSさんへの供養は何か? と考えた時、
「あなたのファンに、こういう人がいました。」
と、ご迷惑でも高木さん本人に伝えることと思ったのです。

そして・・・、もし高木さんが東日本大震災のチャリティーコンサート等で
演奏をされる機会がありましたら、、高木さんのファンが津波で亡くなられた事を、
Sさんのことを、ほんの少しでも良いですから思い浮かべていただけませんか?

わかりづらく、脈絡のない文章ですみません。
不躾な申し出ですが、よろしくお願いします。

最後になりますが、Sさんがファンだった高木さんのますますのご活躍を期待しています。

------------------------------------