ふたたび | たかがい恵美子オフィシャルブログ「やりがい、いきがい、たかがい。」Powered by Ameba

ふたたび

‘愛’を見せる作品に出会いました。

13日に封切りされた『ふたたび』。

ジャズをモチーフに‘生きる’‘生き続ける’パワーを伝えてくれるすばらしい映画でした。

私たちのこの国では、ほんの一昔前まで、ハンセン病を患う国民の人権が‘隔離’という手法で奪われていました。

そもそも感染力が極めて弱く、なおかつ治療法も確立されていたのに、患者を合法的に一般社会から切り離す仕組みを整え、そのうえさらに‘96までこれを黙認し続けた。

…大きな罪の歴史。

当時、私は大学や研究機関に席を置く研究者でした。そして、社会的偏見に由来する様々な地域保健現場での問題に憤りを感じる者の一人でもありました。

過ぎた時間、無くしたモノは、悔いても取り返すことができません。

しかしその反省を次代に伝え、二度と同じ過ちを繰り返させないために、いまを生きる一人として自分にできることをせいいっぱいしたい!と思っていました。

この気持ちはいまもこれからも、変わりません。

私たちの日常では、疾病や障害の種類によっていわれなき差別を受けたり、殊更に不当な扱いを受けるという事例がたくさんありますから。

その頃は、このことを訴えなければ!と必死に論文を書き、学会で発表し、機会ある毎に話し…。しかし社会構造の変化を待たなければ、この事態は、そう簡単に動くものではありません。

ところがいま、この作品は、もっとソフトに・とても明快に、この課題を飛び越えさせてくれているのです!

見ているだけで、人と人との確かな絆がそこにあることを信じ、人を愛して生ききろうとする情熱が湧いてくるよう。

塩屋監督に感謝したいです。

公的機関にお勤めの方、保健医療福祉に携わる方はもちろん、様々な世代のみなさまに、オススメです。