中学1年の春、先生がぼくたちに好きな本は何かと尋ねたことがあった。その時ぼくは「赤毛のアン」と言えなかった。当時は読む本も男女で分かれていたように思う。赤毛のアンは女の子の本と思われていた。でもぼくにはおもしろかった。読み出すと止まらなかった。
それからしばらくは本当にぼくは、カクレ「赤毛のアン」ファンだった。
今まで繰り返し読んでいる。
アンからは、いつも違ったチカラをもらっている。
昨年は念願かなって、歴史的な若草文庫版を入手した。残念ながら初版本ではなかったが。本の最後に、「昭30.5.11 仁木書店にて 宮内和子」と万年筆で丁寧に書かれていた。それを見つけたとき、60年の時間を挟んで、宮内和子さんとぼくが、一冊の本を共有している気分になり、大いに愉快だった。
今回NHKの「花子とアン」は楽しみにしていた。
まだ文句を言ってはいけないと思うが、初回は期待外れだった。すべては脚本のせいだ。ドラマは原作の村岡恵理「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」を無視している。この本は丹念に資料を調べ、孫だからこそ知っている情報と、祖母とその周りの人々に対する愛で書かれた一級の伝記である。それをこれは・・・怒りを覚えるくらい違う。新潮文庫に入っているのでぜひ原作を読んでください。
村岡花子とアンを誰もが重ね合わせたい誘惑にかられるが、姑息な視聴率稼ぎはせずに、明治生まれの女性の堂々とした一生を描いて欲しい。それを今後期待したい。
